第48夜 Levantium

一切の妥協を許さないスパイスの香り

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DATA

Name: Levantium (ラヴァンティウム)
Brand:Penhaligon's
Launched in 2014
Perfumer:Christian Provenzano


My Episode

2015年にペンハリガンからトレードルートコレクションの1本として「ロタール」「エンプレッサ」とともに登場した香り。
3本の中でこれが一番刺激的だ。
とにかくトップからピリ辛な香りが鼻腔を刺激してくる。
カナダドライジンジャーエールではなくて、明らかにウィルキンソンの辛口ジンジャーエールという感じだ。
これは明らかに好き嫌いがはっきりと分かれる香りだと思う。
だって、甘さゼロなんだもん。
甘い香りとかフローラルとかフルーティーとかフェミニンとかな香りが好きな人はこの香りはまず無理だろう。そういう要素がほとんど感じられないから。
昨日、久々にこの香りを纏ったのだが、とにかくぼくの肌にはこういう香りは見事にフィットする。もっとぼくはこの香りと向き合うべきだったのかもしれない。こんなにもぼくの肌に馴染むとは、正直最初のころはよくわかっていなかった。
そして、ぼくの鼻のウード探知機が働いた。ひょっとしてこれ、ウード入っているんじゃない?って。
そう思って調べたら、どんぴしゃり。ウードがしっかりとベースノートにいたのだ。
つまり、ぼくがこれを買い求めた時はウード系であることをまったく意識していなかったということ。
さらに言うと、トレードルートコレクションの中で唯一「ロタール」だけがベルトランによるものだったので、「ロタール」にばかり気持ちが向いていた。
ところが、である。
この「ラヴァンティウム」と一昨日ご紹介した「エンプレッサ」の調香師はクリスチャン・プロヴェンザーノなのである。
彼はウード系の香水を自分のブランドでも3本も作っているくらいウードに関してはこだわりがあるらしい。
そして、ぼくは彼の作るウード系の香水がとても好きなのだ。
それぞれにウードの良さを最大限に引き出しながらも、見事に趣向を変えているところが魅力的。
特にこのエンプレッサはかっこいいの一言に尽きる。
突き抜けたかっこよさ。
そして纏う人を選ぶ香りでもある。
ぼくはそういう香りが好きなのだ。
誰からも好かれる香りじゃなくて、特定の人に熱烈に愛される香りこそが、ぼくの追い求めている香りなのかもしれない。

NOTES

Top note: Saffron, Wormwood, Artemisia, Bergamot
Middle notes: Rose, Cloves, Cardamom, Jasmine, Violet, Ylang-Ylang, Peach
Base notes: Agarwood (Oud), Patchouli, Guaiac Wood, Sandalwood, Amber, Myrrh, Cedar, Musk, Vanilla

サフランクローブ、ウード、パチュリ、イランイランといった個性的な香りだけではなく、ベルガモットやピーチなども合わせているところがこの香水のポイントなのではないだろうか。多分そういう刺激的で深みのある香りばかりだと喧嘩してしまって、きちんと香りが立たないのだろう。それとは真逆の甘めの香りを少し足すことによって、このスパイスが引き立つのではないだろうか。

My Evalution

★★★★★

とにかく、大好き!これから暑くなってきたら、このスパイスが少し丸みを帯びてくるかもしれない。それを今年の夏は楽しんでみたいと思っている。