第43夜 Malabah

年齢とともに印象が変わってしまった香水

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DATA

Name: Malabah (マラバー)
Brand:Penhaligon's
Launched in 2003
Perfumer:unknown

My Episode

苦手な香りが、ある日突然好きになることがある。
このブログでも紹介している「パチュリパッチ」や「アルード」などがその良い例だ。
ところが、その逆で、大好きだったのに、突然苦手になってしまう香りというのも、残念ながら、ある。
香りといのは生ものだと思う。
季節によっても香り方はまったく違ってくるし、その日のコンディションにも左右される。
だから、年齢によって香りの感じ方が変わっていくのもまた当然のことなのかもしれない。
その代表的な例が今日ご紹介する「マラバー」だ。
この香水については以前のぼくのブログでもご紹介しているので、今日はまずその文章を抜粋してここに載せておく。


以前、この香水物語で、「香水を買う時は、その場ですぐに決めるのではなく、肌に載せて、トップからミドル、ラストまでの香りを試してから買うようにしている」
と書いたのだけれども、時折、そんな間も惜しくて衝動買いをしてしまう香水がある。
過去の例でいうと、ディオールのヒプノティックポワゾンがそんな香水だった。
そして、じつはつい先日、そんな風にしてゲットした香水がある。
それが、ペンハリガンのマラバーだ。
これもまた阪急メンズ館に行った時のこと。
7月の平日、仕事に行くときにつけることができる香りで、ちょっと変わった香りが欲しいなと思っていた。
売場の人にいろいろと相談したところ、彼女が教えてくれたのが、ペンハリガンというブランドだった。
いくつかの香水を試した中で、ぼくの心をわしづかみにしたのが「マラバー」という香水。
オリエンタルでありながらも、華やかさも隠し持っている、独特の香りだった。
嫌みがないし、それでいて個性的。
女性用の香水なんだけど、どちらかというと、落ち着きのある大人の女性というイメージかなぁ。
このマラバーというのは、インドにある洞窟の名前なのだとか。
どうりでエキゾチックな雰囲気なわけだ。
レモン、ジンジャー、コリアンダーの香りを含んでいるので、
異国情緒の中に華やかさが隠れているのかもしれない。
香水専門店の香水が良いのは、つけすぎないように気を付ければ、ほのかに香ってくれること。
このマラバーもね、だんだんと時間がたつにつれて、肌になじんで、2~3時間後にシャツの胸元からかすかな感じで香るの。
だから、香水が苦手な人がそばにいても、全然気にならないと思う。
それとも、これはぼくの体との相性が良いからなのかもしれないけれども。
この香水はぼくは普段使いしています。
仕事に行くときにふりかけていき、お昼休みが終わるころにもうひとふり。
女性ものの香水だと濃厚というイメージがあるかもしれませんが、このマラバーは、嫌みのない華やかさと甘さを持っているので、オフィスでもそんなに邪魔にならない香りです。
癒されるというのかなぁ。
仕事に追われていても、時折胸元からこの香りが漂ってくると、リフレッシュできるし、
ちょっとだけ幸せな気持ちにもなれます。
2013年の7月の平日、ぼくはこの香水とともにいたので、
またそんな香りのインデックスが記憶の中に刻まれたような気がします。
あと、ペンハリガンの魅力は、そのパッケージ。
リボンがあしらわれた昔の香水の瓶を連想させるボトルと、そのボトルの入った箱もけっこう凝っている。
捨てるのがもったいないと思える箱って素敵。
香水って、ボトルだとかパッケージ、あるいはそれを入れる紙袋とかにも工夫がされていて、そこが良い。
だから、できれば香水はネットじゃなくて、店舗で買うのが望ましい。
それだけで、精神的にも華やかに、豊かになれる気がするから。
ともあれ、ペンハリガンのマラバーは、これからも大事に大事に使いたい香りだなと思っているのだ。

「マラバー」を購入してから8年の歳月が経った。
それまでの間にぼくは様々な香水と出会い、それに伴って、自分なりに自分に合う香水、自分の好きな香水が何となくわかってきた気がする。
鼻も成長したということなのだろうか。
そして、その鼻にはこの「マラバー」は8年前の7月にぼくをときめかせた時のきらめきはもうない。
非常に甘ったるく感じてしまうのだ。
久々にこれをつけて過ごしたら、その甘さに酔ってしまったほど。
最近、この香水をまったくつけていなかったからなのかもしれないけれども、良く考えたら、まったくつけなかったということは、無意識のうちにこの香りを卒業したと思ったからなのではないだろうか。
恐らく、もうぼくはこの香りを纏うことはないと思う。
本当に悲しいことだし、残念なことではあるけれども。
でも、そういう香水があっても良いんじゃないかっていう気もしている。


NOTES

Top note: Lemon, Tea, Coriander
Middle notes: Ginger, Cardamom, Nutmeg, Rose, Orris Root
Base notes: Amber, Sandalwood, Musk

オリエンタルなお茶の香りが特徴的で、ぼくは今でも鼻の中でこの香りを再現できるというのに、もうつけることはないんだろうなと思うと重ね重ね、悲しい。

My Evalution

★★

2013年の7月の段階だったら、「マラバー」の評価は明らかな★★★★以上だったと思う。ということは、今★★★★以上の評価の香水も8年後には大きく変わっているかもしれない。香りって、本当に面白い。