第414夜 Montri

落ち着いた大人の薔薇ウード

 

DATA

Name: Montri(モントリー)
Brand:Parfums Dusita(ドゥシタ)
Lauched in 2022
Perfumer:Pissara Umavijani
50ml ¥25,300

My Episode

タイ出身の調香師であるPissara Umavijaniが立ち上げたブランド。日本に上陸した時、ついにタイ出身の調香師が世界的に活躍する香水ブランドが登場したのか!とびっくりした。
そして、東南アジアとはいえ、やはりお米を主食にしている人の作る香水というものにぼくはとても興味があり、ノーズショップに登場した時からずっと気になっていた。
で、新しいブランドが登場するとまずチェックするのはウードが使われている香水があるかどうか?だ。あまりにも種類が多いと、どれから試したら良いのかわからなくなり、結局そういう突破口のようなものが必要で、それがぼくにとってのウードなのだ。
まぁ、でも必ずしもウードの入った香水すべてがお気に入りっていうわけではないから、実際に店頭で試してみて、もっと鼻腔が喜ぶ香水があればそっちを選んでしまうことも少なからずあるわけだけど。
さて、そんなドゥシタでウードの入っている香水は「Montri」である。(以前「Oudh Infini」という香水が出ていたようだが、今は廃盤になっている)
なんと、Pissara Umavijaniのお父さんの名前が冠せられ、彼は詩人だったのだそう。
そして、香水の箱やボトルに入っているカードにもその彼の言葉が綴られている。

The pen is me
and I am the pen:
in writing,
the pen gets lost
to become part of the thing
I cannnot recall.

ペンは私で
私はペンである
ペンを走らせている時
ペンは私を何者であるかを忘れさせ
私は何も思い出せなくなるのだ

とでも訳せようか。
そんな想いのこもったこのウード香水は、構成を見るとありがちなウード&バラ&サフランなので、ありがちなバラ系ウードかしら?と思いきや、どっこいこれがまったく違うのだ。

ローズ系ウードにありがちなサフランのツンとしたスパイシー感はまったくなく、え?これサフラン入っているの?ぐらいの感じ。それよりも薔薇の香りの方が強い。しかも、その薔薇というのも、解り易い日本の婦女子が喜びそうな石鹸薔薇じゃなくて、もっともっと深みのあるかっこいい薔薇。
深紅の薔薇という感じだろうか。
そこがこの香水の一番の魅力だと思う。
そして、しばらくすると、奥の方からかすかにジャスミンの香りがしてくる。そこがもう、たまらなくぞくぞくする。オマエ!そこにおったんか!と言いたくなるような感じ。
様々な要素が絡み合っているけど、バランスもとれているし、ひっちゃかめっちゃかじゃないし。
とにかく大人っぽい雰囲気が漂い、安心感もある。
ローズなので、夏の時期も良いが、これが冬になったらどう香るのか、またそれも楽しみにしたいところ。

NOTES

Top notes:Saffron, Dried Fruits, Nutmeg, Oregano, Petitgrain, Cinnamon, Coriander
Middle notes:Rose de Mai, Damask Rose, Leather, Orris Root, Ylang-Ylang, Jasmine Sambac
Base notes:Agarwood (Oud), Sandalwood, Patchouli, Oak, Vetiver, Tonka Bean, Cedar

Fragranticaの情報を見ると、いそんな香料が入っているようなのだが、どれもが突出することなく、バランスよく配合されているという感じがする。個人的には苦手なジャスミンもかすかに存在している感じで、その奥ゆかしさが好き。

My Evalution

★★★★

大人っぽい薔薇ウードで、良いのだけど、そつなくまとまり過ぎていて、じゃあ、これをどういう場面で使うかというのが今一つパッと浮かんでこない。かといって、急に思い立って使うって感じでもないし。だから、★の数は4になってしまう。