第88夜 La Danza delle Libellule

上品なココナツの香りに癒されて

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DATA

Name: La Danza delle Libellule (トンボのダンス)
Brand: Nobile 1942
Launched in 2012
Perfumer: unknown

My Episode

ぼくがニッチフレグランスにはまり始めた頃、よく通っていたのが表参道のラルチザンパフュームなのだが、もう一つしばしば行っていた香水売り場がある。それが有楽町の阪急メンズ館だ。
今は売り場の位置が少し変わってしまったのだが、当時は吹き抜け側に売り場があり、外から何となく香水が並んでいるのが見えて、それにつられて、ついついふらふらと中に入ることが良くあった。
以前ご紹介したペンハリガンのマラバーもこの売り場で購入したし、ベルトランが手掛けたディファレントカンパニーの香水もここで購入した。
今日ご紹介するノービレ1942も有楽町の阪急メンズ館で購入した。
その時もいくつかの香水を試したと思うのだが、どの香水を試したのか忘れてしまうくらい、この香水はインパクトが強かった。
普段ぼくは、それほど甘い香りを好んでつけることはないのだが、時々、鼻がヒクヒクと動いてしまう甘い香りがある。例えばバニラ系の香りとか、シナモン系の香りなどだ。
そして、その流れでココナツの香りというのもぼくの好みである。
ココナツというと、どうしてもコパトーンの、あの安っぽい(決して悪いというわけではないのだが)の香りを思い浮かべてしまうのだが、この「La Danza delle Libellule」は確かにココナツの香りではあるけど、コパトーンのような大衆性とは無縁だ。
同じ香料なのに、まったく別物。
でも、しっかりとココナツの香りがメインになっているのである。
FRAGRANTICAによると「for women」とされているが、女性だけにこんな良い香りを纏わせるわけにはいかない!
男性がつけても、しっかりとこの香りの良さは堪能できるのではないだろうか。
夏になるとこの香りの出番が増えるのだが、特にこの香りをつけていた夏がある。
ある年の7月と8月の毎週土曜日に海辺のカフェでボランティアで店長をしていたのだが、その時必ず纏っていたのがこの香りだった。
いろんなことがあって、楽しい思い出よりも、辛い思い出の方が多かったが、不思議なことにこの香りにはそういう嫌な思い出がこびりついていない。たいてい、香りと記憶というのは無意識のうちに結びつくものなのだが、この香りに関しては、嫌な記憶がこびりついていないのだ。
それは、それだけこの香りに癒されていたということなのか、それとも、そういう嫌な思い出もぼくの中できちんと昇華(消化)されたということなのか、定かではないが。
今日は外出をする時、この香りをふんだんに纏ったのだが、夜になった今でもほのかに香って、かなり持ちの良い香りだと思う。
そして、それが嫌味にならない程度の甘さなところがこの香りの素晴しいところ。
「La Danza delle Libellule」とは、「トンボのダンス」という意味。日本ではトンボが勝ち虫と言われ(前にしか進まないので)ており、ぼくもここ数年は自分のサインにトンボを描いているのだが、この香水のタイトルにもそのトンボが入っていて、妙な親近感がある。

NOTES

Top notes: Red Apple, Bergamot
Middle notes: Cinnamon, Cedar
Base notes: Vanilla, Coconut, Musk

香料を見てびっくりしたのが、ぼくの好きな甘い要素であるシナモンやバニラもしっかりと入っているということ。そりゃ鼻が喜びでヒクヒク動くはずだ!

My Evalution

★★★★

とにかく素晴らしい香りではあるが、冬よりも夏の方がメインになる香りで、例えばビジネスシーンなどのカチッとした場面では使いにくいことから、星4つとした。

ノービレ1942は日本でも取り扱いはあるのだが、残念ながらこの香水は扱いがない。今使っている分が終ったら、リピートするかどうか微妙なところではある。この香りは1本限りで自分の中で完結させるというのも良いかなぁ。