第467夜 BABYLON

旅の始まりは甘辛スパイシーな香り漂う古代都市から

DATA

Name:BABYLON(バビロン)
Brand:Penhaligon's(ペンハリガン)
Lauched 2019
Perfumer:Christophe Raynaud(クリストフ・レイノー
100ml ¥42,350

My Episode

旅の始まりとしてぼくが選んだのは古代メソポタミア文明の都市バビロン。ここからどんな香りの旅が始まるのだろうかとわくわくしながら、幻の都市に足を踏み入れてみた…。

2025年のサロンドパルファンのテーマは「旅」。
会場内に入ると、飛行機の窓を模した壁紙があったり、時刻表のような案内掲示板があったりして、まさに会場そのものが旅を想起させる仕様になっている。
そして、ぼくが旅の出発点として選んだのが、ペンハリガンの「バビロン」である。
これは2019年にハロッズのみで発売された香りで、今回のサロパでしか販売しないという超レアな限定品。
でも、ぼくの今年の目標は「限定だからという理由だけで買わない」なので、もしこれが自分の鼻の羅針盤に引っ掛からなかったら、買おうとは思わなかっただろう。
ところが、事前に売り場で試させてもらったら、ビンビンと鼻の羅針盤が反応したんである。
そして、肌載せをしたら、もう完全に虜になった。
あぁ、これはまさにぼくの好きな系統の香りだなと確信できた。甘くてスパイシーでちょっとクリー三ー。肌に載せたとたんに異国に誘ってくれる。そんな感じがしたのだ。
Babylonとは、古代アッカド語の「Bāb-ilim」で、「神の門」を意味する。そして、古代メソポタミア文明の主要な都市のひとつであるバビロニアの首都の名前に由来している。
まさに、旅の出発点としてはぴったりではないか。
そして、ぼくがこの香水を選んだのにはもう一つ理由がある。
それが調香師。なんと、Bablylonを手掛けたのはChristophe Raynaud(クリストフ・レイノー)なのだ。クリストフ・レイノーといえば、最近ではラルチザンのオリエントコレクションをすべて手掛けている。つい先週も「Bois des Sables」を購入したばかり。そんなこともあり、この千一夜香水紀行を始めるのに、彼の手掛けた「Babylon」をお迎えするのは理にかなっているのではないかという結論に達した。
ちなみに、彼はぼくが持っている中ではドルガバの香水も手掛けている。

 

1001perfumenights.hatenadiary.jp

さて、そんな彼の紡ぎ出す古代都市の香りは、とても美しい。ぼくの大好きなスパイスが感じられる。シナモン好きな人(香料を見ると入っていないんだけど)にはたまらないんじゃないだろうか。
そして、ちょっと乾いた感じも良くて、肌にもすっとなじむところもまた魅力だ。

NOTES

Top notes:Nutmeg, Saffron, Coriander
Middle note:Cypriol Oil or Nagarmotha
Base notes:Vanilla, Sandalwood, Cedar

トップはシナモンが入っているのか?と思うほど甘辛スパイシーなのに、しばらくすると、そのスパイスは静かになり、今度漂ってくるのがバニラの甘さだ。それがとても上品。エキゾチックな香りからすっとクリーミーなバニラへと変化するところが面白い。普通こういう系統の香りって、お線香のようになったり、あるいはウッディに重くなってりしがちだけど、これはそういう系統には当てはまらない。強いて言えばグルマンかなぁ。でも、それもベタベタというわけでもない。さらっとしたテクスチャーのクリームとでも言おうか。

My Evalution

★★★★★

肌に載せた瞬間は好き好き!でもありがちな甘々スパイス?って思いがちだが、時間が経つにつれてそれが薄まり、余韻を残しつつバニラの甘さが出てきて、そこがね、非常に面白い。例えば夜出かける時につけると、家を出る時はキリッとした香りなのに、お店に着く時にはぐっと甘く落ち着くので、非常に纏いやすいんじゃないだろうか。

追記:ペンハリガンは特典がゴージャス。大きくて厚手のトートバック、スカーフ、創業当時に使われていたポスターの復刻版のポストカード、そしてそのポスターそのものが特典としてついてくる。大きな伊勢丹の紙袋に入れられたので、会う人ごとに初日なのにそんなに買ったの!?と驚かれてしまった。笑笑。

入口の飛行機の窓枠を模した場所で写真を撮り、ボトルの写真を合成しました。