第219夜  Cuir Beluga

上品なオリエンタルバニラに潜むレザーの中毒性

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DATA

Name:Cuir Beluga (キュイール・ベルーガ
Brand:Guerlain(ゲラン)
Lauched in 2005
Perfumer:  Olivier Polge
100ml ¥46,200

My Episode

先週、ちょっと落ち込むことが続き、気分転換に香水を買った話はもういくつか前の投稿で書いた通りなのだが、当初は閉店になってしまうNOSE SHOP銀座店で購入するだけの予定だった。
当初の予定通り、5本の香水を購入し、いったんは満足したので、一服するために良く行く喫茶店に行き、いつものごとく手帳に向かっていた。
ところが、お店を出たとたん、ぼくの頭の中で連想ゲームが始まった。その日買った香水を反芻していたのだが、前にも書いた通り、その日はずっと欲しいと思っていたオーケストラパルファムの「アンバー・チェロ」と「テ・ダラブッカ」を購入。そういえば、去年はオーケストラパルファムは「キュイール・コラ」を買ったんだよな…。あれ?ちょっと待てよ「キュイール」ってどっかで聞いたことのある名前。なんだっけ?なんだっけ?あ!「キュイール・ベルーガ」だ!えーと、えーと、どこのブランドだっけ?あ!ゲランだ!そうだそうだ!あれも革の香りだったっけねぇ...。
と頭の中でぐるぐるし始めた。
実は去年の年末に中学時代からの友人たちと二年ぶりとなる小さな忘年会をしたのだが、その時に旧友から「タケダ、革ジャンとか着てみたら?似合うよ」って言われたのだ。
それまで、革ジャンというと、ぼくの中ではトム・オブ・フィンランドのあの強烈なイラストのイメージがあり、革ジャン=ハードゲイという先入観があったのだ。
とうていぼくからは程遠いファッション。
でも、もう40年近い付き合いとなる友人から「似合うよ」って言われたら、気になるではないか!
ということで、ぼくは生まれて初めて本格的な革ジャンを買ったんである。そうしたら、これが、実に楽しい。
革ジャンがハードゲイという一方的な偏見ともいえるイメージはすっかり払拭された。
普通のジャケットと同じように着られるし、いろんなインナーやパンツとも合わせられる。そして、実際に似合っていると言われることも多くなった。
元々レザー系の香りは好きだったので、そんなレザー系の香水と合わせて着ても様になる(気がする)。
じゃあ、こうなったら気になっていたゲランの「キュイール・ベルーガ」も試しちゃえ!と、連想ゲームの後に思い立ち、足は帝国ホテル内のゲランに向かっていた。
ぼくがいつもお世話になっているお店の方がいたら、彼女から購入しよう。もしいなかったら、試すだけ試して帰ろうと思ってお店のドアを開けたら、なんとそのいつも担当してくれるスタッフがにこやかにお迎えしてくださり、ぼくは嬉しくなって、またいろいろとおしゃべりをしながら、「キュイール・ベルーガ」を試させてもらった。
ぼくはすでに「ドゥーブル・バニーユ」や「サンタル・パオロッサ」を持っているのだが、次に買うのは「ボア・ダルメニ」と決めていたので、ちょっと悩んで、結局最終的にはやっぱり初志貫徹で「キュイール・ベルーガ」に決めた。
決め手はやはり革の香り。でも、面白いのが名前ほど革の香りが前面に出てこないんである。むしろヴァニラの甘さがメインという感じ。そして、そのヴァニラというのも、甘ったるいだけのヴァニラではなく、ちょっとスモーキーでピリっとした感じのヴァニラ。
ぼくはヴァニラというのは非常にオリエンタルな香りだと思っているのだが、ゲランの「キュイール・ベルーガ」はまさにそんなオリエンタルの雰囲気を纏ったヴァニラなんである。そしてその奥に潜むレザーが、なんとも色っぽい。
これは革ジャンを着た冬の日にたっぷりと肌に載せ、革ジャンの中から香らせたい香りだと思った。
夏だと少し甘さが重く感じられるかもぢれないので、春先ぐらいまでの方が良いだろう。
まだもう少し寒い日が続くので、この香水の出番はまだまだありそうだ。


NOTES

Top notes:Tangerine ,Aldehydes
Middle notes:Immortelle ,Patchouli
Base notes:Vanilla, Suede, Heliotrope ,Amber

革の独特のアニマル臭が薄まっているのは、Suedeによるものなのかもしれない。それが非常に上品な革の香りに仕立て上げているような気がする。

My Evalution

★★★★

ゲランの香水全体に言えることなのだが、重い香りでも上品さがどこかに感じられる。アニマル臭も美しくまとまっている印象で、そこがこの「キュイール・ベルーガ」でも感じられるところで、中毒性のある香りだと思う。