第362夜 alecto

変化を楽しめる香り

 

DATA

Name:alecto
Brand:KOHSHI
Lauched in 2021
Perfumer:Matsuno Hidenori(松野 秀至)
50ml ¥18,700

My Episode

KOHSHIの香水も面白いところは、トップとラストの印象ががらりと変化するところ。
そこが海外の香水っぽいし、凝った感じがしてぼくは大好きなんである。
例えば、今日ご紹介するalectoもそんな香りだ。
トップは非常に個性的で、苦みのある柑橘系という感じがするのに、ミドルかは非常にジューシーな甘さを伴ってくる。柑橘系のすっきりとした感じはかすかに残っているものの、ジューシーさの方が勝るのだ。
ところが、ラストになると、ちょっとアニマリックでウッディな雰囲気を漂わせてくる。
え?お前、そんなところに潜んでいたの?
という驚きがあるのだ。
だから、特にKOHSHIの香水はトップだけで決断してはいけない。
このトップからミドル、ラストにかけての変化を受け入れて、初めてこの香水の世界観がわかるのだ。
香水というのは、元来、そういう香りの変化を楽しむものなので、どのブランドの香水もそういう流れを把握した上で買った方が良いのだが、特にKOHSHIの場合はその変化が他のブランドに比べると著しいので、最初はかなり面食らうかもしれない。
そんなところもこのブランドの魅力なんだとぼくは思っている。
ちなみに、alectoとは、ギリシャ神話に登場する復讐の女神のうちの一人の名前なのだとか。
ラストのこの重さにその感じが漂っているが、それほどおどろおどろしくない気がする。季節にもよるのだろうか?少なくとも寒い空気の中では軽めに感じる。

NOTES

Top notes:Orange, Cinnamon, Blackpepper
Middle notes:Aldehyde, Jasmin, Rose
Base notes:Black Musk, Agarwood(Oud), Cedarwood, Amber, Patchouli

ぼくの鼻はアルデヒドのメタリックな感じがどうしても受け入れられないのだが、この香りはそんなにメタリック感はないので、絶妙な配合で入っているのかもしれない。
そして、ウードも入っているものの、ウード感はそれほど強くなく、他の香りを支える役割を担っているという感じがする。パチョリも同じ感じだ。重い香りが苦手な人でも軽やかに纏える気がする。

My Evalution

★★★★
重い香りが大好きなぼくには物足りなさも実はあるのだが、こういうジューシーな甘さは大好きなので、これから暖かくなる時期、特に昼間のおでかけに纏ってみたい。