第105夜 Fortis

温かみのある乾いたウードの美しさ…

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DATA

Name: Fortisフォルティス
Brand: Les Liquides Imaginaires
Launched in 2011
Perfumer: Sonia Constant
100ml ¥27,500

My Episode

昨年からノーズショップに足しげく通うようになったのだが、ずっと気になるボトルがあった。それがリキッドイマジネールだった。燭台を思わせるようなシンプルなデザインと、独特の香水の色のバランスに惹かれていた。
しかし、お値段がお値段だし、ブランドのコンセプトがあまりにも神聖なイメージが過ぎて、下世話なものが好きなぼくには敷居が高いと勝手に思い込んで敬遠していた。いくつか気になる香りがあり、それらの香りはいつか購入しようと思いつつ、ずっと後回しにしていた。
ところが、そんなリキッドイマジネールにも2本のウード系香水がありますよ、とノーズショップの銀座店の店長さんに教えていただき、試してみたら、「なんなの!これ!なんで今まで気づかなかったの!?どういうこと!」と店頭で大騒ぎをしてしまうくらい素晴らしい香りだった。
そして、お値段以上の価値が絶対にあると確信できたので、清水全裸ジャンプをして二本お迎えしてしまったのである。
そのうちの一本が昨日ご紹介した「悪魔の美しさ」。
そして今日ご紹介するのが、もう一本の「Fortis」という香水だ。
ストロングウォーター、転生の香りという副題がついているが、トップから感じられるのが甘めのウッディな香りだ。とにかく包まれ感が半端なく良い。
最初にこの香りが鼻腔をくすぐった時の感覚が、ぼくの大好きなエレナがラルチザンで作った「ボアファリヌ(森のパウダー)」だった。あの少し粉っぽい優しいあたたかさに似たものがこの「フォルティス」にはある。
そして、叫んでしまうほどそれがたまらなく素敵なのである。
なんて優しくて癒される香りなの?なんてあったかい香りなの?と泣きたくなるほどの感動がこの香りにはある。
そして、実は寒い時期につけると良いかと思ったのだが、意外や意外、この香り、非常に乾燥しているので、ベタべたしないから夏にも纏えるウード系の香水なんじゃないかと思っている。
例えば冷房の効いた部屋でこの香りに包まれたら、冷え過ぎを予防してくれるかもしれない。夏の日差しの中でこの香りが立ち上ったら、周囲の湿度を下げてくれるかもしれない。そんな魅力がこの香りにはあって、本当に素晴らしいのである。これももちろん、文句なしの五つ星ウード系香水だ。

NOTES

Top notes: Agarwood (Oud), Cumin, Saffron, Cypriol Oil or Nagarmotha
Middle notes: Guaiac Wood, Vetiver, Cedar, Amyris
Base notes: Sandalwood, Ambergris, Vanilla, Patchouli, Musk

この軽やかさはどこから来るのだろう?と香料を見てみても、今一つそれがわからない。クミンなのか、それともサンダルウッドなのか。バニラも入っているのに、これだけべたつかないというのは、やはり調香師の技なのかもしれない。


My Evalution

★★★★★

さて、今回もまた調香師に注目である。ぼくはその名前を見た時、大声で叫んでしまったほど。この香りを手掛けたのは、あのSonia Constantだ。彼女はエラケーの香水で知った調香師なのだが、他にもモンブランのブティックでぼくがふらふらと何も知らずに試して購入したEmblem Intenseを手掛けた人でもある。
まだこのブログでは取り上げていないが、最近エラケーの「カラハリの叫び」という香水を購入した。それもまた乾いたやさしさを感じる香りなので、彼女は乾いた香りが得意なのかもしれない。
とにかく、自分の好きな香りの調香師が同じだとすごく嬉しくなるし、そして同時にその調香師に会っていろいろ話がしたいという気持ちになってしまう。