ストーンウオール事件にインスパイアされたピリ辛香水
DATA
Name: June 28(ジューン 28)
Brand:NINETEEN SIXTY NINE(19-69)
Lauched in 2023
Perfumer:Anne-Sophie Behaghel
100ml ¥28,050
30ml ¥11,550
My Episode
1969年6月18日午前1時20分、ニューヨークのウェスト・ヴィレッジにあるバー、ストーン・ウォール・インに、警察官が強制捜査を行い、それに対する抵抗をきっかけに暴動が起きた。そのバーは、同性愛者たちを中心とする性的マイノリティーの人々が集まるバーで、そこに強制捜査が入ったということで、権利獲得運動の転換点となったとされる。
その日をモチーフとした香りということで、男性同性愛者のぼくは、当然のことながら、そのストーリーに魅かれてこの香りを購入した。
どのサイトを見ても、調香師が明かされていなかったのだが、2023年のサロンドパルファンでFlairのアン・ソフィー・ベヘゲルと、アメリ・ブルジョワが来日した時に、この香りをアン・ソフィーが調香したということを聞き、その場でこの香りを購入したのだ。その年に出たばかりということで、試していなかったのだが、実際に試したらとても不思議な香りだし、官能的な部分も感じられて、ストーリーと相まって、これは買わなくてはという感じで手に入れた。
ぼくは日本のいわゆるなんちゃってLGBT運動は大嫌い(だって、欧米のそれをそのまんま持ってきているだけの御仕着せの内容なんだもん)なので、日本のLGBT運動については何も語る気にもならないが、キリスト教思想に基づいた欧米における同性愛者に対する差別は相当なもので、そのためのアクトアップに関してはやはりリスペクトしなくてはならないと思っている。
だから、この香りについても、普通の人たちとはちょっと違う意味合いを持って身に着けることになるだろう。
さて、香りの内容的なところを見てみると、トップからちょっと甘スパイスな感じがして、さらにパウダリーでもある。でも、ちょっとフルーティーさもあって、実におもしろい。ウッディスパイシーというタイプに入るみたいだが、木の香りと、スパイスの組み合わせが甘みを出しているのかもしれない。
NOTES
Top notes:Saffron, Black Pepper
Middle notes:Indonesian Patchouli Leaf, Cumin
Base notes:Papyrus, Myrrh, Castoreum, Cade oil
瑞々しさの要素というのがこの中にはあまり感じられないのだが、なんとなくそんな感じがするというのは、面白いなと思う。
My Evalution
★★★★★
ぼくの場合はね、やっぱりゲイバーに遊びに行くときとか、そういう時にまとうことに何か意味があるような気がする。少し妖艶な雰囲気もするしね。そして、誰かから何つけているの?と聞かれた時に「June 28」だよって教えてあげて、相手がそこで反応してくれたら、嬉しいわけだし。日本のLGBT活動は嫌いだけど、アメリカにおいてそういう動きがあったということは、ゲイとしても知っておいた方が良いと思うしね。ちょっと矛盾していると思われるけど、ぼくのLGBT活動に関するスタンスはここで明確にしておきたいと思う。
それを抜きにしても、この香りはとてもユニークだし、普通の人がつけてもつけやすいのでは?という気もする。
アン・ソフィーにサインをしてもらったサイン。
もしあなたがクリストファー・ストリートを知っているのであれば…
というメッセージ。
1991年と1993年にぼくはNYを訪れているのだが、もちろん、クリストファーストリートは何度も歩いた。あの時の高揚感は今でも忘れないし。たまたま初めて行った時に見たゲイパレード(その時はゲイに対する不動産業界の差別に対するアクトアップデモだった)のことも鮮明に覚えている。そういった思い出も相まって、この香水はぼくにとっては特別なものになったのだ。