第134夜 Ambergris

 深みのある甘い香り

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DATA

Name:Ambergris
Brand:Demeter Fragrance
Lauched in 2018
Perfumer:unknown
30ml ¥2,970

My Episode

正直に告白すると、最初、ディメーターのことは少し斜めに見ているところがあった。価格も安いし、シングルノートだから、そんなに大した香りじゃないだろうと勝手に思っていた。ぼくの苦手とする重ね付けを推奨している時点で、取るに足らないブランドだろうと思い込んでいた。
しかし、ポップアップショップに行った時に、とにかくずらりと並んだボトルが素敵で、それまでの偏見は薄れつつあった。
そんな時にぼくの目に飛び込んでいたのが「Ambergris」だった。
アンバーグリスとは、マッコウクジラが食べたタコやイカなどの消化できないまま排出されたものを指す。アンバーグリスは海に浮いて海岸に打ち上げられることがしばしばあります。中国では龍の涎が固まったものという意味の「龍涎香」と言われている。
排出されたばかりのアンバーグリスは黒くて粘り気があり、香りも不快なものらしいのですが、海水と日光にさらされることにより、甘い独特の香りを放つようになる。
今では天然のアンバーグリスというのはほぼ採取できないために、アンバーグリスは人工的に作り出すことがほとんどのようだ。
香水ブランドの中には、このアンバーグリスのことをアンバーと呼んでいることがままあるようで、実はこのアンバーグリスとアンバーの関係も明確なものではないようなのだ。
ところが、ディメーターには「アンバーグリス」と「アンバー」の両方があり、両者をきちんと区別しているのである。そこで、ぼくは「おおおっ!」となった。
たとえそれが人工的に作られたものであったとしても、香りそのものが良ければぼくはそれをあまり気にしない。だって、この価格ですべて天然香料で作ることができるわけがないのだ。
そして、ぼくはそこで自分の鼻の穴をシャットアウトをすることはしたくない。
どんな香りであっても、自分の好みに忠実でありたいのである。
そして、この「アンバーグリス」はまさにそんな香りだった。
そして、明日ご紹介する予定の「アンバー」と比較すると、明らかに香りが違う。同じ甘い系列でも、両者の方向性がまったく違っているのだ。
簡単に言うと「アンバーグリス」の方がグルマン系の甘さがある。
まったりとしてまろやかな口当たり、ならぬ花当たりというところだろうか。
一方「アンバー」の方も甘いことは甘いのだが、もっとウッディな甘さを感じるのである。
この両者をこんな風にしてきちんと区別しているので、ディメーターは侮れないと思ったのだ。

NOTES

Ambergris, Musk, Vanilla, Earthy Notes, Spicy Notes

シングルノートではあるが、FRAGRANTICAには上記のノートが記載されていた。ぼくの鼻はそんなにスパイシーノートは感じ取れなかった。

My Evalution

★★★

ぼくは甘い香りは嫌いではないのだが、甘いだけの香りだと少し飽きてしまうところがある。なんというか、蜂蜜をたっぷりとかけた角砂糖に水あめを絡めたような感覚で、胃もたれならぬ鼻もたれをしてしまいそうに感じるのだ。