第317夜 sainte nuit

ジューシーな甘さに彩られたクリスマス

 

DATA

Name:sainte nuit
Brand:KOHSHI
Lauched in 2022
Perfumer: Matsuno Hidenori(松野 秀至)
50ml ¥18,700

My Episode

今年の11月に伊勢丹のサロンドパルファンでぼくがとても惹かれたブランドのひとつがKOHSHIである。
日本人調香師が手掛ける香水の数々はどれも日本人離れしたユニークなものばかりで、しかも様々な香水があり、そういったところも含めて、わくわくさせられたブランドであった。
そんなKOHSHIが今度は大阪で開催されるサロンドパルファンに参加し、しかも、その大阪のサロンドパルファン限定の香水を出すというではないか…。
しかも、その内容がどうもぼく好みの香りらしいのである。
そうなると、もういてもたってもいられなくなる性格なので、すぐに大阪行きのスケジュールを組み、日帰りで行くことにした。
それが大阪サロンドパルファン2日目の昨日のこと。大阪在住の香水好きの人と待ち合わせをして、オープンと同時に入店し、目指したのは、もちろんKOHSHIのブース。
鼻息も荒く、その限定の香水を試させてもらったのだが、もう、これが本当によくできている香水で、ぼくの勘は大当たりだった。
まず、トップで鼻をまっさきに刺激するのはチェリーのような甘い香り。お菓子を彷彿とさせる甘さなのだが、非常にジューシー。
でも、調香師である松野さんが手掛けるKOHSHIの香水の面白いところは、単なる「ジューシーな甘さ」だけでは終わらないというところ。その甘さをしっかりと保ちつつ、ミドルからラストにかけて落ち着きが出てくるのだ。そして最後の方は少しスモーキーな印象が続く。
チェリーのようなジューシーな甘さをきちんと余韻として残しながらも、しっかりとパチョリの重さを感じるところがこの香水の面白いところなんじゃないだろうか。
これはまさにクリスマスの前後にたっぷりとまとって楽しみたい香水だと思う。

NOTES

Orange, Cinnamon bark, Mandarine Red, Snow, Vanilla
Middle notes:Jasmine, Hiba Leaf, Cassis Leaf, Rose
Base notes:Vanilla, Powderic Musk, Hinoki, Patchouli

トップノートで最初にぼくが感じたのはチェリーのような甘さなのだが、公式のインスタやFBで明かされている香料の中には入っていないので、ひょっとしたら表記されていないだけなのかもしれない。そして、やっぱりシナモンがほんのり感じられる。それも甘いシナモンの香り。チェリーのような甘さが引き立つのは、ひょっとしたらシナモンが要因なのかもしれない。


My Evalution

★★★★

これぞまさしくクリスマスを香りに封じ込めたような香り。ちょっと着色料たっぷりのアメリカのお菓子感があるのだが、でもここまで振り切った甘さというのも実は珍しいと思う。(DEMETERあたりで作りそうな気軽な甘さでもある)ただ、やはり単純なように思えてラストにかけて非常に面白く変化するので、それを楽しみたい。ただし、夜っぽさはない。あくまでも朝から昼間、外が明るい時間のクリスマスという印象。

大阪サロパ限定とのことだが、できれば何かの形で定番化して欲しい。なんだったらクリスマスの時期だけ毎年少しずつバージョンを違えて出すというのも面白いんじゃないだろうか?いずれにせよ、とにかく甘くてジューシーな香りが好きな人には試して欲しい香水だ。

 

ところで、KOHSHIのボックスの箱の裏蓋にはメッセージが書いていあるのだが、サロパ限定の商品だけその部分が少し違うので、そこにも注目して欲しい。