第233夜 Tabac Noir
甘いタバコで癒されて
DATA
Name:Tabac Noir (タバック・ノワール)
Brand:Caron(キャロン)
Lauched in 2021
Perfumer: Jean Jacques
100mL ¥35,200
My Episode
今週は昨年の11月に伊勢丹新宿店で開催されたサロンド・パルファンで出会った香水たちを中心に取り上げているのだが、今日もまたそんな香水のひとつ。
Caronは1904年創業の老舗のフレグランスブランドなのだが、つい最近になって全面的にブランドリニューアルされた。
ぼくはこのブランドのことはまったく知らなかったので、ぼくにとっては新規ブランドなのだが、(そういう意味ではD'ORSAYも同様)やはりそこは老舗ブランドならではの、落ち着きというか、貫禄のようなものを香りからも感じられて、ぼくはすっかり魅了されてしまったのである。
さて、このCARONを取り扱っている代理店はぼくがいつもお世話になっているブランドも取り扱っているので、伊勢丹の担当販売員さんとも非常に仲が良い。サロンド・パルファン初日に遊びに行った時、彼女に接客をお願いしたのだが、彼女はぼくがどんな香りが好きなのかを恐ろしいくらいに熟知している(時には彼女の担当じゃないブランドの香水まで薦めてくれる…しかもそれが的確、まず彼女に薦められると買ってしまうほど。こういう他ブランドの香水のことまで熟知し、それを薦めてくださる存在というのは稀有で、彼女にはいつも感謝している。実はこの前も彼女に薦められたトムフォードを2本お迎えした。その話はまた後日ゆっくりと)ので、彼女の説明を聞くのが楽しみだった。
日本に上陸した香りは10種類以上あるので、とりあえずそれらの香りをかたっぱしから試していく。ぼくはそういう時は、まず自分が選びそうもない香りから試すようにしている。
名前やコンセプトや香料から考えて自分で順番を考える場合もあるし、ぼくのことを良く知っている販売員さんの場合には「ぼくが選ばなさそうな香りから説明してください」とお願いをするようにしている。
この時も、そんな風にして試香したのだが、確かにその通りで、ぼくが一番気になった香りというのは、最後の方で彼女が提示してくれた3本の香りだった。
CARONが上陸することが公式に発表されてから話題になったのは、2種類のタバコの香り。ぼくもタバコの香りはとにかく大好きなので、これは本当に楽しみだった。
ところが、である。その日ぼくの鼻が一番反応したのは、販売員さんが最初におすすめしてくれた「TABAC EQXIS」ではなく、「TABAC NOIR」の方だったのだ。同じタバックでも、方向性が違うので、だからこその2種類作ったのだろうけど、その時のぼくの印象では、「タバック・ノワール」の方がぼくの肌で美しく香る感じがした。
「タバック・ノワール」はタバコのスモーキーさの中に蜂蜜の甘さを感じるのだ。ペッパーも効いているけれども、あくまでもベースにあるのはまったりとした甘さ。そこがぼくの気に入った。
最近、思うのだが、ぼくの鼻は甘さというものに非常に惹かれる傾向がある。ただ、その甘さも単に甘いんじゃなくて、煙とかスパイスとかの引き立て役としての甘さというのが大事。
その例として挙げられるのがフエギアの「キロンボ」という香り。この香り、非常に甘くて、まったりとしているのだが、スパイスとかスモーキーさが感じられないのだ。ただひたすらにミルクの甘さが広がる。そこがどうしても受け入れられなくて、まだ購入には至っていない。
甘いだけでは物足りないのである。
そして、「タバック・ノワール」は甘さとスモーキーさが見事に調和しているのだ。では、なぜエクスキの方をその時は選ばなかった(結局後日買ったわけだけど)かというと、その甘さが足りない気がした。苦いだけという印象。
そういう微妙なバランスというのは、なかなか人に説明するのは難しいが、これからもそういう甘さと煙たさと辛さの三位一体な香りを探していきたいなと思っている。
NOTES
Top notes:Bulgarian Light Tobacco ,Madagascar Pepper
Middle notes:Tobacco, Papyrus, Indonesian Patchouli Leaf ,Labdanum
Base notes:Honey, Tonka Bean, Vanilla ,Cedar
やはり、ベースで支えているのは蜂蜜やトンカ豆やバニラといった甘い系の香料で、それが他のタバコとかペッパー、パチュリとともに香っているというのが良いんだと思う。
My Evalution
★★★★★
だって、タバコだぜ!という理由。そして甘さが見事に調和しているというのも五つ星の要因。
そして、CARONのリニューアルされたボトルが面白いのは、100ml、50ml、30mlの容量が選べるのだが、ボトルを積み木のように積み重ねられるというところ。っこういうところも非常ににくい演出だなと思う。