第64夜 Oud Abramad

ウードを巡る旅を始めようと決意した香り

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DATA

Name: Oud Abramad (ウードアブラマド)
Brand: BDK Parfums
Launched in 2016
Perfumer: David Benedek
100ml ¥27,500

My Episode

2019年の伊勢丹新宿店で開催されたサロンドパルファンは、ぼくにとってはとても刺激的なイベントで、それを機に、再び色々な香水を求め始め、そのことをSNSで投稿を始めた。
そうしたら、いつの間にか同じような香水好きな人たちと自然とつながるようになり、SNS上で情報交換をするようになった。
そんな矢先の2020年の2月に、ちょっとした少人数の香水好きの人たちの集まりに誘われ、一緒にランチをすることになった。その時のメンバーはなんと、5人中4人が男性で、しかもぼく以外は若い子たちで、ぼくにはそれがとても刺激的だった。
だって、それまでぼくの周りにいる人たちはぼくと同じぐらいの年齢の女性か、ぼくよりも少し年上のマダムが圧倒的に多かったから。
若い人たちがこんなにも香水のことを良く知っていて、しかも愛用していると知り、ぼくはものすごく嬉しかったし、そういう集まりに呼んでくれたということもぼくにとってはありがたいことだった。
さて、その集まりの後、物足りなくなったぼくは、その中の一人の若い男子と香水売り場めぐりをしようということになり、伊勢丹の香水売り場に行ったり、LUSHの香水コーナーを見たりした後、NOSE SHOP新宿店に向かった。
それまでNOSE SHOPの存在は知っていたけれども、入るタイミングを逸していたので、良くお店に遊びに行くという彼に連れて行って欲しいと頼んだのだ。
ニッチフレグランスを中心に扱っているということは知っていたものの、まさかあそこまでニッチフレグランスに特化しているとは思ってもいなかったので、それはそれは衝撃的だった。
今まで見たことも聞いたこともないようなブランドの香水がずらりと並んでいて、目は輝き、鼻の穴はおっぴろげ、状態になってしまった。
いつものごとく店員さんに好みの香水を聞かれまっさきに「ラルチザンのアルードのような重めの香りが好きだから、そういう系統のをお願いします」と言って、それらの香水をいくつか試させてもらった。そのうちのひとつが今日ご紹介する「ウードアブラマド」だ。
香水というのは一目ならぬ一鼻で好きになる香りというのがたまにあるのだが、この「ウードアブラマド」はそんな一鼻惚れした香水だった。
とにかくトップからきりっとしたスパイスの香りがして、そのスパイスがまた僕の好きな甘めの香りなのだ。さらにインセンスのスモーキーさも感じられ、ベースは重めのウード。ローズの華やかさもかすかに感じられる香りだった。
もうね、これは運命的な出会いだとすら思っている。
こんなに素晴らしいウードがあるんだ!という驚き。
これよ、これ、ぼくが求めているウードは…。と叫びたくなるほどだった。
「アルード」の冷ややかで孤高を感じさせる香りとも違うし、アブダビの空港で買ったロベルト・キャバリの「ウードアルカサール」のような煌びやかなウードとも異なる。
ウードという強烈な個性を持つ香料でも、こんなに違うんだ!という驚き。
もちろん、それまでもウードは大好きだったけど、この時ほどウードを極めてやろうと思ったことはなかった。
こんな素晴らしいウード系の香水があるんだったら、これからもこういう香りをいろんなバリエーションで揃えよう!という気になったのだ。
だから、「ウードを巡る旅」の原点となったのはラルチザンでベルトランが作った「アルード」だけれども、本格的に旅に出ようと決心させたのは、この「ウードアブラマド」かもしれない。
ふと考えたのだが、確かにぼくはパリに行く前にアブダビに寄って、そこでウード香水を求めて街を歩いたし、現地でウード系の香水も買ったけれども、本格的にウード系の香水を意識して買うことはそれほどなかった気がする。
好みの香りは?と聞かれた時の候補として「アルード」を挙げることはあっても、最初から「ウード系の香水」という風に香料を指名するということはあまりなかった。
しかし、この「ウードアブラマド」と出会ってからは、とにかくウード、ウード、ウードと念仏のように唱えながら香水売り場を徘徊するようになった。
それぐらいこの「ウードアブラマド」はぼくにとっては強烈なインパクトを与えてくれたし、肌に載せるたびに、どこか素敵なところへ連れて行ってくれるんじゃないかっていう期待感で胸が躍るのだ。

NOTES

Top note: Saffron, Ging
Middle notes: Cumin, Turkish Rose
Base note: Agarwood (Oud), Guaiac Wood, Incense, Labdanum, Patchouli, Ambroxan, Castoreum

先日、NOSE SHOP銀座店で開催されていたKAORIUMという面白い診断をやってみた。それは、言葉からイメージする様々な香りを選んでいき、自分の今求めている香りを探し出すというシステムだった。香りの名前は伏せられた状態で、言葉から導き出された香りのカプセルをかいでいくのだが、その中の一つにこの香りがあり、すぐに「あ、ウードアブラマド」だと察知してしまった。つまり、ぼくが選んだ言葉からも、自然とぼくの求めている香りを導き出したということになるのだ。しかも、それがすでに持っている香りだったというのは、それだけぼくがこの香りに心惹かれているという証でもあり、すごく嬉しかった。

つけたては、少し甘めのスパイシーな香りなのだが、だんだんとラム酒やコーヒーのような独特の甘さもかすかに感じられるようになるので、そのあたりの香りが好きな人にもおすすめ。ただし、糖分は控えめ。

My Evalution

★★★★★

もう、これは文句なしの★5。なんだったら★10でも良くぐらい好きな香りだし、これからもじっくりと付き合っていきたい。ただ、かなり濃い香りなので、一般の方はつけ方、要注意であることは一応明記しておきたい。

第63夜 Rose 31

スパイシーできりっとしたバラの香り

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DATA

Name: Rose31 (ローズ31)
Brand:Le Labo
Launched in 2006
Perfumer:Daphne Bugey
50ml   ¥22,550

 

My Episode

ルラボの香水は、昨年の3月に初めて大阪の髙島屋で購入したのだが、先週の金曜日に大阪に行った時も、何か一本お迎えする予定でいた。以前から気になっていたのが、「ベ」という香水で、すっかりそれを購入する気満々でいた。
ところがそのことを香水のエキスパートの方に話したら、意外そうな顔をされた。ぼくのイメージと「ベ」が結びつかないのだという。そこで、早速べを彼とご一緒したフォロワーさんと3人で試してみる。
すると、面白いことに、3人ともこの「ベ」に対する印象が全然違うことがわかったのだ。
ぼくがまず最初にこの香りで感じたのがパチョリだ。雨上がりの庭の土のにおいをこの香りから感じ取ったのだ。
ところが、彼はこの香りからグリーンを強く感じたので、ぼくがグリーンが苦手なことを知っている彼はこの香りとぼくが結びつかなかったというのだ。
ぼくはそれを聞いても、この香りからそれほどグリーンを感じ取ることができなかった。もちろん、パチョリはグリーンの香りに分類されるのかもしれないが、ぼくは今までパチョリをグリーンだと思ったことがない。
ぼくのイメージするグリーンの香りというのは、もっと青っぽいもの。たとえば、草をちぎった時に立ち上るあの苦みなどが感じられるようなまったりとした香りがぼくにとってのグリーンな香りで、それがなぜか受け付けないのである。
パチョリはむしろ土の匂いが強いためにその青々しさが土っぽさに隠れて感じられないのかもしれない。
さて、そこでぼくはまたしても彼にぼくにおすすめのルラボの香水をたずねてみた。
その時に彼が選んでくれたのが以外にも「Rose 31」だったのだ。
これはぼくには非常に意外だった。
なぜなら、ぼくは基本的にローズの香りがとても苦手だからだ。
ローズと言えば、以前ご紹介した「バラ泥棒」という香りがあり、ぼくにとってはこの「バラ泥棒」は世界一好きな香りになるのだが、あのバラを経験してしまうと、他の薔薇が軽く感じられてしまうのだ。
逆に言うと、「バラ泥棒」の薔薇は薔薇の香りにカウントしない方が良いかもしれないくらい例外中の例外なのかもしれないという気もしている。
薔薇の香りの概念を取り払ってしまうほどのインパクトがあるからだ。
その経験があるために、他のどのバラを試しても、ぼくはどうしても「バラ泥棒」と比較してしまって、勝手に「却下」の判定を心の中で下してしまうのだ。
でも、せっかくぼくのために選んでくれたので早速「Rose 31」をムエットで試してみた。
確かにバラの香りははっきりと感じられるのだが、ぼくの苦手とするバラバラしい薔薇ではない気がした。
フェミニンさは控えめで、むしろスパイスを感じるのだ。
そして、そのスパイスというのは、肌に載せた時により強く感じられた。
恐らくこれはクミンの香りなのだろう。クミンは種子に苦みや辛みが感じられる香料なのだが、温かみもあり、アロマティックな香りでもある。だからぼくの好きなシナモン系のスパイスとはまた違ったピリ辛感があるのだ。
さらに、これは後でFRAGRANTICAを調べてわかったことなのだが、なんと、ウードが入っているではないか。
これは本当に意外なことだった。なぜならまったくそのウードを感じることができなかったからだ。
ラストの方でかすかにウードらしき香りは感じられるのだが、恐らく配合としてはかなり少量なのではないかと思う。
恐らくこれからもう少し温かくなり、肌の熱で熱せられると、そのあたりの香りが強く出てくるかもしれない。
ともあれ、ぼくはこの日、香水のエキスパートの彼から、フレデリック・マル「ドリス・ヴァン・ノッテン」「フレンチラバー」、キリアン「ゴールドナイト」、ルラボ「ローズ31」の4本の香りをお迎えすることになった。
彼と香水売り場で会うのはその日が最後で、新幹線の時間が迫ったいたぼくは、慌ただしくお店を後にしたのだが、不思議なことに寂しい気持ちにはならなかった、きっと彼とはこれからもいろんな形で交流ができると確信しているし、何よりも彼に勧めてもらった香水がこんなにあるし、素敵な思い出ができたのだから。
また彼が何らかの形で香水業界とかかわりを持ってくれることを期待して(だって、彼の香水に対する情熱と知識は計り知れないものがあるのだもの!接客のことも含めて、彼の香りに対する真摯な姿勢は多くの香水にかかわる人たちには参考にして欲しいと思っている)、ぼくは売り場を後にした。

NOTES

Top note: Rose, Cumin
Middle notes: Rose, Vetiver, Cedar
Base note: Musk, Guaiac Wood, Agarwood (Oud), Olibanum, Labdanum

この香りの構成を見て、ぼくが意外に思ったのが、ガイアックウッドが入っていること。これは、ルラボの「ウード27」の時に感じたクリーミーな香りの要因と思われるのだが、そのクリーミーさが、この「ローズ31」ではほとんど感じられないからだ。恐らく、他の香料との兼ね合いで感じられないだけなのかもしれないのだが、そういうところも香水の面白いところなんじゃないかと思っている。

My Evalution

★★★

第62夜 Gold Knight

金色に輝くとろりとした大人の甘さ

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DATA

Name:  Gold Night(ゴールドナイト)
Brand:By Kilian
Launched in 2017
Perfumer:Pascal Gaurin
50ml ¥37,950

My Episode

キリアンの香水を初めて購入したのは昨年の秋のこと。
その時、初めてキリアンの香水をいろいろと試したのだが、どれも非常に個性的であるものの、お酒の甘さがメインという印象が強かった。
ただ、ぼくはスモーキーで重い香りが好きなので、キリアンとの相性はとても良いと思っていたし、次に買う香水もいくつか決めてはいた。
2019年のサロンドパルファンで知り合ったエキスパートの方から買うキリアンも、きっとそのぼくの買いたいと思っている香水になるだろうなと思いながら、大阪髙島屋の売り場に行ったのだが、ふとぼくはその彼に「ぼくにまとって欲しいキリアンってなんですか?」と聞いてみた。
昨日ご紹介したフレデリック・マルと同様に、キリアンでも彼のチョイスする香りが気になったのである。
自分が欲しいと思っている香水は東京でも買うことができるし、いつでもお迎えしようと思えばお迎えできるけれども、彼から直接彼の審美眼で香水を購入できるのは、その日が最後なので、どうしてもそういう選び方をしたかったのだ。
彼はまたしても「難しい質問ですね」と苦笑いしながら選んでくれたのが、「ゴールドナイト」だった。
これは、クリムトが1902年に発表した「ベートーヴェン・フリーズ」という作品に描かれた騎士のゴールドの甲冑にインスパイアされて作られた香水なのだという。
肌に載せたとたんに、甘くて深い香りが広がる。しかも、それだけではなく、少しスモーキーでオリエンタルな香りもかすかに感じられるのだ。これは恐らくアニスなのだろう。
ラム酒っぽさも感じられる蜂蜜のとろけるような甘さはまさに大人のための甘さという感じがする。
甘い香りは嫌いではないのだが、どちらかというとぼくはスパイス系の甘さを好む傾向がある。あるいはフルーティーな甘さ。甘い香水が好きな香水好きの友人に言わせるとぼくの好きな甘い香水は糖分ゼロなのだそうだ。
こってりとした甘い香りも(例えばラルチザンの「アムールノクターン」とか)持ってはいるし、嫌いではないけれども、出番は少ない。
ただ、ひとことで甘いと言っても、この「ゴールドナイト」の甘さの中に子どもっぽさはまったく感じられない。ただひたすらにアダルティー
なんなら、官能的ですらある。
エロティックな甘さ。
例えば、好きな男と肌を合わせた時に、汗ばんだ肌の上にこんな香りが載っていたら、きっとそれだけで酔ってしまいそうな、そんな感覚。
自分ではあまり選ばない香りだけれども、嫌いな香りではないし、エキスパートの方に選んでもらった香りだったらきっと間違いはないと思った。
しばらくは、自分一人の夜の時間に使ってみたいと思う。
疲れ切った時に糖分は必須。
これからしばらくは仕事で忙しくなるので、そんな日は寝る前にこの香りで糖分補給をして疲れを取りたいと思っている。

NOTES

Top note: Anise, Bergamot
Middle notes: Honey, Vanilla
Base note: Patchouli

FRAGRANTICAに掲載されている香りの内容は非常にシンプル。きっともっと複雑に絡み合っているのかもしれないけれども。ただ、やはり蜂蜜とバニラの甘さがかなりきいた香りであることはここからも容易に想像がつく。

My Evalution

★★★★

第61夜 French Lover

スモーキーで、ちょっと苦いグリーン

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DATA

Name: French Lover (フレンチラバー)
Brand:Frederic Malle
Launched in 2007
Perfumer:Pierre Bourdon
100ml ¥34,100

 

My Episode

毎年冬近くに伊勢丹新宿店で行われる香水の祭典、サロンドパルファンは一年に一度の香りのお祭りということで、この数年のぼくの楽しみにもなっている。
昨年はコロナの影響もあり、規模はそれほど大きくはなかったものの、限定の商品なども扱われていたし、期間も一週間と長かったということもあり、ぼくは何度も売り場に足を運んだ。
そんな中でぼくが気になっていたのがフレデリック・マルの創設20周年を記念して作られた限定ボトルである。
最初は香りそのものが限定というわけではないのだから、とあまり興味を持たなかったのだが、だんだんと、もうこれからは同じ柄でボトルが出てくるということはないから、ひょっとしたら数年後に後悔することになるかもしれない…という気になって、色々と調べて(全香水が限定ボトルで出るというわけではなく、いくつかの香水がピックアップされて限定ボトルで発売ということだったので)、目星をつけておいた。
それが「フレンチラバー」だった。なぜその香りを選んだかというと、いくつかの香水サイトを見てみると、「ムスクラバジュール」「ムッシュー」とともに紹介されることが多いのが「フレンチラバー」だったからだ。
ぼくの中では「ムスクラバジュール」と「ムッシュー」というのは、非常にスモーキーで個性的な香りという点で同じカテゴリーにいるので、きっと「フレンチラバー」も同じカテゴリーなのではないかと勝手に思っていた。
そして、20周年ボトルは「フレンチラバー」にするぞ!と決意し、意気揚々と伊勢丹の売り場に行って、すぐに「フレンチラバー」をムエットで試してみたのだが、ぼくが想像していた香りとはまったく違い、拍子抜けしてしまったのだ。
全然スモーキーじゃない。
「ムスクラバジュール」や「ムッシュー」とはむしろ対局にあるような気がするほど共通点が見つからなかった。なぜこの3本が一緒に紹介されるのか…ぼくには謎でしかなかった。
どうしてもその時はお迎えする気がせず、結局別の香りを選び、「フレンチラバー」はぼくの中では封印香水の一つとなってしまった。
だが、なぜこれをお迎えすることになったかというと、例の大阪の百貨店に勤務するベテランのスタッフにおすすめされたからである。
彼が4月いっぱいで退職をするというので、彼から最後のお買い物をしたいと思ったぼくは、彼の担当するブランドのフレデリック・マル、キリアン、ルラボの3つのブランドの中から彼のおすすめの香りを1本ずつ買おうと思って売り場に向かった。
フレデリックマルに関しては「ドリス・ヴァン・ノッテン」は買うことが決まっていたので、もう一本、純粋に彼に選んでもらおうと思って、彼にお願いしたのである。
ぼくの好みを熟知しているので、逆におすすめを選ぶのは難しいと言われたのだが、その中で彼が提示してくれたのが「フレンチラバー」だったのだ。
ぼくが昨年のサロンドパルファンでは今一つで封印していた香り。
しかし、香りの印象というのは変わるものなので、先入観を捨てて、まずはムエットで試してみた。
すると、伊勢丹で感じた時の違和感のようなものは、実はそれほど感じられなかった。
きっと、あの時は勝手に「ムスクラバジュール」「ムッシュー」と同系列だ、という思いこんでいたから、鼻がこの香りを受け入れてくれなかったのだということが明確に分かった。
改めて花をリセットしてかいでみると、まったく受け入れられない香りというわけではないのだ。
もちろん、両手離しで「好き!」とは言えないが、決して嫌いな香りではない。
なぜかというと、ウッディで、少しドライなスモーキーさを感じるから。グリーンの香りが苦手だから、そのあたりが強く感じられてしまうと拒否反応が出てくるのだが、そこまでのグリーンさではない気がする。
程よいグリーンというか。ウッディに包まれたグリーンというか。
肌に載せると、今度は少し苦みのようなものが出てくる。ヨモギのような独特の香りだ。
以前ラルチザンパフュームで出ていた「フー・アブサン」に通じる青苦さと、同じくラルチザンの「ジャタマンシィ」に通じるハーバルさもかすかに感じられる。
そこで、ぼくはこれをお迎えすることを決意したのだが、ここでまた容量が問題になった。
果たしてぼくは100mlを使いこなせるかと…。
そこでまた彼に相談をしてみたのだが、やはり100mlというのはなかなか使い切らないので、100mlじゃなくても良いのでは?というアドバイスだった。しかし、だからといって、10mlというのは少ない気もした。
そこで、ぼくが今まで持っていないサイズである50mlだったらどうだろうと思い、ボトルを見せてもらったら、これまた100mlをミニサイズにした可愛さで、そのたたずまいも良かったので、50mlでお迎えすることになったのだ。
まだこの香りをどの場面で使うか正直見えてこないのだが、鼻をリセットしたい時や、香り疲れをした時、あるいは添寝香水として使っていきたいと思っている。

NOTES

Top note: Galbanum, Spices
Middle notes: Angelica, Cedar, Incense
Base note: Vetiver, Oakmoss, White Musk

 

ぼくがこの香りを受け入れられるのは、インセンスのやシダー、オークモスといったウッディやスモーキーの要素が入っているからなのだろう。そういう要素があれば、グリーン系の香りも受け入れられるのかもしれない。

My Evalution

★★★

 

第60夜 Dries Van Noten par Frederic Malle

バランスの取れたファッショナブルな香り

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DATA

Name: Dries Van Noten par Frederic Malle(ドリス・ヴァン・ノッテン
Brand:Monsieur Frederic Malle
Launched in 2013
Perfumer:Bruno Jovanovic


My Episode

もうお気づきの方も多いと思うが、今週の香りのテーマは、「仲良くなったベテランの香水店員さんがおすすめしてくれた香り」である。彼は大阪のデパートの香水売り場を担当しているのだが、その彼からある時手紙をいただいた。
ぼくが2019年の末に「ローディベール」を購入したので、そのお礼とともに、いくつかのおすすめの香水のムエットなども入っていた。その後、彼から何度か同じようなお手紙をいただいたのだが、必ず彼がおすすめの香りの情報やムエットが入っていて、それがぼくにとってはお守りのようなものだった。
香水の名前ってほとんどがフランス語なので、全然覚えることができず、仕方がないからその手紙を持って売り場に行くこともしばしばだった。
そしてその中に入っているムエットの中で、いくつか気になる香りというのもあった。その一つが今日ご紹介する「ドリス・ヴァン・ノッテン」の香水だった。
すっかりその香りに魅了されたぼくは、絶対にこれはこの香りを勧めてくれた彼から購入したいと思っていた。
このムエットの入った手紙を受け取ったのが2020年の夏ごろのことで、その年の冬に仕事で大阪に行った時に売り場に立ち寄ったものの、彼はお休みで、タイミングが合わず、ずっとこの香りをお迎えすることもできないままでいた。
きっと次に大阪に行く時に彼からこの香水を買うだろうなぁと呑気に思っていたのだが、なんと、その彼がその百貨店を2021年の4月いっぱいで辞めるという話を4月の上旬に聞き、ぼくはとてもショックを受けた。そして、いてもたってもいられず、先週の金曜日(4月23日)に仕事の合間を縫って、弾丸日帰りで行ってきたのである。

大阪も新型コロナの感染症防止対策で緊急事態宣言になるかならないかというぎりぎりのところでひやひやしながらなんとかギリギリ(ぼくが行った2日後からデパートが閉鎖になってしまった!)で彼に会うことができ、この香りをお迎えすることもできた。

ぼくは実はファッションにはまったく疎くて、ドリス・ヴァン・ノッテンのことはまったく知らないのだが、この香りは、フレデリック・マルが敬愛する人物の世界観を香りで表現するというシリーズの第一弾として作られた香りである。

ドリス・ヴァン・ノッテンは、90年代のファッションシーンに革命を起こしたと言われるベルギー出身のファッションデザイナー。マルが創業時に友人を介して二人は知り合い、親交を深めたという。

そんな彼をイメージする香りとして天然のサンダルウッドを選び、5人の調香師にコンセプトを伝えて、ドリスの香りを調香させたというのだ。18か月後にそれらの試作品を持ってドリスの元を訪れ、その中からドリス自身によって選ばれたのがこの香りだ。

ムエットでも何度も何度もかいだ香りなのだが、肌に載せると、本当に素晴らしい香りだということが実感としてわかる。最初の感想は「かっこいい!」。とにかく、かっこいい香りなのだ。洗練されていて、個性的でもある。ただ、その個性的なのが押しつけがましくないというか。かといって迎合しているわけでもない。その微妙なバランスを感じられる香り。

ぼくは個性的な香りがとても好きで、そういう香りばかりを選んでしまうのだが、時に、その個性的なのが強すぎて、キャラ立ちし過ぎてしまう香水もままある。それはそれで、透明感よりも存在感を求めるぼくにはたまらない魅力なのではあるが、時々あまりにも個性が強すぎて、果たしてこれは他の人に押し付けてしまうのではないか?と不安になってしまうことも少なくない。

ところがこの「ドリス・ヴァン・ノッテン」は個性的なのに、そういう不安を一切感じないのである。
ぼくの大好きなスモーキーさと甘さを感じるだけではなくて、その奥にピリッとしたスパイスもあって、それがアクセントになっている。この香り、私服にも合うけど、スーツを着ている時でもこれは映えるんじゃないだろうか。
さすが、ファッションデザイナーをイメージした香りだけあり、嫌味のないファッショナブルで、幅広く使える香りに仕上がっている。これは100mlでお迎えして(というか、もう在庫がほとんどなくて、100mlのみだったのだが)良かったと思う。これからもいろんな場面でお世話になるだろう。

NOTES

Sandalwood, Vanilla, Saffron, Tonka Bean, Nutmeg, Guaiac Wood, Patchouli, Musk, Woody Notes, Clove, Peru Balsam, Jasmine, Bergamot, Lemon

 

最初はサンダルウッドのスモーキーな香りがバニラなどの甘さとともに香り、その後、ナッツのような乾燥した甘い香りが漂ってくる。

そして、時間がたつとクローブのスパイシーな香りが顔をのぞかせ、どんどんクリーミーに変化していく。

このクリーミーさはどこかでかいだことがあると思ったら、ルラボのウード27でも感じたクリーミーさなのだ。恐らくこれはガイアックウッドの香りだろう。石鹸のような香りがするのだ。

この香りの面白いところは、比較的短時間の間に香りがどんどん変化し、様々なノートが顔をのぞかせるところ。そこがファッショナブルに感じる要因なのかもしれない。

My Evalution

★★★★

 

ちなみに、この香りを作ったのは、一昨日ご紹介した「ムッシュー」を作った人。彼は多作の調香師ではないようだが、「ドリス・ヴァン・ノッテン」と「ムッシュー」はどちらもかっこよい香りという共通点がある気がする。そこがこの調香師の得意とするところなのかもしれない。

第59夜 L'Eau d'Hiver

温かみのあるハーバルな冬の水

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DATA

Name: L'Eau d'Hiver(ローディベール)
Brand:Monsieur Frederic Malle
Launched in 2003
Perfumer:Jean-Claude Ellena

100ml ¥29,150


My Episode

初めて会う香水売り場の販売員と話をする時にぼくが心がけているのは、自分がどんな香りを求めているのか、ということを明確に伝えることだと思っている。
最初のうちは自分がどういう香りが好きなのか、どういう香りを求めているのかわからない場合も多いので、そういう時は素直にその旨を伝えれば、もし相手が本当のプロだったら、いろんな会話からその人に合った香りを見つけてくれるだろう。
ぼくは初めて会う香水売り場の人には、自分が今まで集めてきた香りの中で好きな香りを伝えるようにしている。さらに一歩踏み込んで、好きな調香師の名前を挙げる。
その時にぼくが必ず上げる調香師がベルトラン・ドショフールとジャン・クロード・エレナである。この二人の名前を挙げれば、香りのプロであれば、「なるほど、だいたいあの辺の香りが好きなんだろうな」と検討が付く。
ベルトランもエレナもタイプとしてはまったく違うのだが、非常に個性的であることは確か。その人なりの輪郭のようなものはそれぞれ持っているような気がする。
そして、その二人の名前を挙げた時、もしそのブランドにその人たちが手掛けた香水があったとしたら、話は早い。
まずはその香りを試させてもらえばよい。
ただ、だからといって、その香りがすぐに好きになるかどうかは別の問題。
ベルトランにせよ、エレナにせよ、すべての香りがぼく好みかというと、そういうわけではないからだ。
今日ご紹介する「ローディベール」は、まさにそんな香りだ。
昨日ご紹介した「ムッシュー」を試す前、ジャン・クロード・エレナが好きだと伝えたら、まずこの香りを勧められたのだ。
しかし、その時はピンとこなかった。
ぼくには非常にハーバルで優しい香りだったから。
「L'Eau d'Hiver」とは「冬の水」という意味。
その名前からもっと冷たい、ピリッとした香りを勝手に想像していた。
しかし、それがまったく違ったので、鼻が戸惑ってしまったのだ。
その香りを再び試すことになったのが、「ムッシュー」をお迎えした2か月後のことだった。。
ムッシュー」を勧めてくれたスタッフは大阪のデパートの店員さんで、伊勢丹のサロンドパルファンには応援で初日だけ来ていたということを知っていたので、12月にイベントで大阪に行った時に、売り場に立ち寄ってみたのだ。
ぼくをみつけるなり、彼は「あー、武田さーん!」と声をかけてくれた。それはぼくにとっては非常に驚くことだった。前もって行くことを言っていたわけでもないし、ぼくの方からは名刺を渡していたわけでもないから。
驚いていたら、「ベルトラン・ドショフールの話をあれだけ熱心にする人はいないので、覚えますよ!」と言われて、笑ってしまったのだが。
さて、その時にもいろいろな香りを試したのだが、改めて「ローディベール」を試したら、今度はすっと鼻に馴染んだ。
ヘリオトロープやアイリスといったハーバルな香りがメインで本当に優しい香りだ。しかし、それが逆に冬に纏うと温もりとなって体を包み込んでくれるのではないか、という気がしたのだ。
しかし、しばしば問題になるのは容量。
ぼくはとにかく香水をたくさん持っているので、果たしてこの香水を一生のうちに使い切ることはできるのだろうか?といつも思ってしまう。でも、できるだけ容量が多い方が結局はお買い得になるわけだし…という貧乏根性も顔を出してしまうのだ。
そんな時、ぼくは正直に店員さんに尋ねる。
「ぼくはこの香りを何ミリで買ったら良いと思う?」と。
ぼくのことを良く知っている店員さんだったら、だいたい的確に答えてくれるからだ。
お店側からすれば、そりゃ大容量の100mlを買ってもらいたいといのはわかる。しかし、ぼくのようにいろんな香水を集めている人が、果たして100mlをお迎えして後悔しないだろうか?ということを、本当にぼくのことを良く知っているスタッフだったら考えてくれるのだ。
ぼくが良く行くフエギアでも同じようなことはしばしばあるのだが、もしぼくが頻繁に使う香りだったら「ケンさん、100mlの方が良いと思いますよ」と言うし、そうでもないという時は「ケンさんは、これはたまに気分転換ぐらいにしか使わないだろうから、30mlでも十分だと思います。もしそれで足りないと思ったら、また買いなおせば良いだけなので」と…。
だから、ぼくもまだ会って2回目の彼に素直に聞いてみたのだ。
フレデリック・マルは、伊勢丹には置いていないが、他の売り場では10mlというミニボトルサイズもあるので、それも含めて相談したところ、まずは10mlで試してみて、物足りないと思ったら、50mlとかでも良いと思います。
というアドバイスだったので、その言葉に従った。
あれから1年ちょっと経つのだが、4割ぐらい使っているので、ちょうど良い感じで使えている気がしている。

NOTES

Heliotrope, Iris, White Musk, Angelica, Honey, Bergamot, Jasmine

 

トップで柑橘系の香りが載ってくるのだが、ぼくの肌の上ではその柑橘系の香りはオリエンタルに感じられる。きっとジャスミンの影響もあるのかもしれない。そして蜜蝋のような独特のクリーミーさが次にくるのだが、これはハーバルなヘリオトロープの香りによるものだと推察される。
さらに時間が経つと蜂蜜の甘さの中にアンジェリカのすっきりした香りが混じってくる感じだろうか。
エレナは2年の年月をかけてこの香りを作りだしたという。そして、この香りのコンセプトはお湯、あるいは温かいオーデコロンだったのだとか。だから、ぼくがこの香りを最初にかいだ時にあたたかさを感じたのはもっともなのである。そして、冬に纏うと春を呼び、真夏に肌に載せると冬を呼ぶという香りに仕上がったとされている。
冬生まれのぼくは、四季の中で一番好きなのが冬なので、ぼくはこの香りとはこれから長いお付き合いをするんじゃないかという気がしている。それでもやっぱり100mlを使い切る自信はないのだけれども。

My Evalution

★★★

もちろん、嫌いな香りではないが、やはりハーバルな香りというのはぼくの中ではどうしても評価が低くなってしまう。

第58夜 Monsieur

スモーキー、スパイシー、ウッディー、最高の思い出

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DATA

Name: Monsieur(ムッシュー)
Brand:Frederic Malle
Launched in 2015
Perfumer:Bruno Jovanovic

My Episode

一本の香水から素晴らしい出会いが生まれることは人生の中で一体何回あるだろうか?
ムッシュー」はそういう意味ではぼくにとっては特別な思い出に残る一本と言えるだろう。
2019年の10月に伊勢丹新宿店にて開催された香りの祭典「サロンドパルファン」はぼくにとっては、ひとつの節目になるイベントだった。
2015年に日本に初上陸したフエギアにはまってから、ぼくはしばらくフエギア三昧な数年を送っていた。
他のブランドには目もくれず、ひたすらフエギアの香水ばかりを追いかけていた。
しかし、フエギアはどれもとても素晴らしい香りなんだけど、調香師が一人で香りを手掛けているので、どうしても香りの系統が偏ってしまうという面もあり(そこがフエギアの魅力でもあるのだが)、正直、ぼくの鼻は少しフエギア疲れを起こしていたのかもしれない。
そんなぼくにとって、サロンドパルファンの会場は、魅惑に満ち溢れたものだった。フエギアも出展していたのだが、その他にもいくつもの気になる香水ブランドが集結していた。
たった3日間という短い期間だったものの、ぼくは3日間ずっと通ってしまうほど楽しんだ。
今まで気にはなっていたけれども、ちゃんと販売員の方の話を聞くことがなかったブランドもあれば、初めて触れるブランドもあり、それぞれの販売ブースでスタッフの方々の話を聞きながら香りを試すのは至福のひと時だったのだ。
初日に行った時、ぼくは一つ気になるブランドに立ち寄った。それがフレデリック・マルだった。すでにぼくは数年前に「ムスクラバジュール」という素晴らしい香りをお迎えしていたのだが、それ以降、ずっと気になるものの、あまりにも種類が多くて、ずっと手を出せずにいた。
しかし、その時、たまたまブースで香りのコンサルティングをしてくれるというので、立ち寄ったのだ。
それまでも、ぼくはラルチザンパフュームの表参道店や帝国ホテル内のゲランなどで同様のコンサルティングを受けたことがあったが、この時のコンサルティングは非常にエキサイティングで、刺激的なものだった。
まず彼はぼくがすでに「ムスクラバジュール」を購入したことを知った後、マルというブランドはどこまで知っているのかとたずねてきた。
実はぼくはあまりマルのことは知らなかったので、正直にそれを伝えると、彼は簡単にフレデリック・マルというブランドについて教えてくれたのである。
その中で一番印象的だったのが、ブランドオーナーであるフレデリック・マルは、自分は雑誌の編集長のようなもので、その編集長が様々な作家に依頼をして作品を書かせる感覚で、調香師に香りを依頼するというのだ。
つまり調香師は小説家ということになる。
だから、フレデリック・マルの香水はどれもきちんと調香師の名前を明かすだけでなく、ボトルやボックスにきちんと調香師の名前を記すのだとか。そういうところもぼくにはとても魅力的だった。
さらにボックスにもこだわりがあり、収納する際に本のように見えるように背表紙を統一しているのだという。
それを聞いて、ますますぼくはフレデリック・マルというブランドに興味を持った。
コレクションするのが大好きだから、そういうのには非常に弱いのだ。
さらに、ぼくの好きな香りや調香師の話をすると、その時の担当者はそれらの香りをすべて把握していた。もう、それだけでぼくは嬉しくなるのだ。
香水の販売員だったら、ラルチザンパフュームというブランドの香水ぐらいはみんな知っていると思うが、じゃあ、そのブランドで活躍をしたベルトラン・ドショフールのことを知っている人がどれだけいるだろうか?さらに彼が手掛けた「アルード」や「パチョリパッチ」という香水のことをどれだけ知っているだろうか?
ぼくは今までいろんなブランドの販売員と話をしてきたが、そこまで深い話ができる人はほとんどいなかったように思う。
しかし、彼は違った。
ぼくが次から次へと好きな香水として挙げるすべての香水をきちんと把握していたのだ。
この人はそうとう勉強をしている人なんだなと思った。そして、この人だったら、きっとぼくのフレデリックマルの2本目にお迎えすべき香水を選んでくれるに違いない。
そう確信した。
ぼくは初めて会う香水販売員の人には、好みの香りの傾向を伝えるだけでなく、好きな調香師のことなども話すのだが、彼がまずぼくに勧めてくれたのは、ジャン・クロード・エレナがマルで手掛けた何本かの香水だった。
しかし、残念ながら、その時のぼくにはピンとこなかった。
そこで、今度はぼくの好きな香りの傾向から、何本かの香水が提示された。
その中の一本が「ムッシュー」だった。
まずはムエットで試したのだが、もう、その段階でほぼノックダウン状態。
ぼくの中では「ムッシュー」は「ムスクラバジュール」の延長線上にいた。かっこよくて、スモーキーで個性的。透明感とは無縁。存在感あるのみ。そんな香りなのだ。
これは絶対にこれからぼくの人生になくてはならない香りになるに違いないという絶大なる確信があった。
だから、容量も迷わず100mlでお迎えしたのである。
今でもぼくはこの香りをことあるごとに纏っているのだが、そのたびにあの伊勢丹のサロンドパルファンでの至福のひと時のことと、そこで出会った一人のベテラン香水販売員の彼のことを思い出すのだ。
こういう出会いというのは、本当に奇跡的なことだと思っているし、ぼくはその出会いをこれからも大切にしたいのだ。
この香りはそういう意味で、本当に特別な香りになった。
だから、香水探しはやめられないんである。

NOTES

Top note: Rum, Tangerine
Middle notes: Patchouli, Incense, Cedar, Amber
Base note: Musk, Vanilla

シュッとひと吹きしただけで、その空間がたちまち浄化される。そんな香りだ。スモーキーで、ウッディーで、そしてスパイシー。これは恐らく、パチョリとインセンスの香り。さらにラムのとろりとした甘さが加わり、それがだんだんとバニラの甘さへと変化する。肌の上でそれらの香りがいろんな形で顔を出すのだ。ムッシューという名のごとく、男性的な香りではあるが、こういう香りを女性がつけても非常にかっこいいのではないだろうか。

My Evalution

★★★★★

香りも素晴らしいだけではなく、この香水と出会った時の思い出というのもぼくにとっては大切なので、やはり「ムッシュー」は最高の評価になるのだ。