第8夜 L'eau D'ambre Extreme

癒し系、燻し系、天国に向かう煙のごとき香り…

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DATA

NameL'eau D'ambre Extreme(アンバーエクストリーム)
Brand:L'Artisan Parfumeur
Lauched in 2001
Perfumer: Jean-Claude Ellena
50ml ¥16,500

My Episode

今のぼくがいるのは、この香りのおかげだと言っても過言ではない。
もしこの香りと出会わなかったら、きっとぼくは今ほど香水を楽しむという生活は送っていなかっただろう。(そんな味気のない人生なんて、想像もつかないけれども)
2011年の秋、ぼくは少し気分を変えて、自分が今まで使ったことのない香水を使いたいと思った。新宿の伊勢丹の香水売り場が充実しているらしいということをインターネットを通じて知ったぼくは、早速売り場に行ってみた。
その時、ぼくは自分がどういう香水を求めているのか、まったくわからず、なんとなく店員さんにすすめられるままに次々とムエットで香りを試していった。
その中で一番気になった香りをとりあえず腕につけてみたのだが、なんせお値段がお値段(当時のぼくには香水に1万円以上払うなんてことは贅沢の極みだったのだ)なだけに、ぼくはその場では買わず、売り場を後にした。
伊勢丹を出てしばらく歩いていたら、急にお線香の香りが漂ってきた。この辺にお寺なんかあったかしらん?と思いながら歩いているうちに、ふとその香りの源は自分の腕であることに気づいた。鼻に近づけてみると、確かにそこから甘くてスモーキーな香りがした。
それはそれは衝撃的だった。
もう、これはこれからの自分の人生にはなくてはならない香りになるに違いない。そう思えた。
アンテウスに続いて、このアンバーエクストリームは二度目に恋をした香水。
今でも何かある時はこの香りをまとう。4年前に父が他界した時は、ずっとこの香りをまとっていた。お寺の中でもお線香の香りと調和し、自分自身も落ち着くことができたから。
父は若いころ、何かの影響で鼻がまったく利かなくなったらしく、香水のたぐいは一切持っていなかったけれども。
いずれにせよ、この香りはぼくにとっては癒しの香りだし、ラルチザンの世界に導いてくれたのもこれだし、ニッチフレグランスにはまったきっかけになったのもこの香水の影響。
ジャンクロードエレナに会う機会があったら、真っ先にそのことを伝え、お礼を言いたいくらいこの香りには特別な思い入れがある。

NOTES

Top notes: Cardamon, Natmeg, Pepper

Middle notes: Patchouli, Turkish Rose

Base notes: Amber, Musk, Vanilla, Tonka Bean, Benzoin, Sandalwood

アンバーという香りは他の香料と比べると非常に説明が難しい香り。良く琥珀の香りと言われるけれども、別にあの宝石などで有名な琥珀から香りがするわけではない。ある意味実態のない香りと言っても良いかもしれない。
一説によれば、アンバーの元をたどると、「アンバーグリス」という香りに行き当たる。これは、マッコウクジラの結石(これもまた面白いのだけれども)から採られた香りと言われていて、今ではもちろん天然ではまず採取することができない。
そこで、このアンバーグリスを模したものがアンバーと言われることもある。という情報がある程度。
つまり、アンバーというのは、ある意味概念的な香りと言って良いかもしれない。一般的なアンバーというのは、スモーキーで、甘くて、お線香(インセンス)の香りで、それを様々な別の香料を使って表現している、という感じに思っておけば良いのではないだろうか。
なので、Noteの中に「アンバー」というのがあっても、その香水を手掛けたパフューマーによって、その印象は大きく変わってくるので、そこがこのアンバー系香水の面白いところ。
ぼくにとっては、ラルチザンパフュームでジャンクロードエレナが作り出したこの「アンバーエクストリーム」がアンバーの基本だと思っている。(人によって、基本となる香りというのは違うと思うけれども)
ラルチザンパフュームは他にもぼくがいつも大騒ぎをしている「ウード」、あるいは土のような深みを感じさせる「パチュリ」といった香料を上手に使った香水があり、それらがぼくにとってのすべての香水の指針となっているので、そのことについては追々説明していきたいと思う。

My Evalution

★★★★★