第56夜 Oud 27

クリーミーで個性的なウード

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DATA

Name: Oud 27 (ウード27)
Brand:Le Labo
Launched in 2009
Perfumer:Vincent Schaller

My Episode

ニッチフレグランス愛好家の間で「ジョーマローン」「ディプティク」と並んで非常に人気なのは、今日ご紹介する「ルラボ」だろう。
ニューヨーク発のまったく新しいスタイルの香水専門店だ。
ぼくもこのブランドのことは良く知っていたものの、あまりにも人気なものだから、天邪鬼なぼくはずっと敬遠しているところがあった。
しかし、昨年、とある販売員さんとの出会いで改めてこのブランドの香水のことを知り、それをきっかけとして、ルラボに目覚めたのである。
その時に購入した初ルラボの香水のことは明日の夜に書くことにするが、今日は、その流れで昨年の8月にお迎えすることになった「ウード27」について書きたい。
ぼくがこの香水を初めて試したのは昨年の3月のことだった。
一昨年、伊勢丹新宿店で行われたサロンドパルファンで知り合った香水のエキスパートの方が働いている大阪髙島屋に行ったのが3月のこと。その時に、ウードが好きなぼくに彼が勧めてくれたのが「ウード27」だった。ところが、その時、ぼくはこれを選ぶ気になれなかった。なぜかというと、それまでのぼくの知っているウードとはまったく違ったから。
一言で言うと、非常にクリーミーなのである。
まったりとした、まるで蝋のような雰囲気を強く感じられた。そして、その時はそれがどうしても肌に馴染まないような気がしたのと、他に惹かれる香りがあったので、そちらを選んだ。

ところが、昨年の8月、ぼくのウード探しの旅が始まり、ルラボにウードがあったことを思い出した。そこで、早速銀座のルラボに行って尋ねたところ、なんとウードは廃盤になってしまい、銀座店にはないと言われてしまったのだ。そこで、色々と調べてもらったところ、辛うじて日本橋三越店の方にはあるかもしれない、とのことで、取り置きをしてもらい、すぐに日本橋三越店へ。

そして、約半年ぶりぐらいに「ウード27」を試すことができた。
確かに、3月に感じたようなクリーミーさは相変わらず感じられたのだが、それは特に嫌味な感じではなく、許容範囲ではある。

今まで何度も試してどうしても受け入れられないウード系の香水というのがあるのだが、それとはまったく違い、こちらのウードは特にそのクリーミーさは気になるほどではないし、日本のルラボに存在する最後の1本ということで、お迎えしたのである。

ルラボは、原材料さえあれば、その場でボトルに詰めてくれるので、使い終わったとしてもそのボトルをお店に持って行けば良いというのが魅力の一つだが、このウードに関しては、原材料がもうないということで、最大サイズである100mlで購入したのは正解(というか、100mlしか残っていなかったのだが)。

ところで、ルラボの香水には名前のあとに数字がついている。これは香料の数を示している。つまり「ウード27」は27の香料が使われているということになる。これはかなり数としては少ない方だ。
シンプルな香りなはずなのだが、このクリーミーさは一体どこから出てくるのだろうか?
ウード系の香水でここまでクリーミーなものは他に知らない。だから、いまだにこの香りを纏うたびに戸惑ってしまうのだが、少しずつ肌に馴染ませ、様々な場面で使うことで仲良くなれる気がしている。

NOTES

Agarwood (Oud), Civet, Ambergris, Virginia Cedar, Musk, Aldehydes, Patcouli, Vetiver, Amber, Bulgarian Rose,

FRAGRANTICAによると、以上の香料が記載されている。
さらに、ルラボの公式サイトによると、

Incense, Black Pepper, Saffron, Gaïac

といった香料が明かされている。Gaïacとは、Guaiacwoodのことで、石鹸などの香料に使われる、香料としては比較的安価なものだとのこと。恐らく、ぼくがクリーミーに感じるのは、この香料のせいなのかもしれない。


そして、そのサイトに記載された説明によれば、

ジンギスカンが、紅茶を飲みに行った時にシェヘラザードと一緒にいたシャージャハーンと出会うところを考えてみてください」と書かれている。さらに千一夜物語のことにも触れられている。まさにこのブログのテーマにぴったりの香りなのだ。
それを知ると、さらにもっと、この香りときちんと向き合いたいという気持ちになる。

My Evalution

★★★★

肌に載せた時は非常にクリーミーなのだが、しばらくするとそのクリーミーさがじょじょにウッディーに変化してくる。この変化を楽しめるかどうか、がこの香水の評価を左右するのではないだろうか。本当に面白い香水だと思う。