第285夜 Cherry Oud 

瑞々しくてレザリーで意外なウード

DATA

Name:Cherry Oud(チェリーウード)
Brand:Guerlain (ゲラン)
Lauched in 2022
Perfumer: Delphine Jelk
100ml ¥46,200

My Episode

今年はウードの当たり年か!?
7月にヴィトンから中東シリーズの1本として新作のウード系香水が出た後さらに、6月末にジバンシィから3種類のウードが出た時、何となくぼくはそんな気がしていた。
8月に入ったら、今度はゲランから3種類のウードが出るというではないか!ぼくの「今年はウードの当たり年か?」という予感はほぼ的中したと思って良いだろう。
この千一夜香水物語しつこく「ウード!ウード!ウードを巡る旅!」と叫んでいたのが世間的に認められたんじゃないかと勘違いしてしまうほど。
ウードの香りは中東の人たちが好んで纏うだけあり、ちょっと癖が強くて、軽めのシトラス系香水が一般的に人気な日本ではなかなか認知度が低いと勝手に思っているのだが、やっと時代が追い付いたということなのだろうか?
海外では数年前にウードブームが起こったが、残念ながら日本ではまだそこまで香水市場は成熟していなかった感がある。
だが、例えばNOSE SHOPのようなニッチフレグランスを扱うお店が増えたり、伊勢丹や阪急メンズ館といったデパートのフレグランスコーナーもだんだん充実しつつある中で、少しは日本人の鼻腔も成長したのではないかと勝手にぼくは思っている。
さて、ゲランから3種類のウード系香水が出ると聞き、ぼくは発売前の8月下旬に伊勢丹の売り場で先行で発売される2種類のウード系香水を試させてもらった。
まったく違ったベクトルのウード系香水なのだが、どちらもしっかりとぼくの左右の鼻腔を悦びで満たしてくれたので、これは是が非でも購入しなくては!と思った。
だが、初回の日本の入荷数が少ないと聞いたので、ぼくは焦った。
試香させてもらった伊勢丹のゲランのコーナーには知っているスタッフがいなかったので、ぼくは伊勢丹を出て、すぐにいつもお世話になっているGINZA SIXの売り場に電話をして、初回入荷分を100mlずつ抑えてもらったんである。
香水というのは決して安い買い物ではないので、やっぱり良く知った店員さんや良く使う売り場で買いたい。それにそのデパートなり商業施設のポイントがたまるんであれば、そういうことも加味して購入を検討したいではないか。
なので、ぼくはわざわざGINZA SIXに電話したんである。
さて、発売初日の昨日、鼻息も荒く、鼻腔をパンパンに広げながら、売り場にでかけた。
そして、またスタッフの方々とおしゃべりをしながら、香りを試し、さらにカスタマイズのキャップのトップやリボンなどを選定し、さらにいつもようにKENという刻印まで入れてもらった。
そして、用事を済ませて帰宅してから、添寝香水として「Cherry Oud」を選んだ。
伊勢丹で試した時と同じ印象を持ち、やっぱりぼくの鼻のファーストインプレッションは間違っていないと思った。
タイトルからすると「Oud Nude」の方がアニマリックで癖のある重さなのかと思ってしまうが、実際には「Cherry Oud」の方がレザー感があって重い。ただ、すごいのは、その重さの奥にしっかりとチェリーのフルーティーさは感じられるのだ。
肌に載せた瞬間、フレッシュでフルーティーなチェリーの香りが漂い、その後、2種類のローズが絡み合うと、今度はレザリーな印象へと変化する。そこで、鼻腔をひくつかせると、その奥に、ふきたてのCherryのみずみずしさがほのかに漂っているんである。
さらにすごいのは、ゲランの核のような香りもしっかりと感じられるところ。他のブランド、例えば同じようなウード系の香水を出しているヴィトンやジバンシィといったブランドでは感じることのない、ゲランらしい香りがしっかりと芯の部分にあるということ。
それを言葉にするのは非常に難しいんだけどね。
明らかにゲランだとわかるようなゲランのどの香水にも根っこの部分にある共通の香りがある。
(全然違うブランドだけど、ルラボもそういう根っこの香りというをぼくはものすごく強く感じる)
これは、もう、本当にこれからずっと大切にしたいウードの香りだなと思った。

NOTES

Top notes: Cardamom, Cinnamon
Middle notes: Turkish rose, Bulgarian rose
Base notes: Oud Wood, Cherry Accord

残念ながらFRAGRANTICAにはまだ詳細が掲載せれていないので、別の海外サイトに掲載されている情報から。
カルダモンとシナモンの香りは最初のチェリーのみずみずしさの中にほんのり感じるが、すぐに2種類のローズの香りに紛れる。そして、そこで感じるのはサフランのようなスパイス。そう、ウード+ローズ系の香水でしばしば感じられる香りだ。
それでいながら、しっかりとミドルからラストにかけてチェリーの重みのある香りが残るのがすごい。本当にすごい香りだと思う。

My Evalution

★★★★★

「Cherry Oud」は重いので夜に添寝香水としてつけたいのだが、その重さというのは、嫌味がまったくないので、シチュエーションはそんなに選ばないと思う。レザー感もあるけど、それもまた押しつけがましくない。ウード系の重さはあるのに、ここまで重ったるくならないのはすごいなぁ。語彙力がほとんど破壊されているけど、とにかくすごい香りなんで、ぜひ多くの方に確かめて欲しい。そのすごさを両方の鼻の穴を使って感じていただきたい!

ゲランもジバンシィと同じようにキャップの部分をカスタマイズできるので、今回はチェリーっぽい色とリボンを選択した。グレーとピンクの組み合わせ、大好きなんです!