第174夜 Batucada

夏の余韻を肌に載せて…

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DATA

Name:Batucada
Brand: L'Artisan Parfumeur
Lauched in 2011
Perfumer: Karine Vinchon Spehner and Elisabeth Maier

My Episode

今週特集しているラルチザンパフュームはぼくがニッチフレグランスにハマったきっかけを作ってくれた素晴らしいブランドである。
どんだけぼくがこのブランドにハマったかというと、好きすぎて、パリの本店にまで押しかけ、英語のできるスタッフをつかまえて、50分間、いかに自分がラルチザンを愛しているかということを切々と訴えたほど。そして、滞在中、休業日以外は毎日のように通ってしまったくらいだ。
そんな好きなブランドの香水すべてが自分のお気に入りか、というと、そういうわけでもなく、好きなブランドだからこそ、辛い評価をつけてしまう香りもある。
実は今日ご紹介するバチュカーダもそんな辛口評価の香水だ。
なんか、ラルチザンっぽくないのだ。
しかし、ぼくがこの香りに触れた時は、そんなに評価は低くなかった。
以前ぼくがやっていた熱帯性恋気圧ではバチュカーダのことは次のように書いている。

アメブロ「熱帯性恋気圧」からの転載】

この香水を初めて知ったのは、
2013年のシオドメ大学で行われたフレグランス講座。
その時に香りで世界を旅をすると言う画期的な企画があったのですが、
ブラジルの香りとしてこの「バチュカーダ」が登場したのです。

リオのカーニバルを連想させる
非常に明るくて楽しい香り。
しかも、ダンサーの汗のアコードが入っているっていうんだから、そこも面白い。

ただ、この香水、
ラルチザンパフュームの中ではちょっと異色な存在でもあります。
ラルチザンフリークには今ひとつ人気がないというか。
ラルチザンっぽくないって言う人もいるんです。

ラルチザンの魅力は、どの香水も
どこか影があるところなんですけど、
まぁ、確かにこの「バチュカーダ」にはあまり影はありません。

ただ、だからといって、この香水を
(好き嫌いはあるものの)
あなどってはいけないって思うんですよね。

だって、やっぱりつけていると素晴らしい!って思えるもん。
とにかく、それをつけただけで、太陽を感じるのです。
たとえば…。
なんか嫌なことがあっても、
その香りをまとえば、心の底からっていうわけにはいかないけど、
少なくとも表面的には笑顔になれる。
そういう気持ちにさせてくれる。
そんな力をこの香水に感じるの。

そして、笑顔を作っているうちに、
だんだんと悩んでいることがばからしくなってきて、
最終的には心から笑えるようになるっていうか。

「バチュカーダ」はシトラス系の香りですが、
それにちょっと甘さが加わります。
単なる柑橘系で終わらないところが面白い。
甘爽やかな感じとでもいいましょうか。

【転記ここまで】

褒めているんだか、けなしているんだか良くわからないが、
でも少なくとも、好意的な印象。
そう、この香りには影がない。
そこが物足りなく感じることも多い。
ぼくは影のある香りが好きなのだ。
明るくても、どこか陰影を感じるような、そんな香り。

ところで、そのアメブロには、当時日本のラルチザンの公式ページに掲載されていた文章を載せていたので、改めて、ここにも載せておきたい。
こういうのは、香水が廃盤になると、公式ページからも消えてしまうので、とても貴重だと思うし、できるだけそういう文章はアーカイブとして残しておきたいと思っている。

【ラルチザンパフューム 日本の公式サイトに掲載されていた説明文】

バチュカーダ

歓喜のバイブレーション、ビーチの戯れ、サンバダンサーたちの誘惑。

バチュカーダが誘うのはブラジル・リオの海岸。眩い太陽と海、絞りたてのライムが香るカクテル・カイピリーニャ、日灼けした肌に似合うエキゾティックな花々―。やがて夕日が辺り一面を染め、潮風と波音がセンシュアルとけていく中、幕を開けるサンバカーニバル! 終わらないヴァカンスの輝きと幸せな陶酔感に酔いしれて。

香調:シトラス ウッディー フローラル

 

旅をテーマにした香りを次々と出していたラルチザンパフュームならではの香りなのかもしれないが、やはり、物足りなさは否めない。

ただ、香りそのものはとても素晴らしいので、残りの数滴を大切に使いたいと思っている。

Note

Top notes: Lime, Mint, Sugar Cane
Middle notes: Tiare Flower, Ylang-Ylang
Base notes: Sea water, Salt, Coconut

南国の花、果物、ミント、ココナッツ、海水。
もう、ほんと夏全開な香り。開放的な夏を楽しみたいと思ったら、この香水は必須なのかもしれない。

My Evalution

★★★

やはり、これも評価は低くなるが、それでも30mlをここまで使い切ったってことは、それなりに好きだったんじゃないかと思う。