第62夜 Gold Knight

金色に輝くとろりとした大人の甘さ

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DATA

Name:  Gold Night(ゴールドナイト)
Brand:By Kilian
Launched in 2017
Perfumer:Pascal Gaurin
50ml ¥37,950

My Episode

キリアンの香水を初めて購入したのは昨年の秋のこと。
その時、初めてキリアンの香水をいろいろと試したのだが、どれも非常に個性的であるものの、お酒の甘さがメインという印象が強かった。
ただ、ぼくはスモーキーで重い香りが好きなので、キリアンとの相性はとても良いと思っていたし、次に買う香水もいくつか決めてはいた。
2019年のサロンドパルファンで知り合ったエキスパートの方から買うキリアンも、きっとそのぼくの買いたいと思っている香水になるだろうなと思いながら、大阪髙島屋の売り場に行ったのだが、ふとぼくはその彼に「ぼくにまとって欲しいキリアンってなんですか?」と聞いてみた。
昨日ご紹介したフレデリック・マルと同様に、キリアンでも彼のチョイスする香りが気になったのである。
自分が欲しいと思っている香水は東京でも買うことができるし、いつでもお迎えしようと思えばお迎えできるけれども、彼から直接彼の審美眼で香水を購入できるのは、その日が最後なので、どうしてもそういう選び方をしたかったのだ。
彼はまたしても「難しい質問ですね」と苦笑いしながら選んでくれたのが、「ゴールドナイト」だった。
これは、クリムトが1902年に発表した「ベートーヴェン・フリーズ」という作品に描かれた騎士のゴールドの甲冑にインスパイアされて作られた香水なのだという。
肌に載せたとたんに、甘くて深い香りが広がる。しかも、それだけではなく、少しスモーキーでオリエンタルな香りもかすかに感じられるのだ。これは恐らくアニスなのだろう。
ラム酒っぽさも感じられる蜂蜜のとろけるような甘さはまさに大人のための甘さという感じがする。
甘い香りは嫌いではないのだが、どちらかというとぼくはスパイス系の甘さを好む傾向がある。あるいはフルーティーな甘さ。甘い香水が好きな香水好きの友人に言わせるとぼくの好きな甘い香水は糖分ゼロなのだそうだ。
こってりとした甘い香りも(例えばラルチザンの「アムールノクターン」とか)持ってはいるし、嫌いではないけれども、出番は少ない。
ただ、ひとことで甘いと言っても、この「ゴールドナイト」の甘さの中に子どもっぽさはまったく感じられない。ただひたすらにアダルティー
なんなら、官能的ですらある。
エロティックな甘さ。
例えば、好きな男と肌を合わせた時に、汗ばんだ肌の上にこんな香りが載っていたら、きっとそれだけで酔ってしまいそうな、そんな感覚。
自分ではあまり選ばない香りだけれども、嫌いな香りではないし、エキスパートの方に選んでもらった香りだったらきっと間違いはないと思った。
しばらくは、自分一人の夜の時間に使ってみたいと思う。
疲れ切った時に糖分は必須。
これからしばらくは仕事で忙しくなるので、そんな日は寝る前にこの香りで糖分補給をして疲れを取りたいと思っている。

NOTES

Top note: Anise, Bergamot
Middle notes: Honey, Vanilla
Base note: Patchouli

FRAGRANTICAに掲載されている香りの内容は非常にシンプル。きっともっと複雑に絡み合っているのかもしれないけれども。ただ、やはり蜂蜜とバニラの甘さがかなりきいた香りであることはここからも容易に想像がつく。

My Evalution

★★★★