第13夜 Caligna

空から降り注ぐような光に満ち溢れた香り

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DATA

Name:Caligna(カリーニャ)
Brand:L'Artisan Parfumeur
Lauched in 2013
Perfumer: Dora Baghriche
100ml ¥21,450

My Episode

今はなきラルチザンの表参道店に足しげく通うようになったのが2013年から2014年にかけてのこと。一年に40回以上も行くほど、ぼくは事あるごとに表参道店に通った。
香水だけではなく、キャンドルやボディローションなど、実に様々なアイテムを扱っていたので、それらを試すだけで楽しかったのだ。
そんな中、新作として発売されたのがこの「カリーニャ」だった。
「カリーニャ」というのが、南仏プロヴァンスの言葉で「求愛」を意味するという名前の由来を聞いただけで、ぼくの心は踊った。
そして、実際に香りをかいで見た時の第一印象は、空から降ってくるような香り、だった。
香水にはさまざまな香りの立ち方というのがある。
例えば一昨日ご紹介した「パチュリパッチ」は大地から立ち上ってくるような香りだし、「私のミモザ」は胸に抱えたミモザの花束から漂ってくるような香りだ。
そして、この「カリーニャ」はまるで春の日差しが降り注ぐかのような印象があった。
とにかく明るいのだ。しかも、それが軽やかでは決してない。むしろグラマラスなこってりとした花の香りもする。
この香りが発売された時、ぼくは毎日のようにこれをまとっていた。
とある日、西新宿にあるキングダムノートという高級文具店に行った時のこと。当時キングダムノートはビルの5階にあったのだが、エレベーターに乗った時に、外国のカップルが英語で話しているのが聞こえてきた。「なんか素敵な香りがしない?」という彼女の言葉に男性の方が「きっと、誰かの残り香だよ」って言っているのを聞いてぼくは思わず。「Maybe it's mine(多分、ぼくの香りだよ)」と声をかけた。そうしたら二人ともすごく嬉しそうだったので、カリーニャのことをちょっとだけ説明したのだ。
その後、ぼくはひょんなことからフランスのラルチザンパフューム本店に行く機会があり、滞在中毎日のように通ったのだが、そこで特別にプレゼントされたのもカリーニャの50mlボトルだった。ぼくはすでに持っていたので、叔母へのプレゼントにさせてもらったのだけど。
「カリーニャ」は今でも日本で取り扱いがあるので、ぜひいろんな人に試して欲しい香りだ。
春から初夏にかけて、日差しをたっぷりと浴びたい、そんな日に特におすすめ。

NOTES

Top notes:Fig, Clary Sage, Mandarin Leaf, Rose
Middle notes:Mastic or Lentisque, Jasmine, Violet
Base notes:Pine needles, Oak, Ambroxan

日本の公式サイトを読むと、クラリセージ、イチジク、ジャスミンマーマレードという言葉が出てくる。まろやかな甘みと、安定感やあたたかみが感じられる香りは、そういったさまざまな自然の恵みの要素が合わさったものなのかもしれない。

My Evalution

★★★

この星3つというのは少ないと思われる方もいるかもしれないが、好きな香りであっても、例えば出番が少なかったり、発売当時はすごく良く纏っていても、今はあまり纏わなくなったという香りもあるので、単純な好き/嫌いではないことは明記しておきたい。