第26夜 Ett Hem

海外のホテルの部屋にいるような癒しの香り

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DATA

Name: Ett Hem(エットエム)
Brand:Fueguia 1833
Lauched in 2013
Perfumer:Julian Bedel
30ml ¥20,900

My Episode

ラルチザン・パフュームの香りの中で「ジャタマンシィ」という香りがあった。100%天然香料で作られたという幻の香りである。
ジャタマンシィとは、サンスクリット語でヒマラヤに自生する植物のことだ。
残念ながら、この香水はぼくがラルチザンを知った時には廃盤になってしまい、手にすることができなくなった。
しかし、一度だけアジア限定で30mlが復刻し、その時にぼくはやっとこの香水を手に入れることができた。
その香りはとても不思議。アロマティックなのに、深みがあり、スパイスも感じられる香りだ。
外に向く香りというよりも、むしろ内向きの香りで、ぼくはこの「ジャタマンシィ」は部屋の中で自分のためだけに大切に、大切に(でも一度につける量はとても多かったのだが)使っていた。
100%天然香料の宿命で、この香水はもう二度と作られることはなく、おそらくこれからも手に入れることはできないだろう。
そのために、ぼくはこの香りの代わりになるものをずっと探し求めていた。ところが、どうしても、どの香りもジャタマンシィほどの神秘的なものはなく、諦めかけていた。
そんな矢先に知ったのがこの「エットエム」だ。
もちろん、ジャタマンシィとはまったく違った香りなのだが、なんとなくトーンが非常に近かった。
ジャタマンシィのような内向的な部分がこの香りにはある。
外に向かって自己主張するのではなく、むしろ、じっと静かに自分と向き合うためだけに使いたい。そんな感じがしてならない。
この香りを最初にかいだ時に感じたのが、ホテルの一室だった。それも日本ではなく、ヨーロッパのホテルの部屋を連想させる香り。
それもそのはず、実はこの香りは、スカンジナビアにある同名のホテルの名前なのである。そして、「Ett Hem」というのは「At Home」という意味なのだとか。
その名前から、ぼくは自然にこの香りをホテルの部屋と関連付けてしまっているのかもしれないけれども。
でも、ぼくにとってこれは自分と向き合うための、ジャタマンシィ代わりの香りとなった。
ぼくはこの香水を外につけていくことはしない。
必ず部屋の中でつける。
それも、静かな夜に。
添寝香水としての出番も多い。
疲れた時、癒されたい時、この香りにはいつもお世話になっている。
ジャタマンシィがなくても、この香りがあればもう大丈夫。そういう安心感がこの香りにはあるのだ。

NOTES

Tonic note: Sandalwood
Dominant note: Cedarwood
Sub Dominant: Black Pepper

サンダルウッドと、シダーウッド、もうそれだけでこの香りがどれだけ落ち着いている香りなのかがわかるだろう。ブラックペッパーは他の香りを引き立てるために、ほんのりと感じられる程度。

My Evalution

★★★★