第75夜 New York Patchouli

土臭さゼロの悲しきパチョリ…

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DATA

Name: New York Patchouli (ニューヨーク・パチョリ)
Brand: Bond No 9
Launched in 2013
Perfumer: unknown

My Episode

アメリカのブランドボンドナンバーナインは、ニューヨークのさまざまな場所をモチーフにした香水で知られている。
日本でも伊勢丹などに多数置かれていて、星型のボトルが斬新で、ずっと気にはなっていたものの、ずっと試さないまま月日は過ぎ、いつの間にか日本での取り扱い数が激減して、さらに縁遠くなったブランドだ。
そのボンドナンバーナインを何気なく調べていたら、限定でウード系の香水があることを知り、その時に同時に見つけたのが、このニューヨーク・パチョリだ。
日本では未入荷で、しかも限定品だからもう手に入らないと思ったのだが、なんと、「ニューヨーク・ウード」、「ニューヨーク・アンバー」とともに、この「ニューヨーク・パチョリ」も海外のネットサイトに掲載されていたので、思わず一緒に注文したのが昨年の夏のこと。
届いた香水をそれぞれ試してみたのだが、まず最初の印象が「試さず買うのはリスクが大きい」ということ。
特にこの「ニューヨーク・パチョリ」はぼくの鼻が覚えているパチョリの香りとは似ても似つかないものなのだ。
多分、これ目隠しをして試されてもパチョリだなんて思わないかもしれない。
ぼくにとってパチョリというのは、ラルチザンパフュームでベルトラン・ドゥショフールが作った「パチョリ・パッチ」に代表される土臭い、重い香りだ。ついこの前までパチョリというのは植物の根っこだとばかり思いこんでいたほど土の印象が強い。
しかし、ボンドナンバーナインの「ニューヨーク・パチョリ」にはそんな土臭さがまったくないのだ。
斬新といえば斬新なのかもしれないが、これはパチョリとは呼べないんじゃないか?と思ってしまう。
トップに感じられるのが柑橘系の香りで、それがだんだんとグリーン味を帯びてきて、パチョリ感のないままに、終わる…。そんな印象なのである。
でも、考えてみたら、パチョリは葉の部分から精油を抽出するので、グリーン味が感じられるのはもっともなのかもしれない。
それにしても、パチョリ独特の湿った土の香りがまったくしないのは、本当に残念で悲しい。

NOTES

Top notes: Bergamot, Litchi, Rose Water
Middle notes: Lilac, Patchouli, Lily
Base notes: Atlas Cedar, Musk, Sandalwood, Amber

この構成を見ると、見事にパチョリ感が柑橘系に囲まれている感じがして、さもありなん…と思ってしまう。

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