第224夜 Musk Deer

落ち着いたアニマリック寄りウード

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DATA

Name:Musk Deer(ムスクディア|ジャコウジカ)
Brand:Zoologist Perfumes(ズーロジスト)
Lauched in 2020
Perfumer:  Pascal Gaurin
60ml ¥27,500

My Episode

数年前からウードを巡る旅をしているぼくは、とりあえず、日本で入手できるウード系の香水はすべて試さないと気が済まないし、なんだったら、昨日ご紹介した香水のように、日本未発売の香水にまで鼻を延ばしているほど。
夏の時期にたまたま銀座のNOSE SHOPに行き、何となく気になっていたズーロジストというブランドを色々と試してみた。ここのブランドが面白いのは、コンセプト。なんだか動物がボトルに描かれていて、これらの動物たちの独自の特徴を香りで表現しているというのだ。
正直、そのボトルに描かれた絵があまりぼくの好みではなく(なんかちょっと怖くない?)、敬遠していたのだが、食わず嫌いは良くないと思い、試すことにしたのだ。
そして、もちろん、ぼくがまず試すのはウード系の香水。
ズーロジストにもいくつかウードの香水がある。

ライノセラス2|サイ
ナイチンゲール|ウグイス
キャメル|ラク
ムスクディア|ジャコウジカ

の4種類だ。
それらをすべて試してみたのだが、一番気に入った香りがその時在庫切れだったので、再入荷を待つことにして、その日は別の香水を買った気がする(なんの香水かは忘れたけど)。

そして、昨年末に銀座店に遊びに行った時に、その時選んだ香りがもし再入荷していたら買おうと思ったのだが、名前を忘れちゃった上に、その香りの名前を書いたムエットも持っていくのを忘れてしまったのだ。果たして、一体どの香りだったかわからないまま、棚を眺めていたら、男性の店員さんに声をかけられ、事情を話して、ズーロジストのウード系の香水をすべて出してもらったのだ。
そうしたら、彼は一切何も見ないで、上記の4本の香水を出してくれた。ぼくはそれに驚いた。資料や棚の上の香水の説明書きなどを見ずに、当該香水をさっと並べたんである。
いやはや、参りました。
そして、それらをかたっぱしから試して、ぼくの鼻が反応したのが「ムスクディア」だった。
夏に対応してくれた店員さんが休憩からちょうど戻ってきたところで、彼女に念のために確認したら、やはりぼくの鼻の勘は当たっていて、夏に試して良かったのも「Musk Deer」であった。
4本の中では一番重くて、しっくりと鼻に馴染む感じがしたのだが、実は非常にアニマリック。ただ、一昨日ご紹介した日本未発売のニシャネの強烈ウードに比べるとかなり柔らかな印象で、使い勝手は良いと思う。
いずれにせよ、この香水は銀座店の優秀な男性スタッフ君と、ぼくが夏にそれを選んだことを覚えていてくれた女性スタッフさんの対応と共に、深く記憶に残ることになった。

NOTES

Top notes:Cardamom, Calamus, Rose
Middle notes:Atlas Cedar, Labdanum, Jasmine Sambac, Patchouli
Base notes:Ambrette (Musk Mallow), Sandalwood, Laotian Oud, Orris

この香りの面白いところは、香りの入り口は非常にアニマリックなのに、肌に馴染んでしばらくすると、その獣臭がすっかりと肌に馴染んで落ち着くこと。かすかにその香りはするんだけど、そんなに臭いっていう感じにはならない。そしてちょっとお香のような香りが漂ってくるので、本当に不思議だ。

My Evalution

★★★

すぐに大好き!とはならない香りだけど、じっくりと時間をかけて付き合って行くうちに好きになっていく予感はする。外に出ていく香りというよりも、部屋でじっくりと向き合いたい、そんな香り。あと、大切な人と過ごす時に纏うのも良いかもしれない。