第38夜 Traversee du Bosphore

丸みを帯びた甘い香り

 

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DATA

Name: Traversee du Bosphore(イスタンブールの空)
Brand:L'Artisan Parfumeur
Launched in 2010
Perfumer:Bertrand Duchaufour

My Episode

香水というのは目に見えないだけに、表現方法に苦心することが多い。ある程度香りのことを知っている人だったら、香りの共通言語のようなもので会話が成り立つのだが、香りのことをあまり良く知らない人に香りの説明をしようとすると非常に難しい。
例えば、今日ご紹介する「イスタンブールの空」を一言で言うと、「丸っとした甘い香り」なのだが、香りのことを良く知らない人にそう言ってもわかってもらえないかもしれない。
いや、香りのことを知っていたとしても、この大雑把な表現ではわかりにくいだろう。ただ、もしこの香水をかいだことのある人だったら、「わかるわかる!」と言ってもらえるんじゃないだろうか。
そう、この「イスタンブールの空」というのは、丸みを帯びた香りなのである。
アップルティーの香りとも言われており、とにかく甘みがある香り。しかもグルマン系の甘さだ。食べたくなってしまうような甘さの中に、フルーツのフレッシュさと少しのスパイスが効いている。そこがこの香りの面白さと言えよう。

つまり、非常に甘い香りにも関わらず、ベタっとしていない。それは、程よく甘さが抑えられているから。甘さの中に清涼感が感じられるのだ。それもミントとか柑橘系とかのわかりやすい清涼感ではなく、もっと深みのある清涼感とでもいおうか。

確かに、香りの系統から言うと、夏よりも秋から冬にかけて纏いたい香りだが、夏になる前の今の時期にもこの香りはぴったりだ。少し季節が戻って肌寒い夜とかに(例えば今夜のような)これを纏うと、ホッと一息つけるような気がする。

あったかいアップルティーの香りに包まれたような、そんな安堵感がこの香りにはあるのだ。

当時のラルチザンの公式サイトには次のように書かれていた。

 

ボスポラス海峡の岸辺、万華鏡のような街へ。


西洋と東洋の狭間、いくつもの文明が交差する万華鏡のような街、イスタンブールへ。通りを満たす水パイプの煙とアップルティーの香り、宮殿に咲き誇る幾千ものチューリップ、スパイスマーケットからただようデリケートなサフランの香り―。ラストは夕陽が街を染めるようにムスクがゆっくりと広がり、センシュアルな余韻を残します。

香調:オリエンタル レザリー パウダリー

トップノート:青リンゴ 青いジンジャー ザクロの実 サフラン
ミドルノート:イリス チューリップ ローズのロクム ピスタチオのロクム
ラストノート:ムスク 安息香 アトラス産のヒマラヤスギ

 

今は日本での取り扱いがなくなってしまい、その関係でこういう香水についての日本語の説明文が読めないのはとても残念。ラルチザンはその香水の持つ世界をとても大切にしていたことがわかる文章だと思う。

NOTES

Top notes: Red Apple, Pomegranate, Spicy Notes
Middle notes: Leather, Iris, Saffron, Pink Tulip, Tobacco
Base notes: Nougat, Sugar, White Honey, Pistachio, Rose, Musk

この調香を見るだけで、この香りがどれだけ甘いかということがわかる。リンゴにザクロの実、そして日本語の公式の調香に注目したい。そこには、ローズのロクムと、ピスタチオのロクムが入っているのだ。ロクムとは、トルコの代表的なお菓子で、日本でいうところのゆべしのようなものだ。最近日本でもこのロクムが比較的手軽に買えるようになり、ぼくもDIVANというお店にいつもお世話になっている。
このブログを書くまで気づかなかったのだが、ぼくがロクムに惹かれるのは、この香りのせいなのかもしれない。
トルコは永遠の憧れの国でもあるので、いつか世の中の情勢が落ち着いたら、一度ゆっくりと旅をしてみたい。
そして、その時はこの香りに常に包まれていようと思う。

My Evalution

★★★★

以前書いたブログによると、最初は50mlで買ったのだが、あっという間に使い切り、100mlに突入となっているが、実は今の100mlは2本目。今は他にいろんな香りをつけているので出番は少ないが、また久々につけてみたいなと思っている。