第65夜 Wonderoud

・・・苦手・・・ウードなのに…・・・

f:id:happyinkdays:20210502214540j:plain

 

DATA

Name: Wonderoud (ワンダーウード)
Brand: Comme des Garcons
Launched in 2014
Perfumer:unknown

My Episode

2014年にアブダビ経由でパリに遊びに行った時のこと。エティハド航空を利用したのだが、その機内誌をぱらぱらとめくっていたら、あちらこちらに「OUD」の文字があって、驚いたことがあった。今から思えば、中東経由だったからなのかもしれないが、どのファッションブランドもこぞってウード系の香水を出していて、機内誌そのものがさながらウード祭りのようになっていたのだ。
あれから5年経ち、だいぶそのウード熱は収まったと聞いたので、あの時まとめてちゃんと買っておけば良かったと少し後悔しているのではあるが…。
さて、今日ご紹介する「ワンダーウード」はそんな有名ブランドもののウード系香水だ。コムデギャルソンから香水が出ていることは知っていたし、伊勢丹のコムデギャルソンの売り場でいくつか試したことはあったものの、その時はそんなにピンとくる香りはなかった。
日本にはまだまだウード系の香水が入ってこないということを知ったぼくは、今年に入ってから本格的にネットでウード探索を始めるようになったのだが、まずは良く利用する日本語対応の香水のインターネットサイトを調べてみたところ、いくつものウード系の香水が出てきた。
そこでヒットしたのがコムデギャルソンの香水だった。
コムデギャルソンからは、2種類のウード系香水が発売されているのだが、こちらはタイトルにしっかりとOUDと表記されていて、すぐにウード系の香水だとわかる。
ただ、初めてネットで購入する時の注意点は、試せないことだ。日本で入手可能な香りだったら、売り場に行って試すことはできるが、日本未発売の場合には、それがどういう香りなのかわからないから、イチかバチかの勝負となる。
あとは値段との兼ね合いなども考えて、もしそれが失敗であったとしても許せる価格かどうかということも加味して注文することになる。
さて、その結果、届いたこの「Wonderoud」を試してみたら…。
なんともぼくにとっては残念な香りだった。多分売り場で試したら、きっとぼくはこの香りを購入することはないだろう。
シンプルな香水ではあるが、かすかにウード系の重い香りはするものの、それをグリーンみのあるシトラス調の香りで消されてしまっているのだ。ひょっとしたら爽やかな香りが好きな人だったら、これはいけるのかもしれないが、ぼくにはちょっと無理な香りだった。
ただ、ウード系の香りでもここまで自分の考えるウードとは違う香りもあるんだ!という発見があったという意味では、とても有意義な香水だと言えるだろう。

NOTES

FRAGRANTICAには、詳しい香料が明かされていなくて、Agarwood(Oud)の表記のみだが、悪名高き「世界香水ガイドⅢ」にはこの香水の記載があったので、転載してみる。

「ワンダーウード」はドライなベチバーのアコードで、ミュグレー「コローニュ」(2001)の蒸気を吸い上げるスチームアイロンのノートがわずかに加わる。ベチバーの精油の欠陥(過剰なリコリスとコーヒーくさい息)がインセンス、ペッパー、ウードで非常に巧みに埋められているが、ウードについてはさほど目立っていない。全体で見れば、とても感じがよく、マイルドで、埃っぽいベチバー。つまり、だれもがいつかは求める香り。=LT

(『世界香水ガイドⅢ』ルカ・トゥリン タニア・サンチェス著 秋谷温美訳)

 

これを読んでぼくは膝を打った。ぼくが苦手だと感じたのはベチバーの香りなのだ。まだ取り上げていないが、ラルチザンパフュームの「クールドベチバーサクレ」という香水でベチバーの香りを初めて知ったのだが、それが本当に苦手で苦手で仕方がなくて、それ以降ベチバーという香料をほとんど信用していない。それがこの香りにも入っていると知り、ますますベチバー恐怖症に拍車がかかってしまいそうである。確かに、そう言われてみると、このグリーンみのある香りは「クールドベチバーサクレ」でも感じたベチバーのそれで、そりゃ、苦手意識は自然に働くな、と思った。

と同時に、ぼくの鼻センサーは苦手な香りをきちんとかぎ分けていて、かなり高感度だと実感した。

My Evalution

千一夜香水物語、初となる星1つが、まさかウード系香水から出てくるとは自分でも思っていなかった。でも、だからこそ香水というのは面白いのではあるが。