第387夜 Leather Rouge

甘めの革の香り

DATA

Name: Leather Rouge(レザールージュ)
Brand: Miller Harris(ミラー ハリス)
Lauched in 2019
Perfumer:Mathieu Nardin
100ml ¥32,670

My Episode

ミラーハリスというブランドのことを知ったのは、ベルトランドゥショフールが何本かこのブランドの香水を手掛けたから。
だが、残念なことに、ぼくの好きなタイプの香りではなかったので、それ以降、ずっと名前も知っているし、真四角のボトルも良くみかけるけど、なんとなく手を出すことができないブランドという位置にあった。
ところが、一昨年ぐらいに、仲良くなった伊勢丹の香水売り場の他のブランドの担当の方から「ケンさん、この香りどうですか?」と薦められた2本の香水のうち、この「レザールージュ」があまりにもぼくの鼻にドンピシャで、それ以降気になるブランドになった。
その時は他にも欲しい香りがたくさんあったし、まだ買う時期ではないような気がして、ずっと購入を先延ばしにしていた。
だが、2022年のサロンドパルファンで、このブランドを手掛ける代理店のコンサルテーションを受けることになり、その時に購入を決めた。
ただ、普通に買うのはつまらないので、とあることをした。実はこのコンサルテーションを受けたのは、サロンドパルファンの期間の最後の方だったので、だいぶMIカードのポイントが溜まっていたのである。そこで、あと少しでこのレザールージュと、もう一本の香水を買うだけのポイントは溜まるので、それが溜まってから購入することにした。
あともう少し、というところだったので、コンサルを担当してくれたスタッフにお願いをしてお取り置きをして、ポイントがたまってから再びブースに戻り、2本をお迎えしたのである。
つまり、この高級ラインの香水を2本お迎えしたことになるのだ!

NOTES

Top notes:Raspberry, Saffron, Black Pepper
Middle notes:Red Rose, Orris, Violet
Base notes:Leather, Amber, Patchouli

革の香りはしっかりとするのに、同時に爽やかな甘さを感じるのは、恐らくラズベリーのジューシーな香りによるものなのだろう。さらにブラックペッパーやサフランなどにより、重さが軽減されているので、夏でも以外と行ける革の香りだと思う。

My Evalution

★★★★★
初めて試した時からずっと気になっていた香りなので、やっとお迎えすることができて良かった。コンサルテーションで改めてじっくりと香りと向き合うことができるので、これからはできるだけ、こういう機会があったら、積極的に受けてみたいと改めて思った。

第386夜 Armani Privé Bleu Turquoise

ジャケ買いからの香水

DATA

Name: Armani Privé Bleu Turquoise(プリヴェルーターコイズ)
Brand: Giorgio Armaniアルマーニ
Lauched in 2018
Perfumer:Aurelien Guichard
100ml ¥46,750

My Episode

それまでブランド名は知っていたし、香水が出ていることも知ってはいたけれども、ノーマークだったブランドというのがいくつかある。
このアルマーニもそんなブランドのひとつだった。
しかし、サロンドパルファンの期間中、Twitterのフォロワーさんの一人がこのターコイズ色のボトルをアップしているのを見て、俄然興味が出て来た。
ぼくはこのターコイズブルーに目がないのである。
もう、これはお迎えするしかないではないか!
でも、さすがに、いくらボトルが素敵でも、香りが自分の好みじゃなかったら、ぼくは非常に悩むだろう。
だから、アルマーニのコンサルテーション(偶然にもこの香水のシリーズを知らずにコンサルテーションの予約はしていたのだ!)では、この香りをまず試さなくては!と思っていた。
このブルーターコイズはアルマーニの香水の中のアルマーニプリヴェというシリーズの中の一本。これはジョルジオ・アルマーニ氏が親しい友人にギフトとして贈るためのプライベートコレクションから始まったのだとか。つまり、これはジバンシーのラ コレクション パルティキュリエと同じコンセプト。
それにしても友人のためにこんな香水を作っちゃうって、どんだけセレブなんだよ!とびっくりしてしまう。(ぼくの周りにそういうセレブはいないのかしら?)
さて、そんなこのシリーズの説明を聞いた後に試したこの「ブルーターコイズ」。ドキドキしながらムエットを試してみたら、「あら?そんなに苦手な香りじゃない!」となった。
大好き!というほどではないけど、重みもあるし、甘さもあるし、苦手なグリーンやフローラルがいないのだ!あら、嬉しい!これはもう絶対に纏いたい香り!となったのだ。

NOTES

Top notes:Salt, Incense, Black Pepper
Middle notes:Ylang-Ylang, Cypriol Oil or Nagarmotha, Indian Jasmine
Base notes:Vanilla, Sandalwood, Moss

塩の香りというと、ぼくはまっさきに、ラルチザンの「Cote d’Amour」を思い浮かべるのだが、それよりももっと濃厚でまったりとした感じがする。恐らくバニラやサンダルウッドなどのベースノートのせいなのだろう。

My Evalution

★★★★
ジャケ買いをしたけど、そんなに受け入れられないというほどではなかった。ただ、これをどういうシチュエーションでつけようか、まだ思いつかない。ただ、ボトルの色からすると、夏の夜とかにつけても良いのかなと思っている。暑い夏の時期って、たまにこういう重い香りが恋しくなったりするので。

第385夜 Exclusive KOUZOME

優しいスパイスの香り

DATA

Name: Exclusive KOUZOME(エクスクルージヴ コウゾメ)
Brand: Miya Shinma
Lauched in unknown
Perfumer:Miya Shinma, Song Yuan
100ml ¥24,200

My Episode

ぼくにとっての2022年のサロンドパルファン初日は、京都のルシアージュの店主である米倉氏のコンサルテーションから幕を開けた。
香水好きの人たちから噂だけは聞いており、お会いしたいとずっと思っていて、やっとその想いが叶ったのである。
彼がサロンドパルファンに参加したのは、Miya Shinmaのブランドを紹介するためだったのだが、ぼくは見事に、このブランドのファンになってしまったのだ。
それまで日本人の手掛ける香水ってどこか控えめで、奥ゆかしい、ある意味日本人らしいおとなしい香りが多いという印象を持っていた。
だが、Miya Shinmaの香水はそういった奥ゆかしさがありながらも、しっかりと芯を感じる香りが多いことがわかり、結局以前にご紹介したウード系の香水TSUBAKIの他に、このKOUZOMEもお迎えすることになった。
この香水は、中国の調香師とのコラボレーションから生まれた香水なのだが、スパイシーさを感じさせる優しい丸みのある香りで、落ち着きもある香りなのだ。

NOTES

Top notes: Rosewood, Pink Lotus 
Middle notes: Rose, Jujube Fruit, Girofle, Precious Wood
Base notes: Benzoin, Vanilla, Sandalwood, White Musk

エキゾチックな香りは、恐らくピンクロータスの香りがそう感じさせるのではないだろうか。さらに、そこにおとなしいけれども、個性的な香りが重なり、この独特の世界観を構築しているのだと思う。

My Evalution

★★★★
拡散性もないし、自己主張が激しい香りでもないので、外につけて行くような香りではなく、どちらかというと家の中で、あるいは一人で香りを楽しみたい時に纏いたい香りだ。

第384夜 hangover

あんまい!濃厚!ジューシー!

 

DATA

Name: hangover(ハングオーヴァー)
Brand: KOHSHI
Lauched in 2022
Perfumer:Matsuno Hidenori(松野 秀至)
50ml ¥18,700

My Episode

2022年のサロンドパルファンの目玉だったKOHSHIは50種類以上の香水をずらりと並べてぼくたちを驚かせてくれた。
毎日通っていたぼくは、その中からいくつかをピックアップしながら、ほぼ毎日のように1本ずつ購入したのだが、1本だけ残念ながら購入できなかった香りがある。
初日に試して気になっていたものの、ついつい後回しにしているうちに、売り切れとなったしまった香りだ。
だから、ぼくは後日、代官山の店舗に行った時に改めて購入した。それが今日ご紹介するhangoverである。
売り切れになった理由は明白。
とにかくトップが「うわっ!」と鼻が驚いて鼻腔が5㎜ぐらい広がるほど甘いんである。
しかも、その甘さはもっさりした甘さではなく、もっとさっぱりとしたフルーティーな甘さなのだ。
しかも、その香りは5分ほどで、ミドルからどんどんまた別の香りが顔をのぞかせる。それがちょっと大人っぽい、苦み走ったような香り。
そしてラストに近づいてくると、タバコのようなスモーキー感がほのかに立ち上って来る。
なんだか、一本で若い娘が年齢とともに経験を重ね、一人の女性へと成長するような様を思わせる香りなのだ。
KOHSHIの香りの面白いところは、とにかく変化が劇的であるところ。
これ、本当に日本人が調香したの?と思わせる驚きに満ちあふれた香りで、ぼくはすっかり気に入ってしまったんである。

NOTES

Top notes:Lemon, Apple, Vanilla, Davana
Middle notes:Green cognac, White cognac, Red wine, Rose, Jasmine
Base notes:Tabac, Musk, Amber, Peach

こちらはしっかりとトップのフルーティーな甘さを感じられた。そして、この調香を見ると、甘い~渋い~煙いと変化する様が想像できる。
甘さは持続するので、甘いのが好きな人には特におすすめかも。

My Evalution

★★★★
ラストが何となく石鹸ぽい香りになるところだけが気になるのだが、これは香りの構成上仕方ないかもしれないし、逆にそれがヒットした要因かもしれない。

第383夜 Leather

甘さ控えめ焦げたレザー

DATA

Name: Leather(レザー)
Brand: Acqua di Parma
Lauched in 2019
Perfumer:unknown
100ml ¥38,940

My Episode

2022年のサロンドパルファンで購入した香水のうちの1本。アクアディパルマは、すでにウード系の香水を2本持っていて、あとは、アンブラとレザーがぼく好みで気になっていたのだ。
いつもは別店舗で良くお見掛けするスタッフが会場にいらしていたので、彼とまたあれこれとおしゃべりをしながら、レザーにするか、アンブラにするか悩んだ。
で、結局ぼくがレザーを選んだのは、すでにアンブラは別のブランドでたくさん持っているし、今はまだ違うかなと勝手に感じたから。
それよりも、このレザーの方がそれまでぼくがかいだことのあるレザーとは少し違って、意外性があって面白く感じたのだ。
資料によるとトップノートはオレンジやシチリアレモン、ラズベリーと、かなりフルーティなのだが、ぼくの肌の上ではそれらの香りはまったく感じられない。というか、ぼくの鼻がおかしいのかなぁ。
ぼくの肌の上ではトップからずっと苦いレザーの香りしかしないんである。甘さはかすかにあるものの、一番感じるのは焦げたような香り。
スモーキーな香りはベタベタした印象を与えないために、ぼくの鼻は心地よさを覚える。
肌に載せて、歩いている時に、自分の体からそれをふっと感じると、「あぁ、良い香り…」とうっとりしてしまうのだ。
しかも温かみも感じられる香りなので、この冬はだいぶお世話になった。

NOTES

Top notes:Raspberry, Brazilian Orange, Sicilian Lemon
Middle notes:Rose, Red Thyme, Petitgrain, Honeysuckle
Base notes:Leather, Guaiac Wood, Cedar

トップはいずれもフルーティーなのに、どれ一つ感じ取れないのはなぜだろうか。ぼくの鼻のせいなのか、肌のせいなのか。
でも、このスモーキーなレザーはなかなか面白いので良いと思う。

My Evalution

★★★★
甘さが控えめなのは苦手なはずなのだが、レザーはもともと甘さは求める必要のない香りなので、これはこれでOKだと思う。
比較的自分にとっては軽めな香りなので、夏にどう感じるのかが楽しみだ。

第382夜 Ombré Leather

辛口なオンブレレザー

DATA

Name: Ombré Leather(オンブレ レザー)
Brand: Tom Ford
Lauched in 2021
Perfumer:Sonia Constant


My Episode

2022年の伊勢丹サロンドパルファンでは、事前に告知された香水の中で気になるものが何本かあった。
そのうちのひとつがトムフォードのオンブレレザーだった。すでにぼくは一本、Amazonで購入したトムフォードのオンブレレザーを持っているのだが、どうやらそれとはボトルのラベルの色が違うらしいのだ。ぼくがAmazonで購入したのは、黒いラベルなのだが、告知に出ていたのは白いラベルだった。
そこで、事前にFRAGRANTICAで調べてみたところ、どうやら黒いラベルの方は2018年のものらしい。
そして、香りの構成を見てみると、ちょっと内容が違うようなのだ。
白いラベルの方にはアンバーが載っているが、黒いラベルの方にはアンバーはなく、その代わりにタバコの記載が見られた。
でも、同じ名前の香水だから、実はマイナーチェンジぐらいでそんなに変化はないかもしれない。いずれにせよ、双方を嗅ぎ比べる必要があると思ったぼくは、トムフォードのコンサルテーションを受けると同時に、こちらの香水を試させてもらった。
そうしたら、結果としてはまったく似て非なるものだった。
確かにレザーの優しい香りはするのだが、2018年バージョン(黒ラベル)の方は甘みがあるのに、2021バージョン(白ラベル)はまったく甘みが感じられないのである。たったの4年でこんなにも変わってしまうのか?と思ってしまうくらい香りが変化していた。
個人的には甘みのある方が好きなのだが、アニマリックなレザーの香りをもっと感じたい時には白ラベルの方が良いかもしれない。
アンバーの甘ったるさが気になる人や、夏場などは、辛みオンブレレザーの方がつけやすいと思う。

NOTES

Top notes:Violet Leaf, Cedar
Middle notes:Jasmine Sambac, Orris
Base notes:Leather, Woody Notes, Tobacco

これだけを見ると、確かに甘さ成分がゼロなのがわかる。2018年バージョンと比較してみると

Top note:Cardamom
Middle notes:Leather, Jasmine Sambac
Base notes:Amber, Moss, Patchouli

共通しているのがJasmine SambacとLeatherだけで、あとはまったく異なる香料だ。
だから、こんなにも違った印象を持つのだろう。

2018年バージョンは甘さが強いので秋冬向きだが、こちらは甘さ控えめ(っていうか糖分ゼロ?)なので、暑くなるこの時期から活躍してくれそうな予感がする。

My Evalution

★★★★
方向性は同じなのにアプローチの仕方がまったく違うとこんなにも印象が変わるんだと驚いた。
ところで、FRAGRANTICAによると、Ombré Leather 16なるものが2016年に発売されていて、恐らくこれが最初のOmbré Leatherになるのだろう。構成的には2021バージョンとかなり近しいので、ひょっとしたら2021バージョンはOmbré Leatherの原点回帰的な意味合いもあるのだと勝手に推察している。

第381夜 Club Lonely

とびぬけたパンクの香り

DATA

Name: Club Lonely(クラブロンリー)
Brand: EDIT(h)(エディット)
Lauched in 2019
Perfumer:unknown
90ml ¥37,400

My Episode

EDIT(h)は、日本の朱肉ブランドである日光印によって立ち上げられた香水ブランドだ。
今までぼくはこのブランドの香水を2本ほど買っているのだが、実はまだそれほど仲良くなれていない気がして、もう少しじっくりとお付き合いをしてからブログで紹介しようと思っていた。
ところが、2022年のサロンド・パルファンで先行発売されたこの「Club Lonely」は一発でぼくの鼻腔を仕留めた。だって、すごくパンキーなんだもの!こういうのを待っていたのよ!
Edit(h)にしか作れないような、とびきりのパンチのきいた香り。音楽ディレクターで、音楽についてはかなり造詣の深い6代目だからこそ思いつく香りだとぼくは思った。
もうすっかり顔なじみとなったので、サロパの会場でも何度もこの香りはすごい!と興奮気味に話したのだが、それほどのインパクトがある香りだ。
まず、名前が良くない?
「Club Lonely」だぜ。
そんなクラブがあったら、通っちゃいそう。
一人を楽しむ人たちが集まるクラブというイメージだろうか。
それぞれが一人だからこそ、そこから何か新しい化学反応が生まれる。それを香りで表現したらこういうとんがった香りになるんじゃないか?という気がした。
スモーキーで、渋みがある中に、ちょっと甘さも感じられて、苦くて甘くて、煙たい感じがたまらない。

NOTES

Top notes:Passionfruit, Maple, Amaretto, Black Currant, Ink
Middle notes:Iris, Jasmine, Lily-of-the-Valley, Patchouli
Base notes:Sandalwood, Cederwood, Leather

この独特の苦さはどこから来るのだろうか?パッションフルーツ自体は昔南国で食べたことがあるが、酸っぱい果物という印象で、ひょっとしたらその酸っぱさから出てくる渋みなのかもしれない。

My Evalution

★★★★★
とにかくインパクトが強い香りだ。食事とかに行くときは控えた方が良いかも。逆に、目立ちたい時とか、周りの人たちに自分の印象を強く残したい時にこれをつけるのもひとつの手だ。
もう一つ特記したいのが、ボトルの形。小さいサイズも大きいサイズも、いずれも印章をイメージしたボトルで、並べておくのも楽しい。