第154夜 Osang

神聖なるウードの香り

DATA

Name:Osang
Brand: Mendittorosa
Lauched in 2017
Perfumer:Giovanni Festa

100ml ¥55,000

My Episode

昨年に引き続き、七夕の日に香水を買いに行き、２つの香水を試したところ、どちらの香りもウードの素晴らしい香りで一方だけを選ぶことができず、両方購入したのだが、まさか、その二週間後に同じブランドの別のウードの香りを購入することになるとは…。
その日は香り好きの友人と一緒にいくつか香水屋さんをまわったのだが、その最初の目的地がNOSE SHOP新宿店だった。
約束の時間よりも少し前に到着したぼくは、相変わらず店内をウード系の香りを求めてうろうろしていた。
ひとつひとつ、香りが吹き付けられたフラスコをチェックし、説明文を読み、その中にウードがあるかどうかを確認しながら香りを探す。
七夕の日にお迎えしたMendittorosaから、他にも何本かのウード系の香水が出ているのは知っていたので、それらも試したのだが、その中の一本がこのOsangだった。
実はこの香水、七夕の日も目にはしていた。
でも、その香料にウードが入っていることは気づかなかったし、OmegaとIdだけで腹いっぱい、ならぬ鼻いっぱいになってしまったために、他の香水を試す余裕がなかった。
だが、改めてMendittorosaの他の香りを試してみると、やはりどれも魅力的なのだ。なんというか、どの香りも良い意味で個性的。ボトルのキャップを見てもわかるように、非常に革新的な香りが多いような気がする。
今までにないタイプというか。
ウード系の香りで、気になる香りは他にもあったのだが、一番ぼくの鼻を惹きつけたのが「Osang」だった。
このボトルは七夕の日に目にはしていたし、スタッフとも話題にはなった。ボトルの中に赤い何かが入っていて、それが聖人の血をイメージしたものだという話もして、「なんか、面白いですよね」と話題になったのだ。その時はまさかその香水にウードが入っているとは知らなかったし、お値段もお値段なので、試しもしなかったのである。
しかし、改めて試してみたら、もう、これが本当に素晴らしい。
「Omega」も「Id」も正反対の香りだったのだが、この「Osang」はさらにまったく違う。つまりこの３本のウードは三角形を描くかのように方向性が別なのだ。
「Omega」は甘めアンバー系ウード、「Id」はスパイシーなウード、そしてこの「Osang」は神聖なウードである。
とにかくスモーキーが過ぎる。
煙たいのだ。
ぼくの鼻がまっさきにつかんだのは、教会の中で焚きしめるお香の香りである。ぼくはこれでもクリスチャン（自称背徳的なクリスチャン）なので、教会に行く機会は多いのだが、日本の教会でも時々香を焚くことがある。その時の香りを思い浮かべたのだ。
なんと、ぼくのその鼻の感覚は正しくて、この香りのテーマがまさに大聖堂なのだ。
NOSE SHOPの説明文によると、

火山の噴火、地震や疫病などあらゆる災厄からナポリを守る聖人。血液の奇跡、何百年も保存されてきた聖人の乾いた血が、年に3度、大聖堂で液化して街を鎮め、愛で包む。これは肌の上の消えない祈り。

となっている。
きっと、この感覚はクリスチャンじゃなくても、感じ取ることができるんじゃないだろうか。よく見ると、ボトルのキャップも司祭がかぶっている帽子のようでもある。
この香りをまとっただけで、自分が浄化されるような気がした。
日本人にわかりやすく説明すると、とげぬき地蔵なんである。
燻され感半端なくて、これは店頭ででも良いのでぜひ試して欲しい。
55,000円と決して安くはない値段なのだが、これはぼくはお迎えして良かったと思っている。
七夕の日ではなかったけれども、でも、その流れでこの香りをお迎えできたというのも、面白いではないか。
それからもぼくはこの香りを夜寝る前にしばしば纏うのだが、本当にベッドの上が大聖堂になる。
これも今年購入した香水のお気に入り上位に入ることになるだろう。

Note

Honey, Myrrh, Incense, Benzoin, Wildflowers, Labdanum ,Fenugreek, Heliotrope, Iris, Peru Balsam, Amber, Styrax, Musk, Sandalwood, Sinchuan Pepper, Agarwood(Oud), Nutmeg

煙の中に甘さを感じるのは、はちみつと、アンバーによるものだろう。フラワリーな甘さではなく、もっとグルマン寄りの甘さ。煙たささえ苦手じゃなかったら、グルマン愛好家にも受け入れてもらえる香りではないかと思う。

My Evalution
★★★★★

まさか、Mendittorosaの香りが立て続けに星５つになるとは自分でもびっくりである。他の香りがすべて良いというわけではないと思うが、恐らくぼくの鼻と相性良いブランドだと思うので、これからもNOSE SHOP新宿店に行くたびに色々と試していきたいと思う。なかなか日本で取扱店がないのが残念ではあるが、試せる人はぜひ試して欲しい香りだ。