第61夜 French Lover

スモーキーで、ちょっと苦いグリーン

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DATA

Name: French Lover (フレンチラバー)
Brand:Frederic Malle
Launched in 2007
Perfumer:Pierre Bourdon
100ml ¥34,100

 

My Episode

毎年冬近くに伊勢丹新宿店で行われる香水の祭典、サロンドパルファンは一年に一度の香りのお祭りということで、この数年のぼくの楽しみにもなっている。
昨年はコロナの影響もあり、規模はそれほど大きくはなかったものの、限定の商品なども扱われていたし、期間も一週間と長かったということもあり、ぼくは何度も売り場に足を運んだ。
そんな中でぼくが気になっていたのがフレデリック・マルの創設20周年を記念して作られた限定ボトルである。
最初は香りそのものが限定というわけではないのだから、とあまり興味を持たなかったのだが、だんだんと、もうこれからは同じ柄でボトルが出てくるということはないから、ひょっとしたら数年後に後悔することになるかもしれない…という気になって、色々と調べて(全香水が限定ボトルで出るというわけではなく、いくつかの香水がピックアップされて限定ボトルで発売ということだったので)、目星をつけておいた。
それが「フレンチラバー」だった。なぜその香りを選んだかというと、いくつかの香水サイトを見てみると、「ムスクラバジュール」「ムッシュー」とともに紹介されることが多いのが「フレンチラバー」だったからだ。
ぼくの中では「ムスクラバジュール」と「ムッシュー」というのは、非常にスモーキーで個性的な香りという点で同じカテゴリーにいるので、きっと「フレンチラバー」も同じカテゴリーなのではないかと勝手に思っていた。
そして、20周年ボトルは「フレンチラバー」にするぞ!と決意し、意気揚々と伊勢丹の売り場に行って、すぐに「フレンチラバー」をムエットで試してみたのだが、ぼくが想像していた香りとはまったく違い、拍子抜けしてしまったのだ。
全然スモーキーじゃない。
「ムスクラバジュール」や「ムッシュー」とはむしろ対局にあるような気がするほど共通点が見つからなかった。なぜこの3本が一緒に紹介されるのか…ぼくには謎でしかなかった。
どうしてもその時はお迎えする気がせず、結局別の香りを選び、「フレンチラバー」はぼくの中では封印香水の一つとなってしまった。
だが、なぜこれをお迎えすることになったかというと、例の大阪の百貨店に勤務するベテランのスタッフにおすすめされたからである。
彼が4月いっぱいで退職をするというので、彼から最後のお買い物をしたいと思ったぼくは、彼の担当するブランドのフレデリック・マル、キリアン、ルラボの3つのブランドの中から彼のおすすめの香りを1本ずつ買おうと思って売り場に向かった。
フレデリックマルに関しては「ドリス・ヴァン・ノッテン」は買うことが決まっていたので、もう一本、純粋に彼に選んでもらおうと思って、彼にお願いしたのである。
ぼくの好みを熟知しているので、逆におすすめを選ぶのは難しいと言われたのだが、その中で彼が提示してくれたのが「フレンチラバー」だったのだ。
ぼくが昨年のサロンドパルファンでは今一つで封印していた香り。
しかし、香りの印象というのは変わるものなので、先入観を捨てて、まずはムエットで試してみた。
すると、伊勢丹で感じた時の違和感のようなものは、実はそれほど感じられなかった。
きっと、あの時は勝手に「ムスクラバジュール」「ムッシュー」と同系列だ、という思いこんでいたから、鼻がこの香りを受け入れてくれなかったのだということが明確に分かった。
改めて花をリセットしてかいでみると、まったく受け入れられない香りというわけではないのだ。
もちろん、両手離しで「好き!」とは言えないが、決して嫌いな香りではない。
なぜかというと、ウッディで、少しドライなスモーキーさを感じるから。グリーンの香りが苦手だから、そのあたりが強く感じられてしまうと拒否反応が出てくるのだが、そこまでのグリーンさではない気がする。
程よいグリーンというか。ウッディに包まれたグリーンというか。
肌に載せると、今度は少し苦みのようなものが出てくる。ヨモギのような独特の香りだ。
以前ラルチザンパフュームで出ていた「フー・アブサン」に通じる青苦さと、同じくラルチザンの「ジャタマンシィ」に通じるハーバルさもかすかに感じられる。
そこで、ぼくはこれをお迎えすることを決意したのだが、ここでまた容量が問題になった。
果たしてぼくは100mlを使いこなせるかと…。
そこでまた彼に相談をしてみたのだが、やはり100mlというのはなかなか使い切らないので、100mlじゃなくても良いのでは?というアドバイスだった。しかし、だからといって、10mlというのは少ない気もした。
そこで、ぼくが今まで持っていないサイズである50mlだったらどうだろうと思い、ボトルを見せてもらったら、これまた100mlをミニサイズにした可愛さで、そのたたずまいも良かったので、50mlでお迎えすることになったのだ。
まだこの香りをどの場面で使うか正直見えてこないのだが、鼻をリセットしたい時や、香り疲れをした時、あるいは添寝香水として使っていきたいと思っている。

NOTES

Top note: Galbanum, Spices
Middle notes: Angelica, Cedar, Incense
Base note: Vetiver, Oakmoss, White Musk

 

ぼくがこの香りを受け入れられるのは、インセンスのやシダー、オークモスといったウッディやスモーキーの要素が入っているからなのだろう。そういう要素があれば、グリーン系の香りも受け入れられるのかもしれない。

My Evalution

★★★