第135夜 Amber

スモーキーで渋いアンバー

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DATA

Name:Amber
Brand:Demeter Fragrance
Lauched during the 2000's
Perfumer:unknown
30ml ¥2,970

My Episode

昨日もご紹介したように、ぼくがディメーターのことをすごいなと思ったのは、「Ambergris」と「Amber」の区別を明確にして、それぞれの香りを出しているから。
この両者はしばしば混同されがちだし、あまりその違いを知らない人にとっては、どちらも同じ「甘い香り」で片づけてしまう傾向がみられるのだが、きちんとそれぞれの香りを出しているということは、明確にその違いを理解しているということになる。
だから、例えば、「アンバーってどんな香り?」とか「アンバーグリスって結局なんなのよ?」と思った人は、ディメーターの両者を嗅ぎ比べてみると良いだろう。
ただし、気を付けなくてはならないのは、あくまでもこれは本物の香りではなく、ある程度脚色された香りだということ。
ぼくもアンバーグリスの本当の香りを知らないのだが、かすかに獣臭のようなものが感じられるんじゃないかと勝手に思っている。それに比べるとディメーターの「アンバーグリス」は非常にスウィートでお菓子の甘さをかすかに感じさせる。
さて、問題は「アンバー」である。
アンバーの香りってどんな香りなのかと調べてみると、これがまた面倒なのだ。
琥珀の香りと説明している人もいるが、樹液が固まってできた琥珀そのものには香りはしない。じゃあ、香水業界で言うところのアンバーとは何かというと、琥珀の黄金の輝きのような色と輝きをイメージした香りということになる。だから、実は調香師によって、あるいはブランドによって、「アンバー」の解釈の仕方はまったく違ってくるわけで、それが本当のアンバーなのかは曖昧模糊としている。
ぼくにとっての「アンバー」のベースとなるのは、以前にもご紹介した、ジャン・クロード・エレナが調香したラルチザンパフュームの「アンバーエクストリーム」だ。まるでお線香のようなスモーキーな中に甘さを感じる香り。

 

1001perfumenights.hatenadiary.jp

 

これがぼくにとってはアンバーの原点。
だから、他のブランドのアンバーを試してみると、これはちょっと無煙系じゃない?と首をかしげるものも中にはある。
さて、ディメーターの「アンバー」はというと、ぼくの大好きなスモーキースィートな香りである。
だから、非常に「アンバーエクストリーム」に近い。
もちろん、コロンなのであんな重さはないけれども、でも軽やかにスモーキーが甘く香る感じがたまらなく良い。
そして、「アンバーグリス」と比べてみると、両者がまったく違うことがわかる。同じ甘い香りでも、甘さの質が違うというか。
だから、アンバー系が気になる人はぜひ両方試してみて欲しい。
燻されたい人は「アンバー」を、甘さに酔いたい人は「アンバーグリス」を選ぶと良いだろう。

NOTES

Amber

FRAGRANTICAには見事に「Amber」としか記載されていなかった。

My Evalution

★★★★

この煙たさが本当にぼくは好きなんだなと思う。ぼくの肌はどちらかというと常に湿りがちで、クリームなどはあまり使わなくて良い肌なのだが、そんな肌から湿り気を取り除いてくれるような効果を期待してしまう香り。
ただ、コロンなので、持続性はあまりない。夜つけると、朝には肌の奥にも残っていないほど香りが煙となって消える。でもそれもまた儚いアンバーって感じで良いではないかと思っている。