第148夜 M7

当時はヘビーでマスキュリンだったのかもしれないけど…

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DATA

Name:M7(エム・セット)
Brand: Yves Saint Laurent
Lauched in 2002
Perfumer:Jacques Cavallier, Alberto Morillas


My Episode

ウードの香りを求めていることを香水好きの人に話すと、たまに「イブサンローランのM7」は試しましたか?と聞かれることがあります。
残念ながらぼくはその香りを知らなくて、色々と調べてみたら、なんとこの香りの誕生により、フレグランス業界においてウードの香りの扉が開いたと言われているらしいことを知った。
そうなるとウード探求家として、試さないわけにはいかない。
色々と調べてみると、今でも比較的手に入りやすいM7は2011年版の香りで、どうやら初代のM7は廃盤になっているらしいのだ。
そりゃそうだ。だって、発売が2002年なのだから。
継続的に香りが受け継がれているのであれば、そのくらいの発売開始でも生き残ることができるが、やはりウードというニッチな香料を使った香りというのは、そこまでの継続力はないのかもしれない。
でも、どうしてもぼくはこの初代の香りを試したくて仕方なく、ネットを駆使して、やっと海外のユーザーがこの香りを売りに出していることを知り、手に入れることができたのである(ありがとう!e-Bay様)。
まず、ぼくが惹かれたのは、そのボトルである。
シンプルで、まるでライターのような形の長方形の薄型のボトルには、ブランド名も香水名も記載されていない。
それだけでも非常に斬新である。
そして、そこにブランドとしての自信が現れていると思う。
さらにこの香りを調べて行くと、この香水が発売された当時の広告が出てくるのだが、それがまた非常に斬新。
なんと、男性のフルヌードの写真が広告として使われているのである。
白黒の写真で局部は影と陰毛で隠されているものの、ほとんどすっぽんぽんなのだ。
これ以上のインパクトはないというくらいにすごい。
今見てもその広告は衝撃的。
実物が届くまで、ぼくはその広告を含め、この香水について詳しく解説してあるページを隅々まで読んで鼻腔を広げつつ、妄想していた。

それが

cahiersdemode.com

である。

三島由紀夫のぼくの大好きな写真(なんとこれが撮影されたのは、ぼくの生まれた年である!何たる偶然!)も含めて、香りに関する記事もとても興味深かった。

マスキュリンで、ヘビーで、リッチな香りだと評するサイトもみつけ、ぼくの鼻腔はさらに広がり、期待に胸を躍らせて香水の到着を待った。

しかし、実際に肌に載せてみて、ぼくはちょっと拍子抜けがした。
どんだけ重い香りなのかと期待に鼻の穴を広げ過ぎたのかもしれない。
なんとも微妙なのだ、香りが。

というのも、まったくと言って良いほど重さを感じない。
スパイシーでウッディーなのはわかるけれども、そんなに重いか?というのが正直な感想。

これはたまたま今が夏で、湿度も高く、体温も高めなので香りの飛びも早くそう感じるだけなのかもしれない。
だが、それでもやはりぼくにとっては香りは軽め。

このブログを書くためにぼくはここ数日、何度も何度もこの香りをまとったのだが、いくらまとっても、軽い。
その原因についていくつか考えてみた。
まず、香りが劣化している可能性。
これは新品を購入したわけではなく、箱に入っていたものの、使用した痕跡もあったので、ひょっとしたら香りが飛んでしまっているかもしれない。そうなると発売当初の香りとは変化している可能性は否めない。
もうひとつの理由は、当時は比較的重かったけれども、ウードの香りが以前よりも市民権を得られるようになってきた最近では重いのが増えて、このぐらいじゃ重いと感じられなくなったという可能性。
そしてもう一つ考えられる理由は、ぼくの鼻そのものにある。
あまりにも重い香りが好きすぎて、M7の香りを重く感じられなくなってしまった、というもの。
ひょっとしたら、それらの要因が一つだけではなく、いくつか絡み合って、ぼくには軽く感じられるのかもしれない。
だが、冬になったらまた印象は変わるかもしれないので、また冬に纏ってから、改めて評価してみるのも面白いだろう。

Note

Top notes Rosemary, Mandarin Orange, Bergamot

Middle notes Agarwood (Oud) , Vetiver

Base notes Amber, Musk

確かにアンバー系の甘さを感じるし、ウードの重みもかすかに見え隠れするものの、どちらかというとぼくの肌の上ではスモーキーな香りが顔をのぞかせる。

My Evalution

★★★

ウード香水の先駆者的な存在であるものの、やはり今の時代には少し軽すぎるような気がした。

それにしても、ジャック・キャバリエアルベルト・モリヤスの共作というのが何とも贅沢で、今では考えられないこと。