第368夜 Harmattan

変化が激しい革の香り

DATA

Name:Harmattan 
Brand:Ella K Parfums
Lauched in 2021
Perfumer:Sonia Constant
日本限定発売

My Episode

自分の中でこんなにも評価がころころと変わる香りも珍しいと思うくらい、この「Harmattan」はユニークな香りだ。
とにかく、トップとラストの香りの変わりようったら!しかも、それが変態っぽい変化をするから面白い。
どんな風に変態かというと、トップは非常に爽やかでさっぱりとした香りなのに、ラストはアニマリックに豹変するのである。
この香り、昨年の伊勢丹で開催されたサロンド・パルファンにて、限定で発売されたものなのだが、事前に試す機会があり、その時に肌載せをしてみたら、トップはものすごくすんなりと(シトラスなのに、ちょっと影のある感じがたまらなかった)受け入れられたので、他の2本の限定香水とともに予約リストに入れておいてもらったのだが、伊勢丹を後にして、家に帰りつくころには、香りが大きく変化していることに気づいた。
なんだか、非常に獣臭い。なんていうか…。外国人のワキガのにおいとでもいおうか…。そんな獣のような香りがして、ちょっと「too much」な感じになった。
正直、予約をキャンセルしようと思ったほど。
でも、せっかく予約をしたし、限定だし、二度と手に入れることはないのだから…と思いなおし、そのままサロンドパルファンで購入をすることにした。
その後、ぼくは何度もこの香りを肌載せしてみたのだが、そのたびに自分の中で「好き!」となったり、「やっぱり苦手!」となったりして評価がまったく定まらなかった。
これを書いている今でも、右手内側に載せた香りを何度もかぎながら、評価をどうしよう…と悩んでいる。
トップのシトラスに陰があるというのも、実はラストのアニマリックな香りを予感するような香り立ちだ。
これが単なるシトラスだったら、ぼくは見向きもしなかっただろう。
そして、ラストのこの独特のアニマリックな香りは、革の香りで、それがアニマリックな革の香りなのだ。あまさはそれほど感じ取れず、だからぼくの鼻腔は獣の香りばかりを感じ取ってしまうのだろう。
でもね、その日の気分や体調によって、この香りに対する評価が全然変わってきて、すんなりとこの獣臭さを受け入れられる時もあるから侮れない。

NOTES

Geranium, Texas Cedar, Leather

明かされているのは、この3種類の香料のみ。ゼラニウムがトップの爽やかさを演出しているのだろう。そして、やはりレザーとシダーがこの香りの中核となる獣臭さの主要因であることは間違いない。

My Evalution

★★★
評価は悩みに悩んで、★3つ。でも嫌いじゃない。
ちなみに、ハルマッタンとは、西アフリカで吹く貿易風のことで、湿気を奪うほどの乾燥した風のようだ。細かい砂塵を含んでいて、北アメリカ大陸まで届くのだとか。
そんな貿易風に想いを馳せて肌に載せると、またなんか印象ががらりと変わってくる。湿度の高い夏の時期に纏ってみたらどうなるだろう?ちょっと楽しみだ。