第87夜 Tabacco Toscana

アロマティックなタバコの香り

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DATA

Name: Tabacco Toscana (トバッコ・トスカーノ))
Brand: Santa Maria Novella
Launched in 2008
Perfumer: unknown
100ml ¥17,600

My Episode

サンタマリアノヴェッラのことは最近になって知ったブランドである。取扱店がそんなにたくさんあるわけではないし、どちらかというとぼくにとっては優しい香りが多いのではないか?という印象がとても強かったので、それまでそれほど気にしてはいなかった。
ぼくはクリスチャンではあるけれども、もともとドミニコ修道僧たちの製薬活動から始まったというこのブランドについてはそれほど興味を持つことができなかった。
だって、イメージ的に柔らかい香りばかりなんでしょ?存在感重視のぼくにはちょっと無縁の世界なんじゃない?という感じだった。
ほら、ぼくはなんせ「悪魔の寝床(セルジュルタンス)」みたいな香りが好きだから、修道僧が作った香りなんて、ドラキュラに与えるニンニクみたいなものなんじゃないかと勝手に思い込んでいた。
ところが、昨年の神戸のイベントの時にお会いしたある方が墨汁を浴びたような香りを纏っておられて、思わず聞いてしまったら、それがサンタマリアノヴェッラの「パチュリ」だったのだ。
それからぼくは気になって気になって仕方がなかった。
そこで、3月のとある日に急に思い立って丸の内にある直営店に遊びに行ったのだ。
とりあえず気になっていた「パチュリ」を試させてもらったのだが、まだその時はそんなに「パチュリ」をお迎えしようという気にはなれなかった。しかし、前知識がまったくなかったぼくは、他の香水を良く知らなかったので、お店の方に「パチュリ」のような重い香りが好きな人におすすめの香りはありませんか?とお聞きしたところ、いくつかの香水を選んでくれたのだ。その中にあったのが今日ご紹介する「トバッコ・トスカーノ」だった。
まずそのタイトルに「トバッコ」つまりタバコが入っているだけで、ぼくの鼻腔はひくひくと動き出すのだ。
しかも修道僧が作ったというブランドでタバコの香りが作られるなんて、背徳的で、それだけでもドキドキしてしまうではないか!
肌に載せてもらうと、ふんわりと少し甘めのスモーキーな香りが鼻腔を天国にしてしまった。
肌に載せてしばらくすると、柑橘系の香りに、ほんのりとオリエンタルな印象も出てくる。そして、やはりメインとなるのがタバコだ。今までにもぼくはタバコ系の香りは、例えばトムフォードの「タバコバニラ」や、ラルチザンの「バニーユアブソリュマン」などを愛用してきたけれども、そういった強烈なタバコの香りと正反対にある。
とにかくどこまでも優しくてアロマティックなのである。なるほど、修道僧が作るとタバコもこうなっちゃうのね、という感じ。
日本の公式サイトの情報だと、フランスの王妃が頭痛薬としてタバコの葉を使っていたのだという。
なるほどね、だからこんなにも柔らかいんだと納得する。
今日は仕事で一日外に出ていたので、これをさらっと纏って外出したのだが、職場に到着するまでの間でだいぶ飛んでしまった。
そう、これはコロンなので、本当に軽くて、香りの持続時間も数時間程度とかなりショートラスティングだ。
初めて外出する時にまとったので、ついつい「タバコバニラ」のノリで気持ち少なめだったのが実は失敗の要因だったのかもしれない。
この香りはそれこそ浴びるようにまとってもそんなに問題にはならないのではないだろうか。
夏にこういうちょっとスパイシーでアロマティックでスモーキーな香りというのは程よく気分が上がって気持ちが良いのではないかという気がした。

NOTES

Top notes: Bergamot, Jasmine
Middle notes: Tobacco, Birch Leaf
Base notes: Vanilla, Amber, Malt

ぼくはジャスミンというのは非常にオリエンタルな香りだと思っているのだが、この香水のオリエンタルな部分はそのジャスミンに由来するのかもしれない。

My Evalution

★★★

やはりコロンというのは普段あまりつけないので、つけなれていないという部分もあり、香りそのものは良いけれども、まだきちんと「トバッコ・トスカーノ」とは向き合っていないので、とりあえずこれから、ちゃんと向き合ってから評価をしてみたいと思う。