第394夜 Oud Andes

甘さを感じられる軽めウード

 

DATA

Name: Oud Andes(ウードアンデス)
Brand: FUEGUIA 1833(フエギア1833)
Lauched in 2022
Perfumer:Julian Bedel
30ml ¥66,000

My Episode

このウードに関しては、他のフエギアのウードとはまったく違う印象。非常に纏いやすいというか。癖が強くない。(といっても、そう感じるのはぼくだけで、他のブランドと比べると、あるいはウードが苦手な人からすると、充分重い香りだとは思うのだが)
甘さもほんのりと感じられるし、スモーキーな感じもする。ウード的な特徴をきちんと持ちながらも、バランスが良いので、これは意外と受け入れられる人は多いんじゃないかと思うし、ぼく自身もこの香りの出番は一番多くなりそうな予感がある。


NOTES

ウードチャコの時にもご紹介したように、フエギアのウードシリーズはNOTESが開示されていない。

My Evalution

★★★★
フエギアのウードシリーズは本当に高価だ。だから、おいそれと他の人に薦めることはできないし、ぼく自身も闇雲につけることはできない。ただ、それだけの価値はあると思うので、自分の楽しみのために、贅沢な時間を過ごす時のために、これらのウードシリーズを使っていきたいと思っている。

第393夜 Oud Assam

ミルクティに使う紅茶のような香り

 

DATA

Name: Oud Assam(ウードカレドニア)
Brand: FUEGUIA 1833(フエギア1833)
Lauched in 2022
Perfumer:Julian Bedel
30ml ¥71,500

My Episode

アッサムといえば、紅茶の産地として有名。
そういう先入観があるからなのか、このOud Assamは、なんとなく紅茶っぽいイメージがある。それも、ニルギリ(南インドの紅茶で、割とあっさりめで飲みやすい)ではなく、まさにミルクを入れて飲むのに適した重いボディのアッサム紅茶のイメージ。
ちょっとスモーキーで渋い印象。
説明によると、動物的な香りを表現したということで、確かにアニマリックな香りがする。それがいかにもウードらしい。
万人受けは絶対にしないけれども、これもまた一人の時間の時に、それこそミルクティーを飲みながら纏いたい香りだ。


NOTES

ウードチャコの時にもご紹介したように、フエギアのウードシリーズはNOTESが開示されていない。

My Evalution

★★★★
こちらも甘さはほとんどない。動物的な香りが強いので、ちょっとそういう香りが苦手な人にはトゥーマッチかも。ぼくは好きだけどね。かなり輪郭もシャープだし。

第392夜 Oud Caledonia

かすかにスモーキーなウード

DATA

Name: Oud Caledonia(ウードカレドニア)
Brand: FUEGUIA 1833(フエギア1833)
Lauched in 2022
Perfumer:Julian Bedel
30ml ¥75,900

My Episode

昨年のサロンド・パルファンで話題になったフエギアのウードシリーズ。未だにぼくの鼻はこの時にお迎えしたウード系の香水をきちんと把握していない。
それくらい難しい香りなのだ。
ウード系の香水を試す時ぼくはいつも、ウード以外の香りとのバランスのようなものを探るのが好きなのだが、フエギアの香りはそういう一般的な香水の概念とはかけ離れているので、非常に表現するのが難しいのである。
さて、このウードカレドニアは名前のごとくニューカレドニアのウードがベースになっている。
といっても、じゃあ、それがどういうウードなのか?というのは説明が難しい。
ただ、ぼくの肌の上に載せると、非常に乾いたスモーキーな香りが立ち上る。
甘さはほとんど感じられないので、辛口スモーキーといったところだろう。
これもまた内面への探求に誘ってくれるような気がする。
独りで静かに本を読む時とかに、この香りがあると、文章がすっと心に沁みてくる。そんな感じがする。


NOTES

ウードチャコの時にもご紹介したように、フエギアのウードシリーズはNOTESが開示されていない。

My Evalution

★★★★
本当は甘い香りが好きなのであるが、この香りに関しては甘さがあまり感じられない。でも、そこがこのウードの良さでもあるし、そういう香りに包まれたい時もあると思うので、そういう時にまといたい。

第391夜 Oud Chaco

コーヒーのような渋みを感じるウード

DATA

Name: Oud Chaco(ウードチャコ)
Brand: FUEGUIA 1833(フエギア1833)
Lauched in 2022
Perfumer:Julian Bedel
30ml ¥73,700

My Episode

昨年は、いろんなブランドからウード系の香りが続々と出て、ウードを巡る旅をしているぼくにとっては、阿鼻叫喚な一年だった。ジバンシィ、ゲラン、と比較的大きなブランドからウードシリーズが出て、もう、本当にやめて!って本気で思った。
だが、とどめを刺してくれたのが、フエギアである。
もうね、ジュリアン、何てことしてくれるのよ…と正直に思った。
フエギアは今までもウード系の香水を何本も出しているし、プーラという形でもウードシリーズを(しかも信じられないくらいの値段で)出しているが、今回はふつうの香水シリーズでウード系の香りを出しやがったのよ。
その発表会にぼくは誘われて行ったのであるが、もう、鼻がおかしくなるくらいの空間だった。
まず、その種類の多さに驚く。全部で9種類。
さらにお値段がまたびっくり!
平均すると30mlで70,000円前後。
100mlだと当然10万円を超える。
もう、それだけでお鼻いっぱい!(笑)


NOTES

フエギアの面白いところは、一般的な香水の概念とはまったく異なるところ。普通はトップノート、ミドルノート、ベースノートというように、香りの段階を踏んで香りの内容が解るようになっているのだが、特にこのウードのシリーズではそれは明かされていない。本当に、もう感覚的な香りなんだなということがわかる。

My Evalution

★★★★
このウードシリーズは非常に難しい香りである。ウード!すごい!大好き!とすぐに飛びつくことができない。まぁ、値段的なこともあるのだが、香りそのものも複雑。まず、言えるのは外に気軽につけて出られないということ。
そんな風にして消費したくないんである。
普通にこの香りを嗅いだら、知らない人だったら「臭い」となるかもしれない。
本当にこの香りの価値を解る人にしか香らせたくない。
だから、ぼくはこのウードシリーズは家の中で、一人で過ごす時にじっくりと向き合おうと思っている。

第390夜 Satori

凛とした佇まいを感じるウード

DATA

Name: Satori(サトリ)
Brand: Parfum Satori(パルファンサトリ)
Lauched in 2006
Perfumer:Satori Osawa
50ml ¥21,120

My Episode

調香師として活躍されている大沢さとりさんのブランドからウードの香りが出ていることは知っていたものの、今までずっと試す機会がなかった。
勝手に日本人の調香師が考えるウードって、結局おとなしくて、優しい香りなんでしょ?という偏見も手伝い、ノーチェックだったというのもある。
でも、2022年のサロンド・パルファンにブースが出ており、実際にさとりさんも売り場に立たれているのを機に、試してみたら、もう、びっくりである。
なんて、良い香りんだろう!と驚いた。
「日本人の作るウードの香りは軽い」と勝手に思い込んでいた自分を恥じたくらい。
いやいや、これ、本当に素晴らしい。
凛とした佇まいを感じさせるピリッとしたウード。
これ、絶対に海外の人には出せない香りなんじゃないだろうか。
日本人であるさとりさんだからこそ生み出せた上質でありながら、上品で、唯一無二の香りという感じがした。
和装にも似合うというコメントもあったが、確かにその通り。だが、それだけではなく、どんな場面にもこの香りはフィットするような気がする。

NOTES

Top notes:Coriander, Bergamot
Middle notes:Cloves, Cacao Pod, Vanilla, Cinnamon
Base notes:Sandalwood, Agarwood (Oud), Kyara Incense, Oakmoss

このピリッとした香りは恐らくクローブとシナモンなのだろう。でも、それだけではなく、ほのかな甘さもあるし、キャラの独特の雰囲気もきちんと感じられる。さらに時間がたつと、肌の中に滑らかに浸透する感じもしてくるし、懐かしさのようなものも感じられる。

My Evalution

★★★★★
凛とした香りから、だんだんと肌に馴染み甘く変化しながらも、最後までウードの独特の香りを維持しているところにこの香りの良さがある。これは季節を問わず、愛用した香りだ。

第389夜 Scherzo

静寂な香り

DATA

Name: Scherzo(スケルツォ)
Brand: Miller Harris(ミラー ハリス)
Lauched in 2018
Perfumer:Mathieu Nardin
50ml ¥21,120

My Episode

2022年の秋に伊勢丹で行われた恒例のサロンド・パルファンは会期中毎日通い、ほぼすべてのブランドが行っていたコンサルテーションに参加した。(だって無料だったんだもん!)今までぼくが知っているブランドも、知らないブランドも、とにかく知りたいという気持ちが強かったし、そのコンサルテーションを通して、スタッフの方と仲良くなりたいという気持ちもあった。
そして、ミラーハリスを扱っている代理店のコンサルテーションにも参加した。
何度か売り場でお見掛けしたことがある方が担当してくださったのだが、これがまた面白かった。
ずっと気になっていたミラーハリスのウードエクラやレザールージュの話を聞き、さらに、その系統でぼくが好きそうな香りを捜してもらったのだが、その中に入っていたのがこの「スケルツォ」だった。
それまでノーマークだったのだが、ムエットに載せてもらった時、その深さにまずぼくの鼻は悦んだ。
でも、ちょっとまって、なんだかぼくの知っている香りが潜んでいる…と思ったら、なんとこれもウードが入っているではないですか!
それまで、ミラーハリスのウードの入っている香りは黒いボトルのシリーズだけだとばかり思っていたので、びっくり。
なので、ぼくは当然のこと、こちらの香りをお迎えすることにしたのである。
さて、この香り、ウードの他にローズの香りもしっかりと感じられるのだが、ウードとローズの組み合わせの中でなぜか良く一緒に調合されるサフランの香りは皆無。だから、スパイシーな感じもしなくて、本当に静かな香りだ。
スケルツォとはイタリア語で冗談という意味なのだが、音楽用語でもあり、ユーモアを兼ね備えた作品をさすのだとか。
冗談というからには軽やかなイメージだが、香りそのものはそんなに冗談ぽい感じもしないし、楽しい!っていう感じでもない。
どうも、この香りはフィッツジェラルドの「夜はやさし」の一節から着想を得たとのこと。南仏の庭を歩いているシーンがあり、それをイメージしている。
だから、静かな印象がするのだ。
これは昼間につけるよりも、夜、纏いたい香りだし、夜に少人数で、あるいは大切な人と会う時に纏うのも良いだろう。

NOTES

Top notes:Tangerine, Artemisia
Middle notes:Rose, Olibanum, Pitosporum, Narcissus
Base notes:Agarwood (Oud), Sweet Notes, Patchouli, Vanilla

このノートだけを見ると、やはり軽やかな香りはほとんどないので、静かな香りというのもうなづける。でもだからといって、暗いという印象でもないのは、バランスがとても良いのだと思う。かすかな甘さもあるし。

My Evalution

★★★★★
ウードは入っているし、すぐにウードだとわかるものの、非常に静かな印象が勝っているので、ウードの派手さというか、そういう特別感はあまりないような気がする。そこがこの香りの良さでもあるので、ウードが苦手という人もぜひ試して欲しい。

第388夜 Oud Éclat

甘めの革の香り

DATA

Name: Oud Éclat(ウードエクラ)
Brand: Miller Harris(ミラー ハリス)
Lauched in 2021
Perfumer:Emilie Bouge
100ml ¥32,670

My Episode

伊勢丹でいつもお世話になっているベテランスタッフの方とは、3年ほど前のイベントで知り合い、それ以降、お会いするたびに色々な話で盛り上がる。
彼女はとてもエレガントな雰囲気で、穏やかな方なのに、香水に関する知識は豊富で、他のブランドの香水についても熟知しているので、話が尽きないんである。
そして、彼女のすごいところは、自分の担当(エラケーやキャロンなど)以外の香水でもぼくの好みの香りをみつけると「ケンさん、お好きだと思いますよ」と教えてくれるのだ。今までそんなスタッフとお会いしたことがなかったので、ぼくは本当に彼女に会うのが楽しいし、できるだけ彼女が担当するブランドは彼女から購入しよう!という気になるんである。
そんな彼女が教えてくれたのが、ミラーハリスのウードエクラだった。
でも、実は最初にその香りを試した時、それほどピンとこなかった。むしろ同じシリーズの「レザールージュ」の方が刺さり、こちらの「ウードエクラ」に関しては、まったくと言って良いほど鼻が喜ばなかったのだ。
だが、サロパで担当のスタッフから説明を聞き、改めて試してみたら、あら不思議、鼻腔がヒクヒクと喜んだんである。確かに「レザールージュ」の方が解りやすい甘さがあって、そこが魅力的なのだが、このウードエクラも独特の甘さが感じられて、あ、なんでぼくの鼻はこの香りに反応しなかったんだろう?と思ってしまったほど。
そして、改めて今肌に載せてみると、やっぱり素晴らしい香りなんである。
ウードらしさはトップから感じられるものの、それが重みだけを感じるウードじゃなくて、ほのかな甘さなども感じられる香りに仕上がっているのだ。
重ったるくないし、甘ったるくもない。バランスの良い香りと言って良いだろう。

NOTES

Top notes: Agarwood (Oud), Tagetes, Cashmere Wood
Middle notes: Balsam Fir, Floral Notes, Nutmeg, Amber
Base notes: Sugar, Moss, Leather, Musk

ウードはたいていベースで使われることが多いのだが、この香りは珍しくトップからウードが入っている。だが、それほど重いわけではなく、ウード特有のウッディな香りがほのかに他の香りとともに漂う感じ。
むしろミドルから続くジューシーな雰囲気の甘さの方が際立ち、ウードとの調和が取れている気がする。

My Evalution

★★★★★
恐らく、最初に試した時は、もっとウドウドしいウードを求めていた時期なのかもしれない。でも、今はいろんなウードを体験し、こういうジューシーなウードというのも珍しいので鼻の穴が広がり、受け入れられるようになったのだろう。これは夏につけてもOKなウードだと思う。