第389夜 Scherzo

静寂な香り

DATA

Name: Scherzo(スケルツォ)
Brand: Miller Harris(ミラー ハリス)
Lauched in 2018
Perfumer:Mathieu Nardin
50ml ¥21,120

My Episode

2022年の秋に伊勢丹で行われた恒例のサロンド・パルファンは会期中毎日通い、ほぼすべてのブランドが行っていたコンサルテーションに参加した。(だって無料だったんだもん!)今までぼくが知っているブランドも、知らないブランドも、とにかく知りたいという気持ちが強かったし、そのコンサルテーションを通して、スタッフの方と仲良くなりたいという気持ちもあった。
そして、ミラーハリスを扱っている代理店のコンサルテーションにも参加した。
何度か売り場でお見掛けしたことがある方が担当してくださったのだが、これがまた面白かった。
ずっと気になっていたミラーハリスのウードエクラやレザールージュの話を聞き、さらに、その系統でぼくが好きそうな香りを捜してもらったのだが、その中に入っていたのがこの「スケルツォ」だった。
それまでノーマークだったのだが、ムエットに載せてもらった時、その深さにまずぼくの鼻は悦んだ。
でも、ちょっとまって、なんだかぼくの知っている香りが潜んでいる…と思ったら、なんとこれもウードが入っているではないですか!
それまで、ミラーハリスのウードの入っている香りは黒いボトルのシリーズだけだとばかり思っていたので、びっくり。
なので、ぼくは当然のこと、こちらの香りをお迎えすることにしたのである。
さて、この香り、ウードの他にローズの香りもしっかりと感じられるのだが、ウードとローズの組み合わせの中でなぜか良く一緒に調合されるサフランの香りは皆無。だから、スパイシーな感じもしなくて、本当に静かな香りだ。
スケルツォとはイタリア語で冗談という意味なのだが、音楽用語でもあり、ユーモアを兼ね備えた作品をさすのだとか。
冗談というからには軽やかなイメージだが、香りそのものはそんなに冗談ぽい感じもしないし、楽しい!っていう感じでもない。
どうも、この香りはフィッツジェラルドの「夜はやさし」の一節から着想を得たとのこと。南仏の庭を歩いているシーンがあり、それをイメージしている。
だから、静かな印象がするのだ。
これは昼間につけるよりも、夜、纏いたい香りだし、夜に少人数で、あるいは大切な人と会う時に纏うのも良いだろう。

NOTES

Top notes:Tangerine, Artemisia
Middle notes:Rose, Olibanum, Pitosporum, Narcissus
Base notes:Agarwood (Oud), Sweet Notes, Patchouli, Vanilla

このノートだけを見ると、やはり軽やかな香りはほとんどないので、静かな香りというのもうなづける。でもだからといって、暗いという印象でもないのは、バランスがとても良いのだと思う。かすかな甘さもあるし。

My Evalution

★★★★★
ウードは入っているし、すぐにウードだとわかるものの、非常に静かな印象が勝っているので、ウードの派手さというか、そういう特別感はあまりないような気がする。そこがこの香りの良さでもあるので、ウードが苦手という人もぜひ試して欲しい。