第313夜 Tsubaki

静かなウードの佇まい

 

DATA

Name:Tsubaki
Brand:Miya Shinma
Lauched in 2015
Perfumer: Miya Shinma
55ml ¥26,400

My Episode

今年のサロンドパルファンは、徹底的に楽しんでやろうという意気込みで臨んだ。
トークショーやコンサルテーションもばんばん受け、連日通うことにもなった。
当初、コンサルテーションはよっぽど自分の興味のないところ以外は受けるのは無駄かなと勝手に思っていたのだが、無料なのだし、じっくりとそのブランドの、香水のエキスパートであると思われるスタッフと香水の話をする時間というのは貴重なのではないかという気がして、今年はできるだけ多くのブランドのコンサルテーションを受けることにした。

そういえば、三年前のサロンドパルファンでも、フレデリックマルのブースでものすごい香水を愛していて、香水に詳しい男性スタッフに対応してもらったのも、当日飛び込みでお願いしたコンサルテーションだった。

閑話休題
そして、今年の最初のコンサルテーションは、以前からずっと気になっていた京都の香水専門店、ルシアージュさんの店主である米倉さんが直接コンサルテーションをして下さるというので、真っ先に申込み、初日の一番に受けたのである。
実は内覧会の時に初めてお会いしたのだが、その段階から話が盛り上がってしまい「明日のコンサルの楽しみがなくなるから、もうここでやめましょう!」と言って、大笑いしたのである。
だから、コンサルを受ける前から楽しみで楽しみで仕方なかった。
そして、実際にコンサルを受けたら、これが本当に面白かった。今回はルシアージュさんが代理店となっているMiya Shinmaさんの香水のご紹介ということだったのだが、1時間みっちりとブランドの背景や香水のストーリーをお聞きすることができた。
ぼくは、すでに米倉さんに自分がどういう香りが好きか、どういう香りが苦手かということをお伝えしていたので、話は早かった。すぐにMiya Shinmaさんの中からいくつかの香水をピックアップしてくれた。
ウード系の香水は2本あったのだが、そのうちの一本はぼくはあまりぴんと来なかった。
ところが、もう一本に関しては、もう、ムエットだけではなく、肌に載せてから、ずっと鼻をくっつけていたくなるほど良い香りだった。
重くて、個性的。ちょっとスパイシーで甘い。そういう印象。
しかし、どの部分もとんがっていない。
そこがMiya Shinmaさんの大きな特徴だとは思うのだが、しっかりしているのに、佇まいが良いのである。
でも、その佇まいのようなものって、一回さらっと試しただけではあまり感じられないかもしれない。なぜなら、香りそのものが(重いけど)繊細だから。
米倉さんの話を聞いて、やっとその世界を読み解くことができる。
ぼくもそういう傾向があるのだが、ついつい「あ、ウードが入っているのね!ちょっと試しましょ!あら、良いわ買うわ!」と短絡的に、購入を決定しまうことが往々にしてあるのだが、Miya Shinmaさんの香水というのは、そういうノリで買うのはちょっと違うと思う。
なぜなら、それだけでは取りこぼしてしまう想いのようなものがあるから。
米倉さんというブランドのことを良く理解し、そして香水を心から愛して、情熱を持って香水と向き合っている人の話を聞いた上で選ばれた香水だとぼくは思ったので、買うことにしたのだ。
ウード系の香水をこんなに時間をかけて話をしてくれる人もいないだろう。まぁ、それはぼくがウードウードとコンサル中にも呪文の唱えていたからなのかもしれないが。
ともあれ、サロンドパルファン2022で一番最初に購入した香水がこのTsubaki(もう一本あるので、それはまた後日)で、また一つとても良い香りの思い出ができてぼくは本当に嬉しい。

NOTES

Top:Saffron        
Middle:Tsubaki, Jasmine
Base:Patchouli, Agarwood(Oud), Musk

ぼくの第一印象は静かなウードである。静謐という言葉がこれほど似合うウードはないかもしれない。そこに佇まいを感じたのだ。こういう世界がぼくは非常に好きなのだ。一人ですっくと立っている姿のようなものを香りから感じる。そして、こういう香りを纏うことによって、人からそういう風に見られたいと思うのだ。

My Evalution

★★★★★

ムエットに吹き付けた瞬間から、この香りを気に入る予感はしていた。とにかく。静かでかっこいいのだ。これからもこの「椿」はぼくの人生の支えとなってくれる香りになるだろう。
サロンドパルファンは伊勢丹新宿店の本館6階で24日(月)の18時まで開催されているので、気になる方はぜひ足を運んで欲しい。
米倉さんのコンサルテーションは予約ですべての枠が埋まってしまっているようだが、米倉さんは最終日まで会場にいらっしゃるそうなので、気になる方は話を聞いてみるのも良いだろう。
ぼくはいつか京都のお店に行ってみたいのだが、一日中コンサルを受けることになりそうで、今から戦々恐々としている。

そうそう、前述したぼくが三年前にフレデリックマルで接客をしていただいた元香水店員さんとも仲良しだと聞き、なんだか、すごく嬉しくなってしまった。