第114夜 Bois d‘Oud

ウードの木から香り立つ甘さとは

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DATA

Name: Bois d‘Oud(ボワ・ドウード ウードの木)
Brand: Perris Monte Carlo
Launched in 2012
Perfumer: unknown
100ml ¥24,200

My Episode

モナコ公国のブランド、ペリスモンテカルロのことを知ったのは、昨年の6月11日のこと。その時、ぼくは「ウードインペリアル」という香りにひと鼻惚れして、それ以来、ずっと気になるブランドになった。
ウードの香りはもう一種類出ているのは知っていたけれども、勝手に「ウードの皇帝」の薄いバージョンでしょ?と思い込んでいて、そんなに熱心に興味を持つことはなかった。
なんせ、皇帝の印象があまりにも強すぎたというのも理由のひとつ。
しかし、ウードを巡る旅をしているのであれば、どんなウードもとりあえず試さなくてはならないのではないか?という使命感から、今年に入ってから、こちらの「ボワ・ドウード」を試してみた。
そうしたら…。
ぼくの勝手な思い込みは完全に勘違いであることがわかった。
皇帝とはまったくベクトルの違う、でもこれもまた魅惑的なウード系香水だったのだ。
皇帝が華やかな陽のウードだとしたら、このウードの木は陰の要素の強いウードだろう。そこはかとなく陰を感じるのだ。
香料を見ると革の要素はないけど、かすかな革の匂いは奥に控えている。
そして、しばらくすると甘みが出てくるのだが、その甘味というのも決して自己主張はしない。ほんのりとウードを引き立てるような感じで甘いのだ。
ペリスモンテカルロの香水はボトルの色でカテゴリーわけされているようで、この「ボワ・ドウード」はゴールドコレクションの中の一本。
ゴールドコレクションは中東の影響を受けたオリエンタルコレクションを現代風にアレンジした洗練されたホテル、というコンセプトだ。
ちなみに、「ウードの皇帝」を含む黒いボトルのコレクションは「世界の最も優れた原材料のいくつかを徹底的に調査して作られたフレグランス」というコンセプト。
ぼくが勝手に黒は濃い系、ゴールドは薄い系と思い込んでいたのは、例えばウードだけでなく、パチュリも黒とゴールドの両方にあったからだ。これは本当に完全なる勘違いで、どちらもそれぞれに香りが違うのだ。(ということは、パチョリも試さなくちゃ!ってことになるわけだけど)
ともあれ、この「ウードの木」は程よい甘さと陰を感じるウードがたまらなく美しい香りだと思う。

NOTES

Top notes:Bergamot
Middle notes:Agarwood (Oud), Plum, Peach, Iris, Rose, Jasmine, Orange Blossom
Base notes:Blackwood, Vanilla, Ambergris, Labdanum, Patchouli, Cedar, Musk

トップノートはベルガモットということだが、バキュームスキンのぼくの肌の上では、ベルガモットを感じる間もなく消え失せる。ただ、ウードやパチョリが香り始めてからかすかに果物系の甘さが出てきて、その中にベルガモットが潜んでいる感じはする。そこが面白いところ。

My Evalution

★★★★

非常にまとまりの良い香りである。そして、翳りのある香りなだけに、夏につけてもそれほど邪魔にならない香りでもある。最後のほんのりとした甘さが湿度にとても良く似合う。冬の寒さにどう反応するか、半年後にまた試したい香りだ。