第7夜 BLACK

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夜の漆黒の闇の中にあたたかさを感じる…。

 

DATA

Name:BLACK(ブラック)
Brand:BVLGARI
Lauched in 1998
Perfumer: Annick Menardo
75ml ¥5,000前後(日本では公式には未発売。通販サイトなどで購入可)

My Episode

正直に言うと、この香りを持っていること自体すっかり忘れていた。あんなに好きで良く纏っていたというのに…。ぼくがこの香水に一番お世話になっていたのは、やはり昨日までご紹介していたエタニティやファーレンハイトといった香水を使っていた頃。つまり、2丁目で夜な夜な遊んでいた頃だ。
ブルガリもゲイの間では人気のブランドだったけれども、前述の2つに比べると、そんなにこの香水をつけている人というのはいなかったような気がする。だから、余計にぼくはこの香水には特別感があった。
当時のぼくは、まだ二丁目にデビューしたばかりで、特定の男性と付き合うという感じではなかったけれども、それでも気になる人はいたし、そういう人たちとデートをすることもあった。そんな時にぼくはこの香りを選んでつけていたような気がする。
いつもは大人気の香りだけど、その人とデートする時だけは、ブルガリのブラック、というように使い分けていたのだ。
しかし、ぼくはいつの間にかこの香水を使わなくなってしまった。特に何か大きな理由があるわけではない。ただ何となく疎遠になったというか。
持っていることすら忘れるほどこの香水をまとう機会がなかった。
しかし、昨年、とある香水を試してみた時に、鼻がこのブルガリのブラックを遠い記憶の中から呼び戻してくれた。
それは、Mirko Buffiniの「OG」という香水。この香水をムエットに載せた時、何かに似てる!何かに似てる!と売り場で大騒ぎをして、やっと鼻の奥にあったセンサーがブラックを探しあてた。
調香を見ても、特に共通点はないし、実際に今、ぼくが持っている両者を比べてみても、そんなに騒ぐほど似ているかな?という感じなのだけど、(記憶っていうのは非常に曖昧模糊としているという証拠でもある)でも傾向としては何か共通するものがあるのではないか、という気がしている。
さらに面白いのが、先日ご紹介した「HYPNOTIC POISON」を調べている時に、それを作ったAnnick Menardoという女性は、この「BLACK」や昨年ひと鼻惚れして買ったルラボの「PACHOULI24」を作った人であるということが判明したということ。
つまり、ぼくは無意識のうちに同じ調香師の作った香水を気に入っていたことになるのだ。
こういうのがあるから、香水っていうのは楽しいのではないかと思う。
だから、みなさんも、ぜひお手持ちの香水の調香師などを調べてみてください。明かされていないことも多々あるけれども…。

NOTES

Top notes
Green Tea, Bergamot, Rose

Middle notes
Sandalwood, Cedar, Jasmine

Base notes
Leather, Vanilla, Amber, Musk, Oakmoss

悪名高き「世界香水ガイド3」(ルカ・トゥリン タニア・サンチェス著 芳山むつみ訳 原書房刊)によると、彼女の作った、これらの香水の評価はいずれもとても高くて、びっくりしてしまった。でも、自分の好きな香水が高く評価されると、嬉しい。(低く評価されても「この人たち何にもわかってないのね!いいの、この香りをきちんと愛せるのはぼくだけで結構!」という高飛車な気持ちになってしまうので、それはそれで楽しいのだが)

My Evalution

★★★

でも、ぼくの★が低いのは、やはり何年も使っていなかったのには、それだけの理由があるのかな、と思ったから。もうこの香りは卒業したかなという気がする。(2丁目で遊んでいた頃に散々つけていたから飽きたというのもあるのかしら?それとも、無意識のうちに、当時おてんばしていた自分を封印したいと思っていることの裏返しとか?…笑笑)