第252夜 Grand Soir

うっとりするほど濃厚で甘い香り

f:id:happyinkdays:20220307124918j:plain

 

DATA

Name:Grand Soir
Brand:Maison Francis Kurkdjian
Lauched in 2016
Perfumer: Francis Kurkdjian
70ml ¥27,720

My Episode

クルジャンは、いまだに「Oud」と仲良くなれなくて、その影響か、ブランド自体を敬遠しているところがあった。
ところが、昨年仲良くなった香水売り場のスタッフと話をしている時に、この香りを勧められ、試してみたら、一気に好きになった。
なんだ、クルジャン、やるじゃん!って思ったんである。
ぼくの好みを良く分かってらっしゃる。笑笑
この「グラン・ソワール」は気持ちが良いほど甘くて重い。どっしりとした甘さがある。
ぼくは重い香りがとにかく大好きで、最近では売り場に行くたびに「重い香りはどれ?」と真っ先に聞いてしまうほど。
しかし、その重さというのもいろいろとある。
ずっしりと肌の奥に沈むような重さとか、拡散性もあり、周りの磁場を狂わせるんじゃないか?というくらい重い香りとか。
この「グラン・ソワール」は拡散性はあまりない。
ぼくは香水を纏う時はだいたいシャワーを浴びたあと、下着をつけた状態でプッシュし、その上から服を着てしまうのだが、この香りは服の下に隠れる感じだ。
そして、あまり外にはにょきにょきと出てこない。
歩いている時に、たまにふわっと胸元あたりから鼻先をかすめていくような感じ。
そういう重さというのも、自分だけに香っている感じがして良いと思う。
パリの輝きを放つ夕べをイメージしたという香りなので、今度パリに行くときには必ずこれを纏いたいと思っている。

NOTES

Amber, Siam Benzoin, Vanilla, Tonka Bean, Spanish Labdanum

バニラとアンバーだけで成り立っているんじゃないかって思うほど濃厚でグルマンな甘さ。さらにトンカビーンまで!そりゃ甘ったるいはずだ。でも、それがもう、本当に今のぼくにはたまらなく良い。

My Evalution

★★★★★
これは文句なしの五つ星。日常の生活で糖分が足りないと思ったら、とにかくこれを纏え!という感じ。

第251夜 Desert Caravan

ウードの中に横たわる甘いフラワリーな香り

f:id:happyinkdays:20220307124913j:plain

 

DATA

Name:Desert Caravan
Brand:The Gate Fragrances Paris
Lauched in 2018
Perfumer: unknown
日本未発売

My Episode

SNSのおかげで、日本未入荷の香水ブランドの情報が入手しやすくなった。今日ご紹介するThe Gate Fragrances Parisも、SNSで知ったブランドだ。
ウード系の香水にもかなり力を入れていて、4種類のウードを出している。その中の一本がこの「Desert Caravan」である。
ぼくは4本一緒に注文したのだが、4本ともまったく違ったウードの香りがして面白かった。
ただし、果たしてこれらの香りが万人受けするかというと、そうとも言い切れず、微妙なところだ。やはり、かなり濃いんである。どの香りもウードが前面に出てきていて、それを良しとするかどうか。
ぼくもウードはかなり好きな方だけど、The Gate Fragrances Parisのウードは癖が強くて、正直に言うとそんなにしょっちゅうつけたいという感じではないし、お値段もそれなりに高い(3万円ぐらい)から両手離しで受け入れられない。
さて、その中で一番ぼくの鼻に馴染んだのがこの香りだ。
ウードの癖の中に、濃厚な甘さが横たわっている感じ。
今日はこの香りをつけて買い物にでかけたのだが、ふとした瞬間に胸元からこの香りが漂ってくると、ウードの香りと少しフローラルな薔薇の甘さがほんのりと感じられて、そこがとても気持ちよかった。

NOTES

Top notes:Mandarin Orange, Olibanum, Yuzu, Ambrette (Musk Mallow)
Middle notes:Nutmeg, Damask Rose, Cedar Needles, Orange Blossom
Base notes:Agarwood (Oud), Guaiac Wood, Cedar, Musk, Leather, Patchouli, Castoreum

トップのユズやマンダリンオレンジがウードの独特の臭みのようなものを和らげている。でも、やっぱりウードの香りはそれなりにするので、苦手な人は苦手かも。

My Evalution

★★★★
4本のウードの中では比較的纏いやすいとは思うけど、果たしてこれが3万円の価値はあるかというと非常に微妙。これは個人的見解ではあるけど。

第250夜 Across Sands

深くて甘いデーツとウードの競演

f:id:happyinkdays:20220307124908j:plain

 

DATA

Name:Across Sands
Brand:Maison Martin Margiela(メゾンマルジェラ)
Lauched in 2016
Perfumer: unknown
日本未発売

My Episode

メゾンマルジェラ今や大人気のファッションブランド。でもブランドにとことん疎いぼくは正直まったく知らなかった。
そのメゾンマルジェラの香水ショップが表参道で期間限定ポップアップで出るというので遊びに行き、そこで初めてこのブランドのことを知った。
ぼくの印象としては、非常にすっきり、あっさり、シンプルで、清潔感があり、朝のイメージのブランド。
だから、正直、あまり期待していなかったのだが、意外にも好みの香水があり、いくつか購入してしまったことは以前にもこのブログでご紹介した通り。

しかし、日本未発売の中にも魅力的なものがあるというのを知り、必死で調べだし、さらに輸入で買えるところをみつけだして、取り寄せてしまったんである。

それがこの「Across Sands」。
ボトルが黒で、ラベルがシルバーっていうところから、もう日本に入っているシリーズとは違うというのがわかる。
そして、そのボトルを手に取っただけで、ぼくの鼻腔は1.5㎜ほど広がった。
そして、肌に載せたとたんにその鼻がキャッチしたのがウードの香りを従えた甘い香りだ。
でも、だんだんと時間が経つとスモーキーな香りが出てきて、そこが非常に面白い。
なるほど、これは既存のメゾンマルジェラが好きな人には濃すぎると感じるだろうな、だから日本には未上陸なんだなということがわかる。

NOTES

Dates, Agarwood(Oud), Spices

明かされている香りの成分は非常にシンプル。この甘さというのはデーツなんだ!どこかちょっとエキゾチックな甘さだなと思ったら、そのデーツによるものなのだろう。

My Evalution

★★★★
デーツの甘さというのが他のウード系の香水にはなくて面白い。ただ、やはりちょっと濃いめなので、日本だとTPOを選んでしまうかも(こんなぼくでも、一応それぐらいの配慮はするんですよ!笑)

第249夜 16OUD

木のぬくもりを感じるウードの香り

f:id:happyinkdays:20220307124902j:plain

 

DATA

Name:16 OUD
Brand:Lab Solue(ラブソルー)
Lauched in unknown
Perfumer: Luca Maffei
120ml ¥33,000

My Episode

ミラノのユニークな香水ブランド。
元々は、イタリアの歴史的香水ブランド「Marvin」を築いたマートン家の子孫の姉妹が立ち上げたブランドで、ユニークなのは、ラバトリーに併設されたホテルの部屋のために調合された香水だということ。
香水の名前の数字はそのルームナンバーというわけ。
だから、もしその香りが好きだったら、その香りの部屋に泊まれるのである。
そのコンセプトを聞いた時、なんてロマンチックなんだろうと思った。
初めて、このブランドの香水を試したのは、昨年の確か秋ごろにGINZA SIXで行われた香水のイベントだったと思う。それまでこのブランドのことは何も知らずに、まっさらな状態でこのブランドの香水を試すことになったのだが、やはり一番気になったのがこの「16OUD」だった。
そして、驚いたことに、この香水を作ったのが、ルカ様だったのである!ルカ様といえば、ペリス・モンテカルロの「ウードインペリアル」を作ったぼく好みのイケメン調香師である。
もう、それだけでぼくの鼻の下は伸びるは、鼻腔は5㎜くらい開くはで、大変だった。
そんな期待感の中肌に載せてみたら、あら、意外、おとなしいんである。「ウード・インペリアル」のイメージがあまりにも強すぎて、この「16OUD」は静かな印象。
全然ガツンとこない。
で、正直に言うと、その時ぼくが求めていたのは、もっと濃厚で深いウードの香りだったので、なんと、スルーしてしまったのである。
「まだこれはお迎えする時期じゃない」とぼくの鼻は判断したのだ。
ところが、この前、伊勢丹メンズ館の香水売り場に行ったら、このブランドの香水がずらりと並んでいて、試してみたら、やっとお迎えしようという気持ちになった。
この優しい柔らかい、でもしっかりとウードを感じる香りは今の自分にぴったりのような気がしたから。
ホテルの部屋の香りという先入観があるからか、どこか上品さというか、落ち着きを感じる。ウード独特の深い香りはするけれども、それが変な感じで主張していないのだ。
外につけていく香り、というよりも、部屋の中で静かに過ごしたい時とかにつけるのが良い気もする。夜寝る前とかね。
この香りはかなり上級者向けのような気がした。

NOTES

NOTE:沈香ブラウンエクストラ、エゴノキ、ベンゾイン

なぜか、FRAGRANTICAにはこのブランドの香水が取り上げられていないので、日本の公式サイトからの情報。エゴノキは調べてみたら「Styrax」のよう。NOTEで名前はしばしば目にするけど、あまりぼくはこの香りについては詳しくないので、そのうち色々と試してみたいと思っている。

My Evalution

★★★★★
まだ暑さが残る時期に試した時は今一つだったけど、今は本当に良いと思える。芳醇な木のぬくもりを感じるのだ。だから、この香りは冬から春にかけてまとうのがベストなのかもしれない。

第248夜 Blessing Silence

ありがちピリッとウード

f:id:happyinkdays:20220220172827j:plain

 

DATA

Name:Blessing Silence 
Brand:The House of Oud(ハウスオブウード)
Lauched in 2016
Perfumer: unknown
日本未発売

My Episode

ハウスオブウードは、ウードという名前を冠するブランドなのに、日本に入ってきている定番香水はいずれもウードが入っていなくて、がっかりしたという話は、以前にもご紹介した通り。
しかし、今やネットでなんでも海外から注文できる時代。ある時、ebayを漁っていたら、気になるハウスオブウードのウード系香水があった。しかもどうやらそれは限定品ではないらしい。
ならば、注文する以外の選択肢はない。
ということで、鼻息も荒く、ポチッとしてしまったんである。
以前注文したEmpathyがとにかく良い香りだっただけに、おのずと鼻腔期待値も上がる。
ところが、である。
届いた香水を試してみたら、期待値が大きかっただけに、失望感のほうが大きかった。
なんだか、ちっとも面白くないんである。
ちょっとスパイシーなウード系の香水、あるよね、そういうの。わざわざハウスオブウードの、入手困難で、しかもお値段もそれなりにする香水を買わなくても良いよね?
というレベルの香りで、本当にとっても残念。

NOTES

Top note:Labdanum
Middle note:Patchouli
Base notes:Agarwood (Oud), Rose, Sandalwood

とっぷから感じるこのピリッとした香りの元は一体なんだろう?きっとわからないまま、これからも時は過ぎていくんだと思う。でも、リピートは正直ないかな。75ml一本を使い終わることは果たしてあるのだろうか?という気がしている。

My Evalution

★★★
期待値が大きかっただけに、失望の度合いも大きくて、この評価なんである。

第247夜 Ébène Fumé 

アンバー系の甘いレザーの香り

f:id:happyinkdays:20220228205511j:plain

 

DATA

Name:Ébène Fumé(エベンヌ・フュメ)
Brand:Tom Ford(トムフォード
Lauched in 2021
Perfumer: unknown
50ml ¥3,3000

My Episode

昨日、伊勢丹のメンズ館で、いつもは本館の香水売り場にいるお馴染みのスタッフからトム・フォードの香水を薦められたという話を書いたのだが、実はその時、もう一本ご紹介いただいた香りがある。それもまたトム・フォードの香水で、やはりレザーの香りだという。
タスカン・レザー」ですっかり鼻毛が鼻の中でお辞儀した状態だったので、恐らく、まぁ、こっちは大したことないだろうと、そんなに期待しないでムエットに載せてもらい試香してみた。
そうしたら、もう、鼻毛がさらにお辞儀をしてしまったんである。
同じレザーでありながらも、良くぞここまで違うタイプの香りを出してくれたね!と驚いてしまった。
どんな風に違うのかというと、この「エベンヌ・フュメ」は、アンバーの甘さが感じられるんである。それが一番大きな違い。
タスカン・レザー」はそんなに甘くなく、アニマリックでありながらもどこかクールだ。
しかし、この「エベンヌ・フュメ」はもっと甘い。しかし、ベースにあるのは、アニマリックな感じ。これがなかなか曲者。非常に獣っぽさを持っているのに、甘いから、え?野獣なの?聖獣なの?と戸惑ってしまうのだ。鼻腔の鼻毛もどの方向を向いたら良いのかわからずに鼻の穴の中で右往左往している感じ。
非常に癖はある。
むしろ、「タスカン・レザー」の方が癖が全然少ないんじゃないかと思ってしまうほど。
独特の香りなので、これを良しとするかNGとするかは大きく分かれるだろう。そして、ぼくはそういう香りが大好きなんである。

NOTES

Top notes:Incense, Palo Santo, Black Pepper, Violet Leaf
Middle notes:Leather, Labdanum, Cade oil, Papyrus, Rose
Base notes:Resins, Ebony tree, Guaiac Wood

てっきりアンバーが入っているのかと思ったら、入っていないのでちょっとびっくりした。この独特の少し甘みを兼ね備えてた甘さというのは一体どこからくるんだろうか。そんなことを想像しながらまとうのも良いだろう。

My Evalution

★★★★★
結局どっちかを選ぶことができずに、両方買ってしまったのだが、それだけこの香りを気に入ったということ。上手に二つの香水を使い分けたい。

第246夜 Tuscan Leather 

優しいけどアニマリックなレザーの香り

f:id:happyinkdays:20220228205505j:plain

 

DATA

Name:Tuscan Leather(タスカンレザー)
Brand:Tom Ford(トムフォード
Lauched in 2007
Perfumer: unknown
50ml ¥3,3000

My Episode

伊勢丹本館1階の香水売り場に、いつもお世話になっているスタッフがいる。彼女はとある代理店の方なのだが、一昨年、GINZA SIXのイベントで接客をしていただき、彼女の香水に対する愛情と、知識の深さにいつも驚かされ、彼女の扱っている代理店の香水を買う時は、絶対に彼女からしか買わないと決めているほど、彼女の鼻を全面的に信じている。
彼女のすごいところは、自分の取り扱うブランド以外のブランドに関しても非常に詳しいというところ。ぼくは何人かのそういう方と仲良しなのだが、彼女たちと話をしていると、本当に楽しいし、ますます香水というものが愛おしく思えてしまうのだ。
だって、自分のブランドじゃないブランドの香水を「これ、絶対に武田さんに試していただきたいんです」って薦めてくれるんですよ。そして、それのほとんどが大ヒットで、結局お買い上げしてしまうんですから。
だから、戦々恐々としながらも、彼女のような人に会うために売り場に足しげく通うんである。
まぁ、これはぼくの鼻がよっぽど偏屈だからこそ、の結果なのかもしれないし、それだけぼくが何度も通っているから理解してくれているということなのだろうけれども。
さて、先日、リニューアル前の伊勢丹メンズ館に遊びに行った時のこと。その日ぼくは、用事があって、8階にあったモンブラン(現在は1階に移動)に行ったのだが、その帰りに、ちょこっと1階を見ておこうと思って立ち寄ったのだが、そうしたら、いつもは本館にいるその代理店の女性スタッフがいるではないか!
思わず嬉しくなって声をかけたら、たまたま本館の方から、用事があって来ていたらしく、またしても、色々とその場にあるブランドの香水の話で盛り上がる。
そうしたら、「そういえば武田さんにおすすめのトムフォードの香水があるんです。これ、絶対に武田さん、お好きだと思うんですよね」と言って出してもらった香水がある。
それがこの「タスカンレザー」だった。
まずはムエットで試してみたら、もう、完全にノックアウト。
無条件にすべての鼻毛が鼻の中でお辞儀してしまったくらい。
とにかく重めのレザーの香りで、しかもちょっとアニマリックなのだが、それがまったく嫌味がないんである。
重いんだけど、重ったるくない。
これって、すごく重要。
重いだけの香水ってつまんないんだが、この「タスカンレザー」はそういう単調な香りとはまったく違うのだ。
そして、乾いている感じもして、それがたまらない。
トム・フォードは、初めて購入したタバコバニラの濃厚な香りが印象的だが、こういうこってりしていない濃い上品な香水もあるのね、と改めて再確認した。
と同時に、それを的確に薦めてくれた(他ブランドなのに)スタッフにも本当に感謝しかない。

NOTES

Top notes:Raspberry, Saffron, Thyme
Middle notes:Olibanum, Jasmine
Base notes:Leather, Suede, Woody Notes, Amber

この構成を見て思ったのが、トップノートのラズベリーが、非常に良い感じで効いているんじゃないかっていうこと。そのラズベリーがあるおかげでこってり感が軽減されているというところだろうか。
革の香りをしっかりと感じるだけでなく、アニマリックな雰囲気もありつつ、こってりしていなくて、さらりとした印象も持っている。そういう複雑さというのは、恐らく様々な香料の組み合わせとバランスの上に成り立っているのだろう。

My Evalution

★★★★★
何度も書いちゃうが、TOM FORDってこんなに繊細な香りもあるんだっ!?という驚き。これはね、これから気温がだんだんと上がってからも使えるレザーの香りだと思う。