第85夜 Og

湿度の低いウードの温もりを感じて…

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DATA

Name: Og (オグ)
Brand: Mirko Buffini Firenze
Launched in 2014
Perfumer: unknown
30ml ¥16,500

My Episode

ボトルのデザインや色、あるいはフォントなどから(ぼくはフォントフェチでもあるので)、印象に残るものの、何かきっかけがないと手が伸びないという香水ブランドというのはいくつかある。
確かに香水売り場で何度も目にしているんだけど、そんなに意識していなかったというブランドを改めて知ると、なんだかまた脳内のシナプスがひとつつながった気持ちになって嬉しい。
今日ご紹介するMirko Buffini Firenzeはまさにそんなブランドの一つだ。

このブランドの香水は、阪急メンズ館で何度も目にしていたし、ボトルの中央に「HAIKU」とか「GODS」とか書かれているのを見て、非常に印象的だなと思っていた。
そんなMirko Buffini Firenzeの香水をきちんと試したのは、昨年の夏頃のことだ。その阪急メンズ館で香水のイベントがあり、そこでこのブランドの担当の方と話をする機会に恵まれたのだ。
香水というと、どうしてもぼくたちはフランス!と思ってしまいがちだが、実はイタリアにもいくつかの素晴らしい香水ブランドがあるが、このミルコブッフィーニもそんなイタリアの香水ブランドのひとつだ。
Mirko Buffini Firenzeは2010年に設立されたブランドで、「新しい大人」の個性を輝かせるフレグランスというのがコンセプト。原材料のほとんどは自然のものから抽出され、それだけではなく、75日間寝かせたエッセンスをブレンドしているというこだわりも素晴らしい。
さて、そんなミルコブッフィーニに興味を持った一番の理由は、ぼくの大好きなベルトラン・ドゥショフールが手掛けた香水があるのだ。それを試させてもらったものの、実はぼくはピンとこなかった。
ベルトランだからといってすべての香水がぼく好みかというと、そういうわけでもなく、その「EAU」という香水もそんな感じの一本だった。(とはいうものの、きっといつかはお迎えすることになるのだろうけど)
でも、せっかくだから他の香水も試してみようと思って、次々と試してみた中でぼくが一番惹きつけられたのは「OG」だった。
最初にこの香りをかいだとき、まっさきに「懐かしい!」と思った。昔かいだことのある香りだったのだ。それもぼくが愛用していた香水。
しかし、とっさにそれがどの香水なのか思い出すことができず、ずっとじれじれしながらスタッフの方の話を聞いていた。
そして、突然ぼくの記憶と鼻腔が結びついたのだ。
このブログでも最初の方でご紹介したブルガリのブラックに非常に近い印象があったのだ。

 

 

1001perfumenights.hatenadiary.jp

 

スモーキーで、あったかい。そんな香りだ。
そして、ぼくにとっては懐かしい感じがした。
甘くて、重くて、スモーキで…。ぼくの鼻のツボを見事に四方八方押さえてくれる香りなのだ。
しかし、やっぱり「ブラック」と似ているという印象があまりにも強くて、最初は買うのを躊躇した。
だが、この香料を聞いて買うことを決意した。
なんと、ウードが入っているというのだ。
夏の暑い時期ではあったし、香りの傾向からすると夏につけるには少し重いかなという気がしたものの、この香りの魅力には抗えなかった。
しかし、実はこの香り、しばらくぼくは寝かせておいた。冬の間も、たまぁに思いついた時に肌に載せるだけだった。
もちろん、そのたびに良い香りだなぁと思ってうっとりはしていたけれども、最初の印象があまりにも強すぎたからか、それが麻痺してしまっていた。
だが、今回このブログを書くにあたり、この週末、この香りとともに過ごしたのだが、本当に素晴らしい香りだなと改めて思った。
ブルガリの「ブラック」と似てはいるけど、似て非なるもの。
もっと洗練されているし、エレガント。そして、包容力が「ブラック」の比ではない。温もりを感じる香りというのはまさにこの香りのことを言うのではないだろうか。
この週末は少し汗ばむものの、朝夕はまだ少し空気が冷えていて、その湿度の低さがちょうど「OG」にぴったりだったのかもしれない。
そして、この温かさというのは、ひょっとしたら夏の間も感じることができるんじゃないかと思った。香りそのものの湿度が低いのだ。
こんなに素晴らしい香りだったのか!と正直、ぼくは改めてこの香水の魅力に驚いているところだ。

NOTES

Top notes: Black Pepper, Ginger
Middle notes: Violet, Incense
Base notes: Leather, Agarwood (Oud)

では、この香りを最初にかいだ時にぼくの鼻腔が呼び起こしたブラックの香料を見てみよう。

Top notes: Green Tea, Bergamot, Rose
Middle notes: Sandalwood, Cedar, Jasmine
Base notes: Leather, Vanilla, Amber, Musk, Oakmoss

見事に香料がかぶっていない。唯一Leatherのみが共通している。
ひょっとしたら、ぼくが勝手に似ていると思うだけで、他の人が試したらそんなに似ていると思わないかもしれない。
香りの印象というのはひとによって全然違うので、そこも面白いところで、この「OG」はそれを感じさせる香水とも言えるだろう。

My Evalution

★★★★★

正直に言うと、購入したばかりの時は★4ぐらいの印象だった。だが、この二日間この香水と付き合って、すっかりこの香りの魅力に取りつかれてしまい、ぼくの評価は高くなった。これはこれからずっと長く愛用したい香りだ。