第100夜 Petroleum

秘めた官能、あざといウード

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DATA

Name: Petroleum(ペトロレウム)
Brand: Histoires de Parfums
Launched in 2011
Perfumer: Gerald Ghislain
60ml ¥20,900

My Episode

イストワール・ドゥ・パルファンの香水のことを知ったのはつい最近のことなのだが、凝り性のぼくは、たった一ヶ月の間に10本ぐらい揃えてしまうくらい気に入ったブランドだ。
香りのコンセプトも斬新だし、まるで本を背表紙を思わせるようなボトルデザインもモダンで、思わず集めたくなるような魅力にあふれている。
そんなイストワール・ドゥ・パルファンのウード系の香水のうちの一本が「Petroleum」だ。直訳すると「石油」という意味なのだが、あの、灯油缶の独特の香りがするんじゃないかとびくびくしながら肌に載せてみると、当然のことながら、石油臭はまったくしない。
これはあくまでも富の象徴としての、あるいは地球の奥深くに眠っている天然資源としての「石油」を表現しているらしい。
さて、昨日ご紹介した「Ambrarem」(これはAmberからくる造語なのだろうか?)と比較すると、何となく共通点があるような気がしてならない。
その共通点というのが「甘さ」だ。この「Petroleum」も非常に甘いのである。
ただ、甘さの質が違う。「Ambrarem」が華やかな甘さだとしたら、この「Petroleum」も甘さはもっとどっしりとしている。ウッディというかアニマルというか、そんな感じ。
ただ、非常にベクトルとしては似ているので、ぼくはこの2本は姉弟関係にあるのではないかと思った。
つまり、華やかで社交的でありながらもどこか官能的な姉の「Ambrarem」に対して弟の「Petroleum」は控えめで、落ち着いているけれども、甘えん坊な存在といったところだろうか。でも、付き合っていくうちに、姉と同じ官能的な部分が出てくるという、姉と同様に非常にあざとい弟なんである。
このふたつの香りは、同じウードを使いつつ、さらに方向性も似ているにも関わらず、くっきりと個性をそれぞれに持たせているところがすごいと感心してしまった。

NOTES

Top notes: Agarwood (Oud), Aldehydes, Bergamot
Middle notes: Amber, Rose
Base notes: Civetta, Leather, Patchouli, Musk

吹きたての時は一瞬爽やかな香りがするのだが、肌に乗ると、すぐにそれがなりを潜めて、甘くて深い香りが出てくる。そして、アニマリックなレザーの香りが甘さとともにやってきて、ウードと絡み合うという感じだろうか。

My Evalution

★★★★

こちらはさらに難しい香りだが、好きな人はきっと好きになる香りなんじゃないだろうか。