第172夜 L'Eau du Navigateur
苦いカカオで至福の夜を
DATA
Name:L'Eau du Navigateur
Brand: L'Artisan Parfumeur
Lauched in 1979
Perfumer: Jean-Claude Ellena & Jean-Francois Laporte
My Episode
ぼくの人生に大きな影響を与えたと言っても過言ではないフランスのニッチフレグランスブランド、ラルチザンパフュームのことを知ったのは、2011年の秋のこと。
それからすっかりこのブランドに魅せられて、今でもラルチザンは大好きな香水ブランドとして真っ先に名前を挙げるほどだ。
しかし、ラルチザンの香水の歴史は意外にも古くて、1976年設立になっている。日本に初上陸したのはもっと後になってからだとは思うが、ぼくがラルチザンのことを知った時には、もうすで表参道に路面店ができていて、少しずつ認知度が高まりつつあるころだった。
しかし、ぼくの知らないラルチザンの香水があることを知ってから、ぼくはそれらの香水をかたっぱしから欲しい気持ちになった。
ネットで調べていたら、香港に会社があるらしい日本人向けのネットの香水ショップで日本では廃盤になってしまったラルチザンの香水を扱っているということを知り、そこから取り寄せるようになった。
その中に、この「L'Eau du Navigateur」があったのだ。
調香師は大好きなジャンクロード・エレナ様だったし、コーヒーの香りは大好きなので、もうこれは絶対に買うしかないと思って、買ったら、それが大正解だった。
だって、もう今となっては幻の香水となり、どこを探しても見つからないんだもの!
そして、そういう香りに限って、本当に素晴らしいのだ。
この香りも、ブラインドで買ったにもかかわらず、本当に好きな香りで、実はすでにこれが2本目。
それももう、底をついていて、気軽に大量プッシュできないので、少しずつ腕につけて楽しむというような使い方しかしていない。
この香水が日本に入ってきたことがあるのかどうかはわからないけれども、もし今この香りが日本に上陸したら、間違いなく話題になるに違いない。
とにかく苦くてかっこいいのだ。
カカオ100%!っていう感じで、そこにスパイスやタバコの香りが絡まり、とにかく渋い、苦い、辛い!
今、あんまりここまで苦い香りってないんじゃないかなぁ。
そう思わせるほど強烈なのだ。
甘さはゼロ。糖分ゼロ、妥協ゼロ。っていう感じ。
わかる人にわかれば良いのよ、というような潔さがこの頃のラルチザンにはあった気がする。そして、そこがこのブランドの革新的なところだったし、世の中がそういう香りを求めていたんじゃないだろうか。
Note
Spices, Rum, Woody Notes, Tobacco, Coffee, Resin, Incense, Leather, Myrrh, Cedar, Floral Notes
フローラルノーツというのがあるが、ぼくの肌の上ではフローラルはまったく感じられない。でも、苦さやスモーキーさを引き立てるために潜んでいるような気もする。
My Evalution
★★★★★
これも文句なしの星5つ。キリッとしてて、パリッとしてて、ピリッとしている香り、残りの数滴をじっくりと堪能した。鼻腔のアーカイブにしっかりと刻み付けておかなくちゃ!