第11夜 Patchouli Patch

チョコの甘さにも似た土のにおい…

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DATA

Name:Patchouli Patch(パチュリパッチ)
Brand:L'Artisan Parfumeur
Lauched in 2002
Perfumer: Bertrand Duchaufour & Evelyne Boulanger
日本では販売終了

My Episode

昨夜の「バラ泥棒」の紹介の時に、「香水というのは生ものだと思う」という話をしたが、まさにこの「パチュリパッチ」もぼくにとってはそんな生ものらしい思い出のある香りである。
この「パチュリパッチ」のぼくの第一印象は「臭い」だった。
初めてこの香りを嗅いだ時、ぼくは思わず「何!?これ!臭いよ!絶対にこんなのつけないよ!」と大声で言ってしまったほど強烈な拒否感を覚えた。
湿った土の香りなんかわざわざ香水にしてどうするんだよ?とすら思った。
ところが、である今はとにかくこの香水が好きで好きでたまらない。
香水の名前に「パチュリ」が入っているだけで、無条件で体に吹き付けたくなるくらいこの香りが好きになってしまったほど。
初めて嗅いだ時は、鼻が慣れていないために、どうしても拒否感が先にきてしまう。ところが、鼻が慣れてくると、今度はその拒否感が逆転するようなのだ。
つまり、「嫌よ、嫌よも好きのうち」状態とでもいうか。
この香りも、ぼくよりも周りの人たちの方が「ケンさんに似合っている香りだ」と評価していた。
それでもぼくはずっと、なんだか受け入れられなかった。
ラルチザンの表参道店に行くたびに、この香りを試すんだけど、全然買う気にならなかったから、当時の店長は「そうね、そこまで苦手なんだったら、まだ買わなくて良いんじゃない?」と言われて続けていた。
だから、この香水を手に入れたのは、初めてこの香水と出会ってから一年後だった。
ところが、そのころには、この香りに対する苦手意識も薄まっていた。両手離しで受け入れるほどではないけれども、ひょっとしたら好きになるかもしれないという予感があった。
だから、初めてこの香水を買った時も、50mlではなく100mlにしたのだ。
そして、その予言は見事に的中し、すでにぼくは3本目の100mlに突入してしまったほど。
この「パチュリパッチ」の大きな特徴は濃厚な雨上がりの土の香りだけではなく、チョコレートのような甘さも感じられること。土のにおいってチョコレートっぽいの?って思ってしまうほど。
そして、その後、ぼくは様々なブランドのパチュリと出会うことになるんだけど、ベースとなるのはこのラルチザンの「パチュリパッチ」なのである。
ぼくにとって、ラルチザンというのは、すべての香料の原点と言っても良いだろう。
パチュリはこの「パチュリパッチ」が基準となるし、バラの香りは昨日ご紹介した「バラ泥棒」、アンバーは「アンバーエクストリーム」、後日登場する予定の「バニーユアブソリュマン」はぼくにとってのバニラ系香水の原点になるし、「アルード」はウード系香水の限定となる。
「パチュリパッチ」は、リニューアル後もしばらくは日本に入ってきていたのだが、今は残念ながら日本未入荷になってしまった。本当にそれが惜しい。
輸入代理店の人と話をするときは必ず「バラ泥棒」「パチュリバッチ」「アルード」はまた日本でも扱って欲しいと懇願しているのだけれども。

NOTES

Top notes: Patchouli, Caraway, Star Anise, White Musk

Middle notes: Patchouli, White Musk, Osmanthus, Iris

Base notes: Sandalwood, Vetiver, Cedar

「バラ泥棒」の時に感じた土臭さというのは、このパチュリの香りだったんだということで、この二つの香水を嗅ぎ比べてみると、そのベースとなる共通のパチュリの香りを感じ取ることができるだろう。
ところで、このパチュリ、ぼくは最近までずっと「香料は土か、あるいは土のついた植物の根っこの部分」だとばっかり思っていた。ところが、パチュリというのは、シソ科の多年生草本と知り、ちょっと驚いた。生の葉の時は匂いがなくて、茎を離れてから香りが立つのだとか。実際にまだ生の葉を嗅いだことがないので、いつか試してみたいと思っている。

My Evalution

★★★★★