第63夜 Rose 31

スパイシーできりっとしたバラの香り

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DATA

Name: Rose31 (ローズ31)
Brand:Le Labo
Launched in 2006
Perfumer:Daphne Bugey
50ml   ¥22,550

 

My Episode

ルラボの香水は、昨年の3月に初めて大阪の髙島屋で購入したのだが、先週の金曜日に大阪に行った時も、何か一本お迎えする予定でいた。以前から気になっていたのが、「ベ」という香水で、すっかりそれを購入する気満々でいた。
ところがそのことを香水のエキスパートの方に話したら、意外そうな顔をされた。ぼくのイメージと「ベ」が結びつかないのだという。そこで、早速べを彼とご一緒したフォロワーさんと3人で試してみる。
すると、面白いことに、3人ともこの「ベ」に対する印象が全然違うことがわかったのだ。
ぼくがまず最初にこの香りで感じたのがパチョリだ。雨上がりの庭の土のにおいをこの香りから感じ取ったのだ。
ところが、彼はこの香りからグリーンを強く感じたので、ぼくがグリーンが苦手なことを知っている彼はこの香りとぼくが結びつかなかったというのだ。
ぼくはそれを聞いても、この香りからそれほどグリーンを感じ取ることができなかった。もちろん、パチョリはグリーンの香りに分類されるのかもしれないが、ぼくは今までパチョリをグリーンだと思ったことがない。
ぼくのイメージするグリーンの香りというのは、もっと青っぽいもの。たとえば、草をちぎった時に立ち上るあの苦みなどが感じられるようなまったりとした香りがぼくにとってのグリーンな香りで、それがなぜか受け付けないのである。
パチョリはむしろ土の匂いが強いためにその青々しさが土っぽさに隠れて感じられないのかもしれない。
さて、そこでぼくはまたしても彼にぼくにおすすめのルラボの香水をたずねてみた。
その時に彼が選んでくれたのが以外にも「Rose 31」だったのだ。
これはぼくには非常に意外だった。
なぜなら、ぼくは基本的にローズの香りがとても苦手だからだ。
ローズと言えば、以前ご紹介した「バラ泥棒」という香りがあり、ぼくにとってはこの「バラ泥棒」は世界一好きな香りになるのだが、あのバラを経験してしまうと、他の薔薇が軽く感じられてしまうのだ。
逆に言うと、「バラ泥棒」の薔薇は薔薇の香りにカウントしない方が良いかもしれないくらい例外中の例外なのかもしれないという気もしている。
薔薇の香りの概念を取り払ってしまうほどのインパクトがあるからだ。
その経験があるために、他のどのバラを試しても、ぼくはどうしても「バラ泥棒」と比較してしまって、勝手に「却下」の判定を心の中で下してしまうのだ。
でも、せっかくぼくのために選んでくれたので早速「Rose 31」をムエットで試してみた。
確かにバラの香りははっきりと感じられるのだが、ぼくの苦手とするバラバラしい薔薇ではない気がした。
フェミニンさは控えめで、むしろスパイスを感じるのだ。
そして、そのスパイスというのは、肌に載せた時により強く感じられた。
恐らくこれはクミンの香りなのだろう。クミンは種子に苦みや辛みが感じられる香料なのだが、温かみもあり、アロマティックな香りでもある。だからぼくの好きなシナモン系のスパイスとはまた違ったピリ辛感があるのだ。
さらに、これは後でFRAGRANTICAを調べてわかったことなのだが、なんと、ウードが入っているではないか。
これは本当に意外なことだった。なぜならまったくそのウードを感じることができなかったからだ。
ラストの方でかすかにウードらしき香りは感じられるのだが、恐らく配合としてはかなり少量なのではないかと思う。
恐らくこれからもう少し温かくなり、肌の熱で熱せられると、そのあたりの香りが強く出てくるかもしれない。
ともあれ、ぼくはこの日、香水のエキスパートの彼から、フレデリック・マル「ドリス・ヴァン・ノッテン」「フレンチラバー」、キリアン「ゴールドナイト」、ルラボ「ローズ31」の4本の香りをお迎えすることになった。
彼と香水売り場で会うのはその日が最後で、新幹線の時間が迫ったいたぼくは、慌ただしくお店を後にしたのだが、不思議なことに寂しい気持ちにはならなかった、きっと彼とはこれからもいろんな形で交流ができると確信しているし、何よりも彼に勧めてもらった香水がこんなにあるし、素敵な思い出ができたのだから。
また彼が何らかの形で香水業界とかかわりを持ってくれることを期待して(だって、彼の香水に対する情熱と知識は計り知れないものがあるのだもの!接客のことも含めて、彼の香りに対する真摯な姿勢は多くの香水にかかわる人たちには参考にして欲しいと思っている)、ぼくは売り場を後にした。

NOTES

Top note: Rose, Cumin
Middle notes: Rose, Vetiver, Cedar
Base note: Musk, Guaiac Wood, Agarwood (Oud), Olibanum, Labdanum

この香りの構成を見て、ぼくが意外に思ったのが、ガイアックウッドが入っていること。これは、ルラボの「ウード27」の時に感じたクリーミーな香りの要因と思われるのだが、そのクリーミーさが、この「ローズ31」ではほとんど感じられないからだ。恐らく、他の香料との兼ね合いで感じられないだけなのかもしれないのだが、そういうところも香水の面白いところなんじゃないかと思っている。

My Evalution

★★★