第57夜 Patchouli 24

ヒリヒリしたスパイスを感じる危険なパチョリ

f:id:happyinkdays:20210425214526j:plain

 

DATA

Name: Patchouli 24 (パチョリ24)
Brand:Le Labo
Launched in 2006
Perfumer:Annick Menardo

50ml   ¥22,550

My Episode

昨夜ご紹介したルラボの「ウード27」を初めて試した時、そのウードではなく、別の香水を選んだのだが、ぼくがルラボで初めてお迎えしたのが、今日ご紹介する「パチョリ24」である。
ウードを試したものの、ぼくにはとてもクリーミーに感じてしまい、すぐに購入を決断することができなかった。しかし、この「パチョリ」に関しては即決に近い形で気に入ってしまったのだ。
ムエットで試した時に、とてもスモーキーに感じて、こんなにスモーキーなパチョリがあるんだ⁉と驚いたのだが、肌に載せたら、単なるスモーキーではなく、もっと別のヒリヒリするようなスパイスを感じた。
そのスパイスというのが、ぼくにはクローブのように感じられたのだ。さらに漢方的な雰囲気もあり、そういうオリエンタルノートが好きなぼくには、たまらなく魅力的だった。
その時、他にも色々な香水を試したのだが、その間中、ずっとムエットをかいだり、肌に載せた香りを何度もクンクンしたりしていた。そのうちに、だんだんと単なる漢方的な香りから、甘さがにじみ出てきた。しかも、その甘さというのは、表面に出てくるような甘さではなく、もっと肌の奥にもぐりこんだような甘さだった。
スパイシーな香りに覆われているからこそ、そっと顔をのぞかせる甘さ、という感じ。
ぼくが好きな香りのキーワードは、重い、煙い、甘辛い、なのだが、この「パチョリ24」は、そのすべてを兼ね備えた香りだった。
パチョリの香りというと、ぼくがまっさきに思い出すのが以前もご紹介したラルチザンパフュームの「パチョリパッチ」だ。

  

1001perfumenights.hatenadiary.jp

 この香りはぼくにとっては非常に土臭い香りで、最初はなかなか受け入れなれなかったのだが、だからこそ、その香りが癖になり、今では大好きな香りになった。
そして、パチョリをメインとした香りを基準にする時は、この「パチョリパッチ」を基準にしている。

その「パチョリパッチ」と「パチョリ24」を比べてみると、明確な違いがある。それは、水分である。どういうことかというと、「パチョリパッチ」の方は、もっと土臭くて、その土に水分がたっぷりと含まれている感じがするのだ。雨上がりの土の匂いと言ったらわかりやすいだろう。

しかし、この「パチョリ24」にはそういう土の香りはしない。つまり泥気ゼロ。パチョリ独特の土の香りはするんだけど、乾いているのだ。そこがこの香水の魅力なんだと思う。

調香師は、アニック・メナード。
実は最近気づいたのだが、ぼくは彼女の作る香水をいくつか持っている。
その代表的なのがディオールの「ヒプノティックポワゾン」、ブルガリの「ブラック」、ゲランの「ボワダルメニ」などだ。
いずれの香りもぼくは大好きだし、非常に個性的である。彼女が調香したのだと知らずに気に入って購入した香りばかりなので、この発見はとえも嬉しかったし、自分の鼻もまんざらでもないなと自画自賛してしまった!(笑)

ところで、ルラボ本国の公式サイトを見ると「綱渡りが好きな人たちにとっては危険な香りに満ち溢れている」と記載されている。うん、確かに危険な香りであることは間違いない。

NOTES

Top note: Patchouli
Middle notes: Birch, Styrax
Base note: Vanilla

FRAGRANTICAに記載されている香りはたったの4種類だが、残りの20種類も気になるところだ。

My Evalution

★★★★

第56夜 Oud 27

クリーミーで個性的なウード

f:id:happyinkdays:20210418223124j:plain

 

DATA

Name: Oud 27 (ウード27)
Brand:Le Labo
Launched in 2009
Perfumer:Vincent Schaller

My Episode

ニッチフレグランス愛好家の間で「ジョーマローン」「ディプティク」と並んで非常に人気なのは、今日ご紹介する「ルラボ」だろう。
ニューヨーク発のまったく新しいスタイルの香水専門店だ。
ぼくもこのブランドのことは良く知っていたものの、あまりにも人気なものだから、天邪鬼なぼくはずっと敬遠しているところがあった。
しかし、昨年、とある販売員さんとの出会いで改めてこのブランドの香水のことを知り、それをきっかけとして、ルラボに目覚めたのである。
その時に購入した初ルラボの香水のことは明日の夜に書くことにするが、今日は、その流れで昨年の8月にお迎えすることになった「ウード27」について書きたい。
ぼくがこの香水を初めて試したのは昨年の3月のことだった。
一昨年、伊勢丹新宿店で行われたサロンドパルファンで知り合った香水のエキスパートの方が働いている大阪髙島屋に行ったのが3月のこと。その時に、ウードが好きなぼくに彼が勧めてくれたのが「ウード27」だった。ところが、その時、ぼくはこれを選ぶ気になれなかった。なぜかというと、それまでのぼくの知っているウードとはまったく違ったから。
一言で言うと、非常にクリーミーなのである。
まったりとした、まるで蝋のような雰囲気を強く感じられた。そして、その時はそれがどうしても肌に馴染まないような気がしたのと、他に惹かれる香りがあったので、そちらを選んだ。

ところが、昨年の8月、ぼくのウード探しの旅が始まり、ルラボにウードがあったことを思い出した。そこで、早速銀座のルラボに行って尋ねたところ、なんとウードは廃盤になってしまい、銀座店にはないと言われてしまったのだ。そこで、色々と調べてもらったところ、辛うじて日本橋三越店の方にはあるかもしれない、とのことで、取り置きをしてもらい、すぐに日本橋三越店へ。

そして、約半年ぶりぐらいに「ウード27」を試すことができた。
確かに、3月に感じたようなクリーミーさは相変わらず感じられたのだが、それは特に嫌味な感じではなく、許容範囲ではある。

今まで何度も試してどうしても受け入れられないウード系の香水というのがあるのだが、それとはまったく違い、こちらのウードは特にそのクリーミーさは気になるほどではないし、日本のルラボに存在する最後の1本ということで、お迎えしたのである。

ルラボは、原材料さえあれば、その場でボトルに詰めてくれるので、使い終わったとしてもそのボトルをお店に持って行けば良いというのが魅力の一つだが、このウードに関しては、原材料がもうないということで、最大サイズである100mlで購入したのは正解(というか、100mlしか残っていなかったのだが)。

ところで、ルラボの香水には名前のあとに数字がついている。これは香料の数を示している。つまり「ウード27」は27の香料が使われているということになる。これはかなり数としては少ない方だ。
シンプルな香りなはずなのだが、このクリーミーさは一体どこから出てくるのだろうか?
ウード系の香水でここまでクリーミーなものは他に知らない。だから、いまだにこの香りを纏うたびに戸惑ってしまうのだが、少しずつ肌に馴染ませ、様々な場面で使うことで仲良くなれる気がしている。

NOTES

Agarwood (Oud), Civet, Ambergris, Virginia Cedar, Musk, Aldehydes, Patcouli, Vetiver, Amber, Bulgarian Rose,

FRAGRANTICAによると、以上の香料が記載されている。
さらに、ルラボの公式サイトによると、

Incense, Black Pepper, Saffron, Gaïac

といった香料が明かされている。Gaïacとは、Guaiacwoodのことで、石鹸などの香料に使われる、香料としては比較的安価なものだとのこと。恐らく、ぼくがクリーミーに感じるのは、この香料のせいなのかもしれない。


そして、そのサイトに記載された説明によれば、

ジンギスカンが、紅茶を飲みに行った時にシェヘラザードと一緒にいたシャージャハーンと出会うところを考えてみてください」と書かれている。さらに千一夜物語のことにも触れられている。まさにこのブログのテーマにぴったりの香りなのだ。
それを知ると、さらにもっと、この香りときちんと向き合いたいという気持ちになる。

My Evalution

★★★★

肌に載せた時は非常にクリーミーなのだが、しばらくするとそのクリーミーさがじょじょにウッディーに変化してくる。この変化を楽しめるかどうか、がこの香水の評価を左右するのではないだろうか。本当に面白い香水だと思う。

 

第55夜 Tobacco Mandarin

タバコとスパイスとレザーが織りなす官能的な香り

f:id:happyinkdays:20210418223120j:plain

 

DATA

Name: Tobacco Mandarin (タバコマンダリン)
Brand:Byredo
Launched in 2020
Perfumer:unknown
50ml ¥44,000

My Episode

バイレードのことは以前から何となく気にはなっていたのだが、あまりにもボトルがシンプル過ぎるので、いつも伊勢丹の売り場の前をスルーしていた。
今年に入ってから、とある香水好きの女友だちと会った時に、「バイレード知ってる?」という話になり、ぼくは全然知らないので、一緒に行こうということになった。それが昨年の12月のこと。
その時に、初めて、バイレードのさまざまな香水を試し、さらにその中にウード系の香りが2種類もあることも知った。
ただ、その時ぼくが一番心惹かれたのが、「タバコマンダリン」だった。これは、「ナイトヴェールズコレクション」という官能的な香りをテーマにしたコレクションの中の一本。
ボトルに入った香水の色もこってりとした色で、それだけでぼくは気になって気になって仕方がなかった。
そして、ムエットで試させてもらったら、もう、これがたまらなくセクシー。トップから容赦なく甘くてスモーキーなんである。
通常のラインの2種類のウードがかき消されてしまうほどのインパクト。さすが官能シリーズだなと思った。
ただ、お値段がお値段なだけに、即決するには至らず、その時は購入を控えて、ムエットだけで我慢した。
帰宅して、いろいろと調べていたら、なんとその「タバコマンダリン」にウードが入っていることを知った。その時は売り場のスタッフもそのことを話してくれなかったので、(ぼくがウード好きなことはすでに伝えてあったのだが)まったくわからなかったのだが、それを知ったら、もういてもたってもいられなくなった。
そして、2月のとある日、伊勢丹に立ち寄った時に再び試させてもらう。そうしたら、やっぱり良いのである。肌に載せても肌なじみはすごく良いし…。ただ、やっぱりお値段がお値段なので、なかなか踏ん切りがつかず、いったん売り場を離れた。
しかし、数分後、伊勢丹を出る直前、再び腕につけた香りを試したら、やっぱりそのこってり感に抗うことができず、再び売り場に戻り、すっかりなじみとなった店員さんに「やっぱり買います...」と言って購入することになったのだ。
何度も行きつ戻りつしながら購入をしたというのも、またこの香りの大切な思い出になると思う。

NOTES

Top notes: Cumin, Mandarin Orange, Coriander
Middle notes: Tobacco, Leather, Labdanum
Base notes: Olibanum, Sandalwood, Agarwood (Oud)

ウードは入っているけれども、多分比率としてはとても低いのかもしれない。メインという感じではなく、ベースに深く潜りこんでいる感じ。ただ、やはりウードの香りがないとこの深みは出ないのかもしれない。そして、何かの香りに似ていると思って改めてかいでみたら、以前ご紹介したベルトランがラルチザンで作った「アムールノクターン」に非常に近しいのだ。
まったりとした甘さを燻した感じはまさにあの香りと同じ系統。なので、糖分多めの甘い香りが好きな人に特におすすめの香り。

My Evalution

★★★★

 

第54夜 Matière Noire

気候の良い時期に美しく香るウード

f:id:happyinkdays:20210418223115j:plain

 

DATA

Name: Matière Noire (マティエール・ノワール
Brand:Louis Vuitton
Launched in 2016
Perfumer:Jacques Cavallier
100ml ¥38,500

My Episode

香水というのは生ものである。
旬もある。
季節によって香り方はまったく変わってくるし、朝と夜でも感じ方は異なる。だからこそ、香り選びというのはすごく慎重になる。
例えば、この前試した時はまったく感動しなかったのに、なぜか今日は気になるという場合がある。同じ香水のはずなのに、どうしてそう感じてしまうのかというと、香水は生ものだから。
その時の自分の体調もあるのかもしれない。
あるいは前回来た時は晴れていたけど、今日は雨だから湿度が高いということもままあることだ。
香りって、そういうちょっとしたことで感じ方がまったく異なるので、だからこそ面白いのである。
さて、今日ご紹介する「マティエール・ノワール」もまさにそんな一本だ。
昨年の夏、初めてルイヴィトンに遊びに行った時に試した中に入っていたのだが、その時はあまりにも多くの香水を試したので、そんなに意識することはなかった。
しかし、今年、二度目に表参道のお店に遊びに行った時にこの香りを試し、とても気になったのだ。
ルイヴィトンから出ている何本かのウード系の香水の中でも一番爽やかで軽やかに感じられたから。
ただ、それはあくまでも比較の問題で、実際にはやはりウード系なので、重いことは重いのではあるが、普段から重いのもばかリつけているぼくからすると、かなり軽いという印象。
しかし、その時は1月のまだ寒い時期だったので、この香りではなく、もう少し温かみのあるウード系の香りを購入し、「マティエール・ノワール」は、気候が良くなったらお迎えしようということになった。
気分的には、初夏のゴールデンウィーク前ぐらいに表参道に来ることがあったらまた試してみようかな、ぐらいの軽い気持ちだった。
ところが、その数週間後、たまたま別のお店に香水好きの人たちと遊びに行った時にルイヴィトンの表参道店の前を通りかかったら、いつも担当してくださるベテランの男性店員の方をお見掛けしたので、ふらふらと中に入り、再びあれこれと香水の話を聞くことになった。
ぼくとはまったく好みの違う香りを選ぶ人たちだったので、その人たちと一緒にルイヴィトンの香りの世界の話を改めて聞くのはとても楽しいひと時だった。
その日はかなり温かい日で、コートも着ていなかった。
ふと、この前試したあれを纏ったらどうだろう?と思って、その方にお願いをして再びムエットでかがせてもらったら、やっぱり良い香りなんである。確かに寒い時期に来た時とはまた香り方も異なり、すっと肌に馴染む感じがした。
実際に肌に載せてもらっても、それは変わらなかった。
5月まで待って買うよりも、今ここで買っちゃった方が良いかなぁ。という気持ちがむくむくとわいてきて、結局購入を決定したのである。
今度はこの香りが、夏の湿度のある暑さにどのように反応するのか、楽しみである(残念な結果にもなる可能性もあるけど)。

NOTES

Top notes: Blackcurrant Syrup, Watery Notes
Middle notes: Rose, Cyclamen, Narcissus, Jasmine Sambac
Base notes: Agarwood (Oud), Patchouli, Incense, Benzoin

このノートだけを見ると、さっぱりとした雰囲気はあまりないのだが、恐らくトップのブラックカラントやジャスミンサンバックがさっぱりした印象を作り出しているのかもしれない。

My Evalution

★★★★

第53夜 Agarwoud

レザリーで少し甘めのウードの香り

f:id:happyinkdays:20210418223110j:plain

 

 

DATA

Name: Agarwoud(アガーウード)
Brand:James Heeley
Launched in 2011
Perfumer:James Heeley
50ml ¥23,000


My Episode

ヒーリーのことを知ったのは一昨年のこと。たまたま香水好きの女友だちとフエギアに行った帰りによったセレクトショップでヒーリーの香水と出会い、ひと鼻惚れをして買ったのがPhoeniciaだった。この香水については以前もご紹介しているので、そちらを参考にして欲しい。 

1001perfumenights.hatenadiary.jp 

この時は、まだこのブランドについてあまり良く知らなかったのだが、その数か月後に、実はもう一本ウード系の香りがあると教えてもらったのがこの「アガーウード」だった。デパートなどで見かけるたびに試して、そのたびに良い香りだなと思いつつも、なかなかお迎えをする機会がなかった。
ところが、今年に入ってこの香りが無性に気になり、思い立ったが吉日人間のぼくは、その購買意欲がマックスになったタイミングで有楽町にある阪急メンズ館の香水売り場に赴いた。
買う気満々だったのだが、せっかくお店に来たのだから、店員さんの話を聞いてから買おうかなという気持ちでいたので、とりあえず近くにいた男性スタッフに声をかけ、アガーウードをムエットで試させてほしいとお願いをした。
しかし、とても残念なことに、その男性スタッフは、何も商品説明をしてくれなかったのである。ぼくはこの香りのことはすでにネットなどで調べておいたので、敢えて話を聞く必要はなかったのだが、それでもそのほかの情報を聞けたら良いなと思って店頭に行ったというのに、その男性店員はずっと黙ったまま突っ立っていたのだ。

阪急メンズ館の香水売り場は、いろいろなブランドが並べられており、それぞれのブランドを扱う代理店の方が売り場に立っていることが多い。ひょっとしたらその男性店員はヒーリーの担当ではないのかもしれない。しかし、その売り場に立っているのであれば、最低限の知識は持っているはずだとお客は期待して行くわけである。しかし、彼は何も言わずに黙ってぼくがムエットで試しているのを眺めているだけだった。
せめて「いかがですか?」とか「こういう香りがお好みなんですね?」とか声をかけてくれれば、それを糸口としてこちらも話ができるのに、それすらもなかった。
もしそのブランドの担当者じゃなかったら、素直にその旨をお客に伝えて、そのブランドに詳しい他のスタッフを呼ぶなり、あるいは自分で香りを試してその感想を述べたりするのがプロなんじゃないだろうか?

ぼくはこのブログで何度も訴えているのだが、香水というのは目に見えない実に繊細な物である。人によってその香りに対する印象も大きく変わる。

だからこそ、我々はスタッフのプロとしての話が聞きたいのだ。その香りの背景やブランドの話、あるいは今の香りのトレンド、さらにはそのスタッフのその香りに対する印象などを参考にしたいのである。

なのに、そういう話を最初から拒絶しているような態度はどうなんだろうか?果たしてあなたはそれでお給料をもらって良いと思っているの?と小一時間問い詰めたい気持ちになってしまった。

全国の香水を扱っている販売店のスタッフの皆様、

どうか、どうかちゃんと香水に関するお勉強してください。
こんなことを言うと生意気だと思われるかもしれないけれども、でもやっぱり香水というのは、数百円の野菜を買うのとは違う。その香りをこれから纏って、自分の毎日の生活を豊かにしたいと思っている人たちにとっては香水というのは大切なアイテムなのである。それにそれなりのお金を払うわけだから、買う時にプロの方に話を聞きたいと思うのは当然のこと。そのことを自覚して接客にあたって欲しいと常々思っている。

普段ならそういう接客をされるとぼくは何も買わずに意気消沈して帰ってくるのだが(あまりにもひどいと、いつ行っても素晴らしい接客をしてくれるお店に行って愚痴をこぼすこともある)、その日ばかりは買う気マックスだったので仕方なくお迎えしたけれども。

でも、そうするとこの香りの印象というのが、その香りをお迎えした時のエピソードが最初のエピソードになってしまい、非常に残念なのだ。


NOTES

Incense, Dates, Vetiver, Agarwood(Oud) , Birch, Labdanum, Raisin, Sandalwood

トップから深みのある香りを感じる。そしてレザー感があるのだが、そのレザーはすぐに消えて、今度は少し甘さが出てくる。恐らくそれはデーツやレーズンの香りなのかもしれない。しかし、それらの甘さは甘ったるくない。つまり砂糖系の甘さではなく、フルーツ系の甘さで意外とあっさりしている。その甘さとウードが絡み合い、しっとりと肌に馴染む。そんな感じがするのだ。
重い香りではあるけれども、比較的甘さがその重さを軽やかに変化させる部分もあり、纏いやすい香りにまとまっている気がする。

My Evalution

★★★

 

第52夜 Oud Ispahan

ゴージャスで、パウダリーで、スパイシーなウード

f:id:happyinkdays:20210418223105j:plain

 

DATA

Name: Oud Ispahan(ウードイスパハン)
Brand:Christian Dior
Launched in 2012
Perfumer:Francois Demachy
50ml ¥13,200

 

My Episode

クリスチャンディオールというと、どうしてもDCブランドのイメージが強くて、ぼくはつい最近までは、そのDCブランドのディオールしか知らなかった。
しかし、実はディオールにはもう一つメゾンクリスチャンディオールというラインがあり、こちらは、日々と生活空間を香りで彩り、ライフスタイルを香りで楽しむというコンセプトのフレグランスラインなのだとか。
店舗も限られているのだが、ぼくはたまたま香水好きの友人とGINZA SIXに行った際に教えてもらい、中に入って色々と話を伺った。
初めて行ったところなので、とりあえず自分の好きな香りを伝えたところ、なんと、そのメゾンクリスチャンディオールにはウード系の香りがいくつかあるというではないか。
それを聞いた時、ぼくの目は輝き、鼻の穴も少し広がったに違いない。それくらい感動した。
ただ、残念なことに日本に上陸しているウード系の香水は1種類だけとのこと。
それがオリエントの宮殿をイメージしたという「ウードイスパハン」だった。
まずはムエットで試してみたのだが、最初の印象が非常にフェミニンなウードだということ。華やかさをトップで感じられた。
なるほど、こういうウードもあるのね…と思いながら、今度は友人が試したいという香水をいくつか試したのだが、その間もぼくは手元のムエットが気になって仕方なかった。
これはしばしばあることなのだが、いろんなムエットを試しながらも、その間、何度も何度も気になったムエットを楽しむ。
中にはまったく気にならないムエットもあるのだが、そういう香りはまず縁がないと思って良いだろう。
しかし、気になる香りのムエットは他の香りをかいだ後にまたかいでみるのだ。そうすると新たな発見があったり、時間が少し経って変化を感じられたりする。
そして、この「ウードイスパハン」もそんな気になって仕方がない香りだった。
その変化の中で特に感じたのがスパイシーな香りだった。
ぼくが最初に感じたフェミニンな印象はパウダリーな香りがそういう印象を与えていたのだが、その印象はすぐに消えて、今度は非常にスパイシーな香りが立ってきたのだ。
これがぼくにはたまらなかった。
陰と陽で言ったら、このウードは完全に陽だ。
とにかく明るい。
だから、ぼくは迷わずにその日はこの香りを選んでお迎えすることにした。
こういうウードはありそうでないと思うので、意外にも個性的でお迎えして良かったなと思っている。

 

NOTES

Top note: Labdanum
Middle notes: Rose, Patchouli, Saffron
Base notes: Agarwood (Oud), Sandalwood, Cedar

トップのラブダナムは、地中海に生息する植物で、香りの強い樹脂を分泌し、それがアンバー調の香りを放つ。トップに感じられるパウダリーで華やかな香りはこのラブダナムなのだろう。そこにサフランやパチョリといった深みのある香りが加わり、スパイシーな香りへと変化する。そこがこの香りの大きな特徴といえよう。

My Evalution

★★★★

非常に上品で華やかな香りで他のウードにはない独特の雰囲気を持っている。ぼくの肌の上ではローズの香りはほのかでスパイスがより際立つ。そこがぼくにとっての高評価のポイントになる。

 

第51夜 Oud Palao

太陽を感じる明るいスモーキーなウード

f:id:happyinkdays:20210418223100j:plain

 

DATA

Name: Oud Palao(ウードパラオ
Brand:Diptyque
Launched in 2015

75ml ¥23,100

My Episode

ディプティックは、日本では香水好きの間ではかなり知られているブランドなのではないだろうか。ジョーマローンとともに、香水にちょっと興味があり、ブランド香水に飽きてきた人が最初に試したくなるブランドの一つだと思う。
ぼくの場合はラルチザンパフュームの方に先に惹かれてしまったので、ディプティックのことはその後知ることになるわけだけど、ぼくが最初にディプティックの商品を買ったのは香水ではなく、キャンドルだった。
ディプティックの魅力は香水だけではなく、その他の香りに関するアイテムが充実していることだと思うのだが、特にキャンドルの種類が多いし、クリスマス限定の香りやボトルのデザインなども凝っていて、それだけでぼくは満足していたのだ。
ディプティックで一番最初に購入した香りは、ディプティックを代表する「タムダオ」で、フルボトルではなく、ミニボトルで購入しただけだった。
ラルチザンの「ボアファリヌ」を連想させるスモーキーで温かみのある香りで、好きなのだが、フルボトルで持っているほどではないかなと勝手に思っていた。
それ以降、ディプティックの香水とはなかなか縁がなかったのだが、そのディプティックにウード系の香りがあることを知り、何かのついでに売り場に立ち寄り、とりあえず試すだけ試してみた。
その時たまたま腕が空いていたので(香水を試す時って、腕が何本あっても足りなくなり、この時ばかりは千手観音になりたくなるのだが)、肌に載せてもらった。ちょうど閉店間際だったので、ゆっくりと話を伺うこともできず、売り場を後にしたのだが、その夜ずっとこの香りに包まれて過ごすことになった。そうしたら、とにかくスモーキーなのである。煙の中で過ごしているような気持ちになってしまうほど煙たい。
ぼくの香りのツボを押す要素の一つに「煙たい」というのがあるのだが、この香りはまさにその煙たいツボをぐいぐいと押してくれる。
今までウードの香りをいろいろと肌に載せているけれども、その中で一番スモーキーかもしれない。それぐらいのインパクトがあった。
パラオというのはあの南国のパラオのことだとは思うのだが、でも南国チックな太陽の雰囲気もある。
例えば…日に焼けた肌というのは乾いた独特の香りがすると思うのだが、まさにこの香りはそんな乾いた香りがする。
そこにぼくは太陽を感じるのである。
その日に焼けた肌の乾いた香りの向こうに深い木の香り、つまりウードが見え隠れする。
そのウードは深い香りというよりももっと明るい感じがする。華やかなウードとでも言おうか。甘さもあって、そこもまた他のウードとは一線を画す香りだと言えるだろう。
ウードというと、どうしても深くて渋くて、とっつきにくいという印象が強いのだが、ディプティックのウードに関して言えば、それとは真逆の香りだ。つまり陽の香りと言って良いだろう。
普段は深い、どちらかというと陰のウードばかりを好んでつけているが、だからこそ、香りを肌に載せた時のインパクトはとても強く、すっかり気に入ってしまい、その後ぼくはこの香りをお迎えすることになったのだ。
このウードはきっとこれから暑くなってきてから大活躍することになると思う。それが今からとても楽しみだ。

NOTES

Laotian Oud, Bulgarian Rose, Tobacco, Rum, Labdanum, Sandalwood, Camphor, Patchouli, Madagascar Vanilla

FRAGRANTICAによると、トップ~ベースのノートの記載がないのだが、香料の中身を見ただけで、この明るい甘さとスモーキーさの中身が良くわかる。

My Evalution

★★★★