第177夜 Moa'

甘めスモーキーの全季節対応フレグランス

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DATA

Name:Moa'
Brand: Mirko Buffini Firenze
Lauched in 2014
Perfumer: Unknown
30ml ¥16,500


My Episode

最近、ウードを巡る旅が続き、7月は一ヶ月丸々ウード系香水ばかりを紹介してきたが、日本で実物を試すことができないために、ネットで香りを試さずに購入してばかりいたせいか、ちょっとがっかりするような香水も正直多かったように思う。
ということで、今週は、ウード系の香水じゃないけど、店頭で試したらものすごく良い香水、というのをご紹介しようと思っている。
Mirko Buffini Firenzeの「Moa'」もそんな香水のひとつだ。
7月下旬から8月にかけて、GINZA SIXの中で小さな香水のポップアップコーナーがあり、昨年親しくなったブランドの中の方が売り場に立つというので、遊びに伺った。
その時にぼくがひと鼻惚れしたのがこの「Moa'」だった。
ミルコの香水はすでに「OG」「WOID」という二種類のウード系香水を持っているのだが、実はその他にもいくつか気になる香りがあって、それを試したかったのである。
ミルコの魅力は、どの香りも程よく個性的というところ。
とんがってはいないんだけど、一度試したら、いつの間にかその世界観に取り込まれてしまうような魅力がある。
Mirko Buffini Firenzeの創設者であるミルコは大の日本好きで知られている。
(ちなみにELLA Kのソニアも日本好きで有名)
俳句や短歌をモチーフにした香水など、日本の文化にインスパイアされた香りをいくつか出していることからもミルコがどれだけ日本が好きなのかがわかるだろう。
そのためなのだろうか、ミルコの香水は日本人の肌にものすごく合っているような気がするのだ。
纏った瞬間にすぐに寄り添ってくれる、そんな香りが多い。
これはあくまでも感覚の問題なので、なかなかそれを言語化するのは難しいのだが、とにかく、すっと包んで守ってくれるようなあたたかみがミルコの香水にはある。
しかも、それが押しつけがましくないのだ。
でも、だからといって個性がないというわけではない。
いや、むしろミルコの香水は個性的な香りが多い方だとぼくは思っている。
それなのに、なんで、こんなに静かな佇まいを感じるのだろう?
いくつか試した中で、ぼくが選んだ香りが「Moa'」だった。
その「モア」もまた非常に静かな香りだ。
ひっそりと肌にもぐりこみ、でもこっそりと個性が顔をのぞかせる。そんな感じ。
ぼくの大好きな甘めのスモーキーが肌から立ち上る。
「OG」もまた温かみのある香りだが、「OG」とはまた違った温かさが「Moa'」にはある。
夏の湿度にも合うのは、スモーキーな香りのせいだろう。
湿度を吸い取ってくれるような雰囲気がある。
甘い香りというと、夏の時期にはベタベタしてしまいがちだけど、スモーキーさが湿度を下げてくれるので、ちょうど良いのだ。
これ、冬の寒い時期に纏っても、絶対に綺麗に香るのが容易に想像できる。スモーキーさが今度は寒さの中で温かみに変わるであろう。つまり、この香りはオールシーズン対応の香りなのである。
なんだろう、この多幸感。
日常生活の中で起きる様々なストレスや不安をこの香りは和らげてくれるような作用がある気がする。
お値段的にも非常に手に入れやすいので、これもぜひ多くの方に試していただきたい。

Note

Top notes: Spicy Notes, Cinnamon, Nutmeg
Middle notes: Lavender, Jasmine, Lily-of-the-Valley
Base notes: Cedar, Cashmere Wood, Sandalwood, Musk

香料を見て、「あ!」と思った。ぼくがこの香りに惹かれるのは、シナモンが実にうまく効いているからだ。そして、調べてみたら、ミルコの香水のほとんどにシナモンが入っている。ミルコ、シナモン好きでしょ?と問い詰めたいくらいシナモン率が高い。
ぼくはシナモンを体に擦り付けたいと思っているくらいシナモン好きなので、だから、ミルコの香水に惹かれてしまうんだなということが実感としてわかった気がする。

My Evalution

★★★★★

夏も冬も、それぞれ違った表情を見せながらも、しっかりと寄り添ってくれて、さらに個性もある。なかなかそういうバランスの取れた香りがないので、この香りはぼくにとってこれからもマストフレグランスになるだろう。
そして、「OG」「WOID」に続き、この香りもまた星5つ。他の香りもいろいろと試したくなってきた。