第64夜 Oud Abramad

ウードを巡る旅を始めようと決意した香り

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DATA

Name: Oud Abramad (ウードアブラマド)
Brand: BDK Parfums
Launched in 2016
Perfumer: David Benedek
100ml ¥27,500

My Episode

2019年の伊勢丹新宿店で開催されたサロンドパルファンは、ぼくにとってはとても刺激的なイベントで、それを機に、再び色々な香水を求め始め、そのことをSNSで投稿を始めた。
そうしたら、いつの間にか同じような香水好きな人たちと自然とつながるようになり、SNS上で情報交換をするようになった。
そんな矢先の2020年の2月に、ちょっとした少人数の香水好きの人たちの集まりに誘われ、一緒にランチをすることになった。その時のメンバーはなんと、5人中4人が男性で、しかもぼく以外は若い子たちで、ぼくにはそれがとても刺激的だった。
だって、それまでぼくの周りにいる人たちはぼくと同じぐらいの年齢の女性か、ぼくよりも少し年上のマダムが圧倒的に多かったから。
若い人たちがこんなにも香水のことを良く知っていて、しかも愛用していると知り、ぼくはものすごく嬉しかったし、そういう集まりに呼んでくれたということもぼくにとってはありがたいことだった。
さて、その集まりの後、物足りなくなったぼくは、その中の一人の若い男子と香水売り場めぐりをしようということになり、伊勢丹の香水売り場に行ったり、LUSHの香水コーナーを見たりした後、NOSE SHOP新宿店に向かった。
それまでNOSE SHOPの存在は知っていたけれども、入るタイミングを逸していたので、良くお店に遊びに行くという彼に連れて行って欲しいと頼んだのだ。
ニッチフレグランスを中心に扱っているということは知っていたものの、まさかあそこまでニッチフレグランスに特化しているとは思ってもいなかったので、それはそれは衝撃的だった。
今まで見たことも聞いたこともないようなブランドの香水がずらりと並んでいて、目は輝き、鼻の穴はおっぴろげ、状態になってしまった。
いつものごとく店員さんに好みの香水を聞かれまっさきに「ラルチザンのアルードのような重めの香りが好きだから、そういう系統のをお願いします」と言って、それらの香水をいくつか試させてもらった。そのうちのひとつが今日ご紹介する「ウードアブラマド」だ。
香水というのは一目ならぬ一鼻で好きになる香りというのがたまにあるのだが、この「ウードアブラマド」はそんな一鼻惚れした香水だった。
とにかくトップからきりっとしたスパイスの香りがして、そのスパイスがまた僕の好きな甘めの香りなのだ。さらにインセンスのスモーキーさも感じられ、ベースは重めのウード。ローズの華やかさもかすかに感じられる香りだった。
もうね、これは運命的な出会いだとすら思っている。
こんなに素晴らしいウードがあるんだ!という驚き。
これよ、これ、ぼくが求めているウードは…。と叫びたくなるほどだった。
「アルード」の冷ややかで孤高を感じさせる香りとも違うし、アブダビの空港で買ったロベルト・キャバリの「ウードアルカサール」のような煌びやかなウードとも異なる。
ウードという強烈な個性を持つ香料でも、こんなに違うんだ!という驚き。
もちろん、それまでもウードは大好きだったけど、この時ほどウードを極めてやろうと思ったことはなかった。
こんな素晴らしいウード系の香水があるんだったら、これからもこういう香りをいろんなバリエーションで揃えよう!という気になったのだ。
だから、「ウードを巡る旅」の原点となったのはラルチザンでベルトランが作った「アルード」だけれども、本格的に旅に出ようと決心させたのは、この「ウードアブラマド」かもしれない。
ふと考えたのだが、確かにぼくはパリに行く前にアブダビに寄って、そこでウード香水を求めて街を歩いたし、現地でウード系の香水も買ったけれども、本格的にウード系の香水を意識して買うことはそれほどなかった気がする。
好みの香りは?と聞かれた時の候補として「アルード」を挙げることはあっても、最初から「ウード系の香水」という風に香料を指名するということはあまりなかった。
しかし、この「ウードアブラマド」と出会ってからは、とにかくウード、ウード、ウードと念仏のように唱えながら香水売り場を徘徊するようになった。
それぐらいこの「ウードアブラマド」はぼくにとっては強烈なインパクトを与えてくれたし、肌に載せるたびに、どこか素敵なところへ連れて行ってくれるんじゃないかっていう期待感で胸が躍るのだ。

NOTES

Top note: Saffron, Ging
Middle notes: Cumin, Turkish Rose
Base note: Agarwood (Oud), Guaiac Wood, Incense, Labdanum, Patchouli, Ambroxan, Castoreum

先日、NOSE SHOP銀座店で開催されていたKAORIUMという面白い診断をやってみた。それは、言葉からイメージする様々な香りを選んでいき、自分の今求めている香りを探し出すというシステムだった。香りの名前は伏せられた状態で、言葉から導き出された香りのカプセルをかいでいくのだが、その中の一つにこの香りがあり、すぐに「あ、ウードアブラマド」だと察知してしまった。つまり、ぼくが選んだ言葉からも、自然とぼくの求めている香りを導き出したということになるのだ。しかも、それがすでに持っている香りだったというのは、それだけぼくがこの香りに心惹かれているという証でもあり、すごく嬉しかった。

つけたては、少し甘めのスパイシーな香りなのだが、だんだんとラム酒やコーヒーのような独特の甘さもかすかに感じられるようになるので、そのあたりの香りが好きな人にもおすすめ。ただし、糖分は控えめ。

My Evalution

★★★★★

もう、これは文句なしの★5。なんだったら★10でも良くぐらい好きな香りだし、これからもじっくりと付き合っていきたい。ただ、かなり濃い香りなので、一般の方はつけ方、要注意であることは一応明記しておきたい。