第176夜 Sketch

スパイスとスウィートが煙の中で絡まる香り

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DATA

Name:Sketch
Brand: Maison Violet
Lauched in 2018
Perfumer: Nathalie Lorson
100ml ¥22,000


My Episode

出会いというのは、いつだって突然だ。
そういえば、小田和正のヒット曲に「ラブストーリーは突然に」っていう曲があったけど、香りに関しても同じことがいえる。
特に何か欲しい香水があるわけでもなく、何となく入った香水店で試した香りがあまりにも良すぎて、思わず衝動買いしてしまう香りというのもたくさんある。
今日ご紹介するMaison Violetの「Sketch」もそんな香りだ。
ぼくは最近ノーズショップで香水を購入することが多いのだが、こまめにノーズショップのサイトをチェックし、メルマガも読むようにしている。
新入荷のお知らせがあると、とりあえず、どんなブランドなのかとか、どういう香りが入ったのかというのを一通り全部読むようにしている。
そして、記載されている香水の説明文や香料などをじっくりと読んで、どんな香りなのかを妄想するのが楽しい。
そして、気になる香りの名前というのは、記憶力がないぼくでも何となく頭の片隅に残っているものである。
先週、ぼくは用事があって銀座に行ったのだが、帰りがけに通り雨に襲われた。どこかで雨宿りをしようと思って入ったのが数寄屋橋の東急プラザである。ここには大好きなノーズショップがあるので、ふらりと雨宿りのつもりで立ち寄った。
そういえば、ネットとメルマガで、最近新しいブランドが入ったことを思い出したぼくは、店員さんにそのブランドのことを聞き、早速試してみた。
確か、その中の一本がすごく気になっていたはず…と。
そして、全7本の中でぼくの鼻がひくひくと反応した香りがあった。それが「Sketch」だ。
それはぼくがネットで見て気になっていた香りであることも思い出した。
つまり、ぼくの鼻の妄想はドンピシャ当たっていたのである。
第一印象はスパイシー。そこにスモーキーが加わり、ぼくの鼻の好物がぎゅっと収まっている感じだった。
スモーキーというのは、パウダリーと非常に近しい関係にあり、この「スケッチ」はその中間のような印象。
パウダリーに偏り過ぎると、石鹸とか白粉っぽく感じて「おふくろさんよ」by森進一が頭の中で流れてきてしまうのだが、この香りはそこまでの石鹸っぽさはない。
それは、恐らく、スパイスがかなり効いているせいで、抑えられているんだと思う。
そして、グルマン系の甘さもある。
辛みと甘味、もうまさに、ぼくの好きな系統。
もう一本すごく気になった新入荷の香水があり、(オーケストラパルファンのアンバーチェロ)どちらにするか、最後まで悩んだのだが、結局このスパイシーな甘さの誘惑に勝てずに、「スケッチ」をお迎えした。
もし、雨が降らなければ、香水を買うつもりもなかったので、これは通り雨がもたらした出会いの香水と言えるだろう。

Note

Top notes: Nutmeg, Pink Pepper, Bergamot
Middle notes: Tuberose, Rose
Base notes: Madagascar Vanilla, Patchouli, Tonka Bean

この構成だけを見ると、このスモーキーはどこから来るんだろう?と思ってしまうのだが、スパイスは完全にピンクペッパーによるものだろう。ぼくの肌の上では花の香りはほとんどなりを潜め、甘いスパイスが残る。そして独特の煙たさ。香料からは見当がつかないところが、香水の面白さだと思う。

My Evalution

★★★★

まだこの香りと出会って一週間経っていないのだが、きっとこれはこれからも何かと纏う機会が増えるであろうことは容易に想像がつく。どこか懐かしい雰囲気もするところがこの香りの良さでもある。その懐かしさが何に起因するものなのかはわからないのだが。