第71夜 Tobacco Oud

甘い煙に燻されて…

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DATA

Name: Tobacco Oud (タバコ・ウード)
Brand: Tom Ford
Launched in 2013
Perfumer: Olivier Gillotin


My Episode

トム・フォードから魅力的な香水が出ていることを知ったのは、2年ほど前のこと。しかし、その時はまさかウード系の香水がトム・フォードから出ているとはまったく知らず、ノーチェックの状態だった。
ところが、昨日ご紹介した「ウード・ウッド」の存在を知ってから、芋ずる式に、他にもトム・フォードからウード系の香水が出ていることを知った。
しかし、キリアンのウード系香水が日本に入ってこないのと同様に、トム・フォードのウード系香水も「ウード・ウッド」以外には日本には入ってきていない。
では、どうやってその存在を知ったのかというと、インターネットだ。
ネットで色々と調べているうちに、トム・フォードから「ウード・ウッド」の他にも何種類かのウード系の香水が出ていることを知った。
今日ご紹介する「タバコ・ウード」はそのうちの1本だ。
タバコ系の香りも好きなので、ウードとタバコの組み合わせは最高だろうなと思い、この香水の存在を知ってから、どうしても手に入れたくなり、ネットで色々と調べてみたら、なんとメルカリで販売されているではないか!
ただ、一つだけ懸念点があり、異常に安いのである。
例えば、日本の正規店での値段を参考にしてみると50mlで3万円ほど。しかし、メルカリに出ていた「タバコ・ウード」は100mlで2万円以下だったのだ。
これは非常に悩んだ。
トム・フォードは偽物も数多く出回っていることも知っていたから。
しかし、出品している人のプロフィールを確認したり、詳細の写真を確認したりしても、偽物らしき様子はなかった。
そこで、思い切って購入したんである。
しかし、ここでまた問題が発生。
本物の「タバコ・ウード」を知らないので、届いたものが本物か偽物かまったくわからないのである。
とりあえず香りを試してみると、香りそのものはとてもぼく好み。甘めのスモーキで、深みも感じられる。
ただ、すでに持っている正規品の「タバコ・バニラ」と比較すると軽いんである。拡散力もそんなにない。
ひょっとしてこれは偽物?という疑念がどうしてもぬぐえなかった。
そこで、先日大阪の香水エキスパートの店員さんにお会いする時に、ダメ元でこの「タバコ・ウード」を持って行って鑑定してもらったのだ。
彼だったら、きっと様々な角度からこの香水を鑑定してくれるに違いないと思ったので。
そして、その彼が下した鑑定は「本物でしょう」ということだった。
底面についているシールには販売員にしかわからないような記号が刻印されているようなのだが、それも本物らしいし、香りも非常にトム・フォードらしい香りなので、これは本物だと思って間違いないとのこと。
ぼくはそれを聞いて、とりあえずほっとした。
もちろん、正規品がなんでこんなに安かったのか?という疑問は残るけど。
ともあれ、偽物疑惑がやっと解消されたので、これで大手を振って(?)この香水と向き合えるようになったのではあるが、まだ何度かしか纏っていないので、ファーストインプレッションしか書けないのではあるが、とにかくスモーキーであることは確か。
以前ご紹介したディプティクの「ウードパラオ」に通じるスモーキーさがこの「タバコ・ウード」にはある。

ただ、「ウードパラオ」ほどの華やかさというか、拡散性はそれほどなくて、意外とあっさりとした香りなので、夏にサクッと纏いたい時などは良いかもしれない。

NOTES

Top notes: Whiskey
Middle notes: Spicy Notes, Cinnamon, Coriander
Base notes: Tobacco, Agarwood (Oud), Sandalwood, Patchouli, Incense, Benzoin, Vanilla, Cedar

独特の甘いスパイスを感じるのだが、ぼくの鼻でかぎ分けることができるのは、サンダルウッドの甘さだ。それが一番強く感じられる。ウィスキーやシナモンといった香りもこの甘さを支えているのかなという感じもして、この構成を見ただけでもぼくの好みだということが良くわかる。


My Evalution

★★★

 

第70夜 Oud Wood

洗練されたエキゾチックなウードに魅せられて

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DATA

Name: Oud Wood (ウード・ウッド)
Brand: Tom Ford
Launched in 2007
Perfumer: Richard Herpin
50ml ¥30,800


My Episode

アメリカのブランド、トム・フォードから香水が出ていることを知ったのは、実は3年ほど前のこと。香水好きの女友だちと新宿で会うことになり、その時彼女に教えてもらったのだ。
その時ぼくが購入したのは、「タバコ・バニラ」だったのだが、実はトムフォードからはウード系の香りが出ていることを後になって知った。
しかし、お値段がお値段(3万円を超える香水はどうしてもハードルが高くなってしまう)なだけに、ずっと後回しにしていた。
売り場で何度も試し、そのたびに印象がまったく変わるので、なかなか踏み切れないというのもあった。
どういう風に印象が変わるのかというと、トム・フォードの独特のグラマラスさが鼻につく時と、すっと肌に馴染む時があるのだ。「タバコ・バニラ」の時も同じようなことを感じたのだが、まだバニラがメインなので、それほどその差が気にならなかった。
しかし、ウードとなると、やはりどうしても気軽に身に纏えない時があるのだ。
だから、この「ウード・ウッド」をお迎えするまでには少し時間がかかった。ところが、今年のお正月明けぐらいに再びこの香りを試してみたら、妙にすんなりと肌に馴染んだのである。
たまたまネットで日本未発売の「TOBACCO OUD」をネットで注文したばかりだったということもあり、気分はトム・フォード的な感じだったので、えいや!とお迎えしたのである。

「タバコ・バニラ」の非常に濃くて独特な香りがあまりにも強烈過ぎて、この「ウード・ウッド」もきっとそういう強烈さがあるに違いないと覚悟していたのだが、実際に家で肌に載せてみたら、売り場で感じたほどの強烈さは薄らいだ。
軽やか、とまではもちろんいかないのだが、独特のエキゾチックさを保ちながらも、非常に上品にまとまっている印象。こんなに洗練された香りだったっけ?と逆に拍子抜けしたほど。
ただ、やはり日本人には好き嫌いがはっきりと分かれる香りだと思う。こういう香りをきちんと定番として日本でも販売しているトム・フォードはとても素晴らしいと思うし、ぜひ他のウード系の香水も日本で正式販売して欲しいなぁと切に願う。

NOTES

Agarwood (Oud), Brazilian Rosewood, Sandalwood, Cardamom, Vanilla, Sichuan Pepper, Vetiver, Tonka Bean, Amber

Sichuan Pepper とは、山椒のことなのだが、そんなにスパイシーな感じはしない。ただ、エキゾチックな感じがするのは、この山椒の要素を鼻が感じ取っているからなのかもしれない。


My Evalution

★★★★

 

第69夜 Dark Aoud

アニマリックなレザージャケットにくるまれた深いウードの香り

 

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DATA

Name: Dark Aoud (ダークウード)
Brand: Montale
Launched in 2011
Perfumer: Pierre Montale
50ml ¥13,000


My Episode

モンタルからウードの香りがたくさん出ているということを知ったのはつい最近のことだ。
それまでにもモンタルの独特のボトル(キャップがついていなくて、そのかわりにノズルの間にネクタイピンのようなものが挟まっているというユニークなボトル)は知っていたし、店頭で(そんなにあちこちで扱いがあるわけではないけど)見かけてもいた。けれども、種類が多すぎるし、なんとなく、勝手に「どうせDCブランド系のちゃらい香りなんでしょ?」という偏見などもあり、まったくノーチェックだった。
しかし、実はモンタルはウードの香りを様々な形で出していて、ウードを追求しているブランドでもあると知って、急に興味を持ちだし、2021年に入ってから急激に集め始めたんである。
さて、そんな数あるウードの香水の中からぼくが選んだのは、「Dark Aoud」だ。
香料的には、ウードとサンダルウッドという二大香木が使われている。つまり、沈香と白檀の香りだ。もう、この組み合わせは最高級中の最高級だ。
確かに肌に載せてみると、名前の通り、非常に深い重たい香りを感じる。ところが、ぼくの鼻には白檀の香りというよりも、レザーの香りの方が強く感じられるのである。香料を見てみても、レザーは正式には表記されていないのだが、非常にアニマリックなレザーを感じる。
何かの動物の革で作られたジャケットを着ているかのような錯覚に陥るくらいだ。
だから、レザー系の香りが好きな人にはぜひ試して欲しい。
モンタルからは「Aoud Leather」というのが出ているのだが、そちらの方がむしろ軽めのレザーという感じだ。(そして非常にそれも良い香り。次のウード特集でモンタルをまとめてご紹介したいと思うので、その時に取り上げる予定)
モンタルのウードは種類が多いだけでなく、かなり良質の香料を使っているのではないかと思うほどクオリティが高いので、これからも積極的に使いたいと思っている。

NOTES

Agarwood (Oud), Sandalwood

公式のサイトを見ても、詳しい香りの構成は明かされていないのだが、香りそのものはとてもシンプルだと思う。そして時間による変化も少な目で、比較的同じ香りが続き、それがとても上質の香りなので、ずっとその高貴な香りを楽しめるところもこの「Dark Aoud」の魅力と言えるだろう。


My Evalution

★★★★

モンタルのウード系の香りはあまり期待していなかっただけに、少しでも良いなと感じると、必然的に高評価になってしまう。もちろん、すべてのウードがぼくにとって良いとは限らないので、これも含めてこれからじっくりとモンタルのウードに関しては検証していきたいと思っている。

第68夜 Irrévérent

傲慢なほど甘いウードはいかが?

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DATA

Name: Irrévérent (イレヴェレント)
Brand: Histoires de Parfums
Launched in 2017
Perfumer: Luca Maffei
120ml ¥30,800

 

今、気づいたのだが、調香師Luca Maffeiは、以前にもご紹介したペリスモンテカルロの「ウードインペリアル」を作った人でもある。「ウードインペリアル」もひと鼻惚れしたお迎えした香り。彼は他のブランドでもウード系の香りを作っていて(日本未発売の「Oud Pour Lui」 Alyssa Ashley)そちらもすごく気になってきた!

 

My Episode

「著名なキャラクター、マテリアル、および神話について語られる嗅覚のライブラリー。」というコンセプトのHistoires de Parfums(イストワールドゥパルファン)のことは、ノーズショップに通うようになってから知ったブランド。
しかし、あまりにも種類が多すぎて、ずっと敬遠していた。
だが、3月に渋谷のノーズショップでこのブランドのフェアが行われ、ウードの香りが登場するという話をフォロワーさんから聞いたので、鼻息も荒く、初日に訪れたところ、見事にはまってしまい、期間中何度も渋谷に通ったし、ウード系の香水のみならず、他の香水もかなり集めてしまった。
ウード系の香水はいくつかあり、結局、イストワールのウード系の香水はすべて揃えてしまったんだけど、この「イレヴェント」は一度嗅いだだけで、すっかり気に入ってしまい、迷わず15mlではなく、大容量の120mlでお迎えした。
何がそんなに気に入ったのかというと、その甘さだ。
ウードの香りは軽めで、それよりも、アンバー系の甘さとフルーティーな甘さがぼくの鼻腔を心地よくくすぐるのだ。
結局、ぼくはなんだかんだ言いながら、甘党なのかしら?という気がした。
ただ、その甘さというのも、そんなにベタベタしていない甘さが好きで、この「イレヴェレント」はそんなすっきり系の甘さに感じられたのである。
イストワールドゥパルファンの公式サイトの説明を読んでみると、ぼくの好きな要素が見事に表現されている。

 

A sweet freshness of bergamot, elemi and lavender clash vigorously with a balm of styrax and aoud, wanting to indulge themselves in patchouli’s impertinence and sandalwood’s gushing insouciance.

ベルガモット、エレミ、ラヴェンダーの甘い新鮮な香りが、スティラックスとウードの香油と激しくぶつかり合い、無礼なパチョリと、不愛想極まりないサンダルウッドとともに自分を甘やかす。

 

サンダルウッド、ウード、そしてパチュリという大好物要素が見事に絡み合った香りだということがわかる。さらには、「無礼」だの「無愛想」だの「甘やかす」といった単語がまたぼくの好奇心をくすぐるではないか!
そして、少しそこにアロマティックな雰囲気を感じさせてくれるのが恐らくラベンダーだろう。
ぼくは一時期アロマオイルにも凝っていたこともあるので、ラベンダーの香りというのは香水に使われていても非常にアロマティックに感じるのである。

これは家の中で使うというよりも、もっと外に出て使いたい香りだ。すっきりとした甘さが、他の人に明るい印象を与えることになるような気がする。

ちなみに、「irreverent」とは、「慣習を拒む」という意味があり、意外にもこの香りは前衛的な香りと言えるかもしれない。そんな激しい印象は香りからは感じられないのだけれども。

NOTES

Top notes: Elemi, Lavender, Bergamot
Middle notes: Styrax, Agarwood (Oud), Coffee
Base notes: Amber, Patchouli, Sandalwood

これがFRAGRANTICAに記載されいてるノートなのだが、公式サイトにはさらに面白い記載がある。( )内は武田の訳。

|| Disrespecting norms.(規範を軽視する) - Bergamot, Elemi, Lavander -
|| Outside of established rules.(確立されたルールの範囲外) - Coffee, Oud, Styrax -
|| Displaying insolence.(傲慢さを示す) - Patchouli, Sandalwood, Amber

もう、一体なんなのっ!この( )内の言葉!
これだけを見るとどんだけ傲慢でわがままな香りなんだ!って思ってしまうが、でも、そこがまた香りの面白いところ。ぜひいろんな人にその甘くて芳しい傲慢さを味わって欲しい。

 

My Evalution

★★★★

 

第67夜 Nouveau Monde

カカオとウードの不思議な融合

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DATA

Name: Nouveau Monde (ヌーボー・モンド)
Brand: Louis Vuitton
Launched in 2018
Perfumer: Jacques Cavallier
100ml ¥38,500

My Episode

ルイ・ヴィトンのウードを初めて試したのは、昨年の夏のこと。
いくつかのウード系の香水の中で、もっとも濃くて重い香りを選び、その「オンブル・ノマド」は2020年にぼくがお迎えした香水の中でもベスト5に入るほど気に入った。
中東限定として発売された「オンブル・ノマド」は、ルイ・ヴィトンの中でも他の香水と比較してお値段も少しお高めのラインなのだが、他にも通常のラインにウード系の香水があると聞き、ウードを巡る旅をしているぼくにとっては、嬉しいやら、悲しい(また散財しちゃうじゃん!という…)複雑な気持ちになる。
もちろん、期間限定というわけではないし、多分まだ当分どのウード系の香水もあるだろうから(日本では爆発的に売れるというものでもないだろうし)、少しずつ集めていけば良いかなと思っていた。
そんな矢先、担当してくれた、ルイ・ヴィトンの香水のことだったらなんでもお任せ、というダンディなエキスパートのムッシューから新作の香水の案内をいただいた。
その香り自体は実はあまりぼくは興味がないのだが、せっかくメールをいただいたのだから、ご挨拶がてら表参道店に行ってみようと思い立ったのが1月のこと。
まずは、新作の香水から試させていただき、それはそれでとても良い香りだった(と思う…。でもごめんなさい、あまり良く覚えていない…汗)けれども、やはりぼくが気になるのは、ウード系の香り。
ということで、二度目のルイ・ヴィトン表参道店訪問の時も、片っ端からウード系の香りを試させてもらったのだ。
その中でぼくが一番気になったのがこの「ヌーボー・モンド」だった。「Nouveau Monde」とは新世界という意味。
この香りの鍵となるのはココアだ。ぼくも今までいろんなウード系の香水を試してきたが、ココアとウードというのは初めてだった。
そして、これが意外にも絶妙にマッチするのである。
ココアのほろ苦くて、でもちょっと甘い香りと、ウードの深みのあるウッディな香りが独特のとろみと温かみを感じさせてくれるのだ。
その日は特に、まだ冬の寒い時期だったので、余計に肌の上に載せた時の温かみが感じられた。
そして、面白いのが、それだけではなく、少し時間がたって肌の上で温められると、ちょっとスパイシーな香りが顔をのぞかせる。実に複雑な香りなのである。
やはり、ルイ・ヴィトンはお金持ちだけあり、ルイ・ヴィトン専用のウードを育てるために、山をそのまま買い取ったというだけのことはあり、本当に上質のウードしか使っていないということが香りをかいだだけで、すぐにわかる。
華やかさは控えめなので、外に出かけて人と会う時にまとうのではなく、じっくりと自分のために時間を使いたい、あるいは大切な人と2人きりで過ごしたいという場面でまといたい香りだ。

NOTES

Agarwood(Oud), Leather, Cacao, Saffron, Rose, Olibanum, Caramel, Vanilla, Amberwood

FRAGRANTICAを見ても、他のサイトを調べても、段階ごとの香料がはっきりとわからないのだが、この香料を見てるだけで、温かみのある甘めのウードだということがわかる。そして、少しスパイシーに感じるのはサフランのせいだろう。

My Evalution

★★★★

 

第66夜 500 Years

甘辛ローズとウードの華やかなる共演

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DATA

Name: 500 Years (ファイブハンドレッドイヤーズ|ローズが刻むわたしの軌跡)
Brand: Etat Libre d'Orange
Launched in 2019
Perfumer:Cecile Matton
100ml ¥30,800

My Episode

ノーズショップは昨年初めてお店を訪れて、すっかりはまってしまったニッチフレグランスをメインで扱う香水店だ。
都内では、池袋、新宿、渋谷、銀座の4店があるが、他にも横浜や大阪などにも店舗があり、香水マニアの鼻をくすぐるお店としてマニアの間ではすっかり聖地となりつつあるように思える。
店舗によって扱う香水が違うというのもノーズショップの面白いところで、ぼくの場合は、主に銀座や新宿店で取り扱われている香水の中に好みのものが多い気がする。
今日ご紹介するETAT LIBRE D'ORANGE(エタリーブルドオランジェ)
の500YEARSもそんな香りのひとつだ。
この香りのことは、昨年の夏ぐらいから知ってはいた。呪文のように「ウード、ウード」とつぶやきながらお店を徘徊するぼくに、店員さんが勧めてくれた香りの中にこれが入っていたから。
かなり気に入っている香りではあるんだけど、ずっと躊躇していた。
というのも、ゴージャスなボトルから想像できるように、お値段もゴージャスだったから。
庶民であるぼくにとって、香水の価格というのは非常に大切で、それなりの基準がある。
例えば1万円以下の香水だったら「もし失敗しても、まぁ、勉強代だと思えば良いかな」とあきらめられるレベルで、この価格帯でお気に入りの香水だったらかなり優秀な香水。
1万円代の香水となると、ほんの少しだけハードルが上がる。ただ、まだ失敗しても軽症で済む程度だ。ネットで香りの中身を確かめずに購入して失敗したとしても、1万円代だったら仕方ないかなとなんとか諦めがつく。
2万円を超える香水になると、また少し心構えが変わってくる。香りを試す時も慎重になるし、気軽に「いただくわ」という気持ちになれない。
そして3万円を超える香水に関しては、よっぽどでないと即日決定はできない。この価格帯の香水で即日お迎えしたくなるというのは、よっぽど気に入った香りか、あるいは気の迷いか、ぼくの場合はそのどちらかだ。
そして、この「500years」に関しては、即日決定はできない香りのラインになり、ウードだからと言って、すぐにはお迎えすることができなかった。
さて、この香りには「ローズが刻むわたしの軌跡」という副題が付けられているのだが、そこがぼくには少しネックだったのかもしれないと自分の鼻腔を分析してみる。
つまり、ローズが前面に出ているのだ。
ウードとローズの相性はとても良くて、良くこの組み合わせの香りは見かけるのだが、この香りはウードよりもローズの方が主張が強い。
ただ、ぼくを惹きつけるのは、そのローズがフェミニンなローズではなく、非常にスパイシーなローズだから。
ぼくは何度もこの香りを売り場で試して、そして、今年に入って、ようやくお迎えすることを決意したのだった。

写真を見てもお分かりのように、ボトルもかなり凝っていて、さらにボックスも官能開きのように箱を開けるタイプで、なかなかユニークな作りになっていた。

香りも華やかな雰囲気がするので、パーティーなんかにつけていくのも良いかもしれない。間違ってもビジネスシーンではつけない方が無難なレベルのゴージャスさだ。

そのゴージャスさをどこまで許容できるか、がこの香りを選ぶ際のポイントになるだろう。

NOTES

Top notes: Bergamot, Cardamom, Saffron
Middle notes: Turkish Rose, Agarwood (Oud), Geranium
Base note: Amber, Patchouli, Suede

香りの構成を見ても、この香りがスパイシーであることは容易に想像がつくだろう。夜寝る前にこの香りを纏って寝ると、良く朝、肌の上にほんのりとスパイシーでスモーキーな香りが残る。ローズはかすかに感じられるだけ。
ただ、気候や湿度によって、ローズがもっと強く出てくることもあるかもしれないので、ローズ好きは良いかもしれない。ぼくはウードが出て欲しいタイプだから、この香りはつけるタイミングをもう少し見極めなくてはならないかもしれない。今はまだこの香りとの付き合いは浅いので、これからの季節をもう少しこの香りとともに過ごしてから色々と感じていけたらと思っている。

My Evalution

★★★

 

第65夜 Wonderoud

・・・苦手・・・ウードなのに…・・・

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DATA

Name: Wonderoud (ワンダーウード)
Brand: Comme des Garcons
Launched in 2014
Perfumer:unknown

My Episode

2014年にアブダビ経由でパリに遊びに行った時のこと。エティハド航空を利用したのだが、その機内誌をぱらぱらとめくっていたら、あちらこちらに「OUD」の文字があって、驚いたことがあった。今から思えば、中東経由だったからなのかもしれないが、どのファッションブランドもこぞってウード系の香水を出していて、機内誌そのものがさながらウード祭りのようになっていたのだ。
あれから5年経ち、だいぶそのウード熱は収まったと聞いたので、あの時まとめてちゃんと買っておけば良かったと少し後悔しているのではあるが…。
さて、今日ご紹介する「ワンダーウード」はそんな有名ブランドもののウード系香水だ。コムデギャルソンから香水が出ていることは知っていたし、伊勢丹のコムデギャルソンの売り場でいくつか試したことはあったものの、その時はそんなにピンとくる香りはなかった。
日本にはまだまだウード系の香水が入ってこないということを知ったぼくは、今年に入ってから本格的にネットでウード探索を始めるようになったのだが、まずは良く利用する日本語対応の香水のインターネットサイトを調べてみたところ、いくつものウード系の香水が出てきた。
そこでヒットしたのがコムデギャルソンの香水だった。
コムデギャルソンからは、2種類のウード系香水が発売されているのだが、こちらはタイトルにしっかりとOUDと表記されていて、すぐにウード系の香水だとわかる。
ただ、初めてネットで購入する時の注意点は、試せないことだ。日本で入手可能な香りだったら、売り場に行って試すことはできるが、日本未発売の場合には、それがどういう香りなのかわからないから、イチかバチかの勝負となる。
あとは値段との兼ね合いなども考えて、もしそれが失敗であったとしても許せる価格かどうかということも加味して注文することになる。
さて、その結果、届いたこの「Wonderoud」を試してみたら…。
なんともぼくにとっては残念な香りだった。多分売り場で試したら、きっとぼくはこの香りを購入することはないだろう。
シンプルな香水ではあるが、かすかにウード系の重い香りはするものの、それをグリーンみのあるシトラス調の香りで消されてしまっているのだ。ひょっとしたら爽やかな香りが好きな人だったら、これはいけるのかもしれないが、ぼくにはちょっと無理な香りだった。
ただ、ウード系の香りでもここまで自分の考えるウードとは違う香りもあるんだ!という発見があったという意味では、とても有意義な香水だと言えるだろう。

NOTES

FRAGRANTICAには、詳しい香料が明かされていなくて、Agarwood(Oud)の表記のみだが、悪名高き「世界香水ガイドⅢ」にはこの香水の記載があったので、転載してみる。

「ワンダーウード」はドライなベチバーのアコードで、ミュグレー「コローニュ」(2001)の蒸気を吸い上げるスチームアイロンのノートがわずかに加わる。ベチバーの精油の欠陥(過剰なリコリスとコーヒーくさい息)がインセンス、ペッパー、ウードで非常に巧みに埋められているが、ウードについてはさほど目立っていない。全体で見れば、とても感じがよく、マイルドで、埃っぽいベチバー。つまり、だれもがいつかは求める香り。=LT

(『世界香水ガイドⅢ』ルカ・トゥリン タニア・サンチェス著 秋谷温美訳)

 

これを読んでぼくは膝を打った。ぼくが苦手だと感じたのはベチバーの香りなのだ。まだ取り上げていないが、ラルチザンパフュームの「クールドベチバーサクレ」という香水でベチバーの香りを初めて知ったのだが、それが本当に苦手で苦手で仕方がなくて、それ以降ベチバーという香料をほとんど信用していない。それがこの香りにも入っていると知り、ますますベチバー恐怖症に拍車がかかってしまいそうである。確かに、そう言われてみると、このグリーンみのある香りは「クールドベチバーサクレ」でも感じたベチバーのそれで、そりゃ、苦手意識は自然に働くな、と思った。

と同時に、ぼくの鼻センサーは苦手な香りをきちんとかぎ分けていて、かなり高感度だと実感した。

My Evalution

千一夜香水物語、初となる星1つが、まさかウード系香水から出てくるとは自分でも思っていなかった。でも、だからこそ香水というのは面白いのではあるが。