第217夜 Thé Darbouka

とらえどころのない、遊牧民のスパイスティー

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DATA

Name:Thé Darbouka(テ・ダラブッカ)
Brand:L'Orchestre Parfum(オーケストラパルファム)
Lauched in 2017
Perfumer:  Anne-Sophie Behaghel , Amelie Bourgeois
100ml ¥22,000

My Episode

オーケストラパルファムのことを初めて知ったのは、2年ほど前のことだったと思う。ウード系の香水を本格的に集め始めた頃で、NOSE SHOPの新宿店か銀座店に始めて行った時に、ウード系の代表作のひとつとして、このオーケストラパルファムの「テ・ダラブッカ」を薦めてもらったのだと思う。
しかし、その時は他のウード系の香水を購入したので、この時は見送ってしまったのだった。
それから、何度も何度も試したにも関わらず、購入に至らなかったのは、時期的なものであったり、タイミング的なもの(他に欲しいものがあったとか)があったりしたのだろう。
香水というのは、心理的な面に左右されることが多いので、いくら好みの香りであったとしても「その気」にならないと買えないところがあるとぼくは思っている。
でも、先週は違った。
もう、前日に凹むようなことがあり、それを払拭するために香水を爆買いするぞ!と意気込んでいるし、昨日ご紹介した「アンバー・チェロ」も買うし、だったらいっそのこと、ずっと気になっていた「テ・ダラブッカ」も買ってしまえ!という気持ちになっていた。
もちろん、もう一度買う前にムエットで試したけど、好みの香りであることは間違いない。
そのようにして、2年の歳月がかかったものの、やっとぼくの元にやってきてくれたんである。
昨日ご紹介し忘れたのだが、オーケストラパルファムというブランドはコンセプトが面白くて、すべての香水が音楽や楽器をモチーフとしている。それぞれの香水には楽器や音楽のイメージがベースにある。さらにそこに世界の都市が加わり世界観を作り出している。
例えば、昨日の「アンバー・チェロ」を例にすると、ドバイにあるディエラの香水市場と、チェロのイメージで作られている。
では、本日ご紹介する「テ・ダラブッカ」はどうかというと、エジプトのサハラ砂漠とダラブッカという打楽器のイメージだ。
ブランドのホームページに行くと(NOSE SHOPのサイトからも行けるようになっている)それぞれの香水の背景となっている音源も公開されており、なんとパッケージにもQRコードが入っているという凝りよう。
「テ・ダラブッカ」はそんなサハラの遊牧民たちのお茶をイメージして作られている。
お茶と聞いて真っ先に思い浮かぶのが、ラルチザンの「Tea For Two」のようなラプサンスーチョン系のお茶の香りや、同じくラルチザンの「イスタンブールの空」のアップルティーの香りなのだが、この「テ・ダラブッカ」はそれらとはまったく異なる不思議な香りなのである。
実はエジプトには行ったことがあるのだが、その時サハラ砂漠にはいかなかったので、遊牧民の飲むお茶というのも実際に飲んでいないので、なんとも言えないのだが、我々が想像するお茶の雰囲気がこの香水からはあまり感じられない。
じゃあ、どういう香りなのかというと、とにかくスパイシーでスモーキーで、甘い。むしろアンバーに近い印象。ウードも入っているけれども濃度としては低めだと思う。そんなにウドウドしいわけではないのだ。
だから、この香りはウードは苦手だけど、ウードのようなニュアンスが欲しいという時なんかにはぴったりの香りなんじゃないかと思う。

NOTES

Top notes:Bergamot ,Cacao
Middle notes:Spicy Notes ,Immortelle
Base notes:Styrax ,Agarwood (Oud)

この香料を見て驚いたのだが、カカオっぽさをぼくはまったく感じない。恐らくちょっとした隠し味的にスーモキーさを出すためという感じで使われているのかもしれない。


My Evalution

★★★★

とらえどころのない香りなのに、軽さも感じられるバランスの取れた甘い系香水といえるだろう。そして、驚いたことに調香師の二人は、他にも実に面白い香水を作っている。特にアメリブルジョワはぼくの好みを熟知しているのか(笑)、彼女のウードの使い方はとても匠で魅力的なものが多い。