聖なる香りは華やかに

DATA
Name:Seville a l'Aube
Brand:L'Artisan Parfumeur(ラルチザンパフューマー)
Lauched 2012
Perfumer: Bertrand Duchaufour
My Episode
ぼくがベルトラン・ドゥショフールを知ったきっかけとなったのはラルチザンパフューマーで彼が調香した香りと出会ってからである。当時ベルトランはラルチザン専属とまではいかないけれども、パリの本店の2階に彼専用のラボを持っていたほどラルチザンで多くの名香を手掛けた。ぼくのウード狂のきっかけとなったアルード、寺院の石をイメージしたという今でも販売されているゾンカ、マリの求愛ダンスから着想を得て、これもまだ継続販売されているタンブクトゥ、青唐辛子をメインにしたピマンブルラン、パチョリを全面に出したパチョリパッチなどなど、彼がラルチザンで手掛けた香水はどれも唯一無二で個性的。ぼくは一筋縄ではいかない香りが大好きだから、すぐに彼の名前を覚え、そして彼の香水に夢中になり、パリの本店に行った時にそのあふれんばりの愛をつたない英語で伝え、本国のスタッフたちにも呆れられるほど。
ぼくはなんでもそうだけど、好きになるととことん自分が納得するまで追求しないと気が済まないんである。
さて、今日ご紹介する「セヴィーヤ・ローブ」もまたそんなベルトラン・ドゥショフールが手掛けた、これまた印象的な香りである。この香りを一言で表すなら、豪華で華やか。濃厚なんだけど、軽やかさもあって、そしてあまり他にはこういう香りを知らない。ぼくはこのブログでそろそろ500本近い香りを紹介することになるのだが、この香りと似た香りというのを思いつかない。系統としては、グラマラスな花系統なんだけど、それだけではない不思議なフレッシュさも感じられるんである。
そして、今では「セヴィーヤ・ローブ」と聞いただけで、鼻腔がこの香りを思い出すことができるほど。(ベルトランの香りって、ぼくとよっぽど相性が良いのか、鼻腔が記憶している香りが非常に多い気がする)
ただ、あまりにもゴージャスな香りなので、例えばちょっとおでかけ、とか、食事に行くとかいう時には避けた方が良いかも。人が大勢あつまるようなパーティーとかそういうところで印象付けることができるような気がする。
この香りについても、以前、熱帯性恋気圧というブログで書いているので、この香りの部分だけを載せておきたいと思う。
今日は実はカソリックであるぼくにとっては特別な日。
イースターなんです。
イースターと言う言葉は最近では日本でも聞かれるようになりましたが、復活祭のこと。
ただ、復活祭という言い方をしてもなかなか異教徒にはわかりにくいかもしれません。
十字架にかけられて処刑されたイエス・キリストが復活をした日とされ、
実はキリスト教の中ではクリスマスよりも重要視されている日なのです。
そのために、復活祭の前からさまざまなミサなどが行われています。東京は「天使が降りてきそうなほど」「空がとっても低い」「小雨の朝」という、
まさにユーミンの描いた「ベルベット・イースター」な一日となりました。本当はぼくもミサに行かなくちゃいけないんですけど、
ここ数年、ゲイであることと、カソリック教徒であることの葛藤があり、
まったく教会には行っていません。
ま、心の中でお祈りすれば良いのですと勝手に自分に言い聞かせているのですが。さて、そんなイースターにふさわしい香水があるので、ご紹介したいと思います。
それが、ラルチザン・パフュームの「SEVILLE A L'AUBE セヴィリアの夜明け」です。
この香水はベースとなるある物語があります。
調香師は昨日もご紹介したベルトラン・ドゥショフールなのですが、
彼が、デニス・ボーリューという女流作家から聞いた話にインスパイアされて、
最初は彼女のために作ったのだとか。デニスがスペインのセビリアを訪れたのは、セマナ・サンタと呼ばれる聖週間の頃。
木々に咲き誇るオレンジブラッサムの甘い香りや、
スペイン人が愛用しているラベンダーのコロンの香り、
教会から漂ってくるキャンドルやお香の香りで街は満たされていました。
そこで、彼女は、あるスペイン人男性と出逢い、恋に落ちたのです。
彼女が男性と出逢い、そしてふたりで夜明けを迎えたというストーリーが
この香水の中には封じ込められています。
なんだか、とてもロマンチックですよね。そんな物語をまとうことができるなんて、本当に素敵です。
ちなみに、復活祭は移動祝祭日なので、年によって日付が変わります。
今年のセビリアでのセマナ・サンタは3/27-4/5。
つまり、まさに今日が最後の日なんですね。
さて、香りに関してですが、
一度嗅いだら忘れることができない、かなり特別な香りだと思います。
そういう変わった香りって、どうしても癖がありそうな感じがするかもしれませんが、
これは実はそんなに凄い癖っぽい癖はないんです。
誰もが知っているような香りなんだけど、ちょっと華やかだからそれが独特で癖だと感じる。
といったところでしょうか。
まず最初に感じるのは華やかで甘やかな花の香り。
それも、オレンジを連想させる柑橘系の花の香りです。
ぼくはこの香水をつける時はできるだけオレンジ色の服を選びます。
オレンジがどこかに入っていたり、ベネトンのオレンジのVネックセーターだったり。
とにかく、ラベルの色からもオレンジが連想される香りなのです。ラルチザン・パフュームの公式ページ には以下のように紹介されています。
セヴィリアの夜明け
香りが招くのは、スペイン・アンダルシア地方のセヴィリア。セマナ・サンタ(聖週間)の街で恋におちた男女の物語を蜜のように甘いオレンジブロッサムの香りを基調にドラマティックに描きます。香りの印象を引き立てるのはスピリチュアルなお香や、優美なときめきを呼ぶホワイトフラワー。ラストはセヴィリア産のラベンダーとフランキンセンスが美しく共鳴し、物語(香り)全体に深みのある奥行き与えます。ストーリーを紡ぐような香りに酔いしれて、いつしかあなたが物語の主人公に―。
香調タイプ / オリエンタル シングルフローラル:オレンジブロッサム
ヘッドノート / ラベンダー、ピンクペッパー、レモンツリーリーフ
ハートノート / オレンジブロッサム、ジャスミン、マグノリア
ベースノート / ビーズワックス、インセンスアブソリュート、安息香、セヴィリア産ラベンダー
調香師 / ベルトラン・ドゥショフール
香調タイプはオリエンタルとなっていますが、最初はあまりそれは感じません。
ミドルからラストにかけて、だんだんとトップで感じられた華やかさが落ち着いてきて、
インセンスの香りが肌に残るのです。
それがオリエンタルと感じられる所以。会社に行く時とか、昼間におでかけする時とかはあまりつけられないから、
ぼくにとっては出番の少ない香水になってしまうのですが、
たとえば、何か華やかなパーティーにでかける時にはぴったりの香りだと思います。
女性だったら、ドレッシーな格好にこれをつけると、さらに華やかになります。
男性もタキシードなんかの下にこれをそっと忍ばせるっていうのも良いかも。
お花の印象が強いので、女性っぽく感じる人もいるかもしれませんが、
かなり大胆な花の香りなので、男性でも、
中途半端なフェミニン香水よりは、つけやすいのではないでしょうか。ぼくは先週はこの香水をまとうことが多かったです。
イースター前だったし。そして、この香水はオード・パルファムなので、濃厚なのですが、
オレンジブラッサムという比較的明るい香りだから、
重ったるくならないので、夏でもOK。
休日のパーティーとか、夜のパーティーとか。
あるいはひとりで何となく寂しい夜に敢えてこの香水をつけて寝ると
寂しい気持ちも紛れるかもしれません。
この香りがすごいと思うのは、華やかで一見重そうに感じるのに、纏ってみると軽やかに感じられるところ。確かに纏っていく場所はちょっと選んでしまうけど、でも香水の良さを感じられる香りでもある。とにかく安っぽくない。いろんな香りの層が絶妙なバランスで体を包んでくれるっていう感じがするのだ。
NOTES
Top notes:Petitgrain, Olive Blossom
Middle notes:Orange Blossom, Beeswax, Lavender, Tobacco, Jasmine
Base notes:Benzoin, Olibanum
この香りが単なるオレンジブラッサムの香りで終わらないのは、インセンスや蜜蝋、煙草などがそれを支えているからなのかもしれない。
My Evalution
★★★★
本当は星5つといいたいところだけど、やはりどこへでも気軽につけていくことができないという部分があるので、正確に言うと4.5の評価。でも、ベルトランらしさ、そして他にはない面白さを存分に感じられる。
