第162夜 Oud & Musc

濃厚なアニマリック臭をどう判断するか?

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DATA

Name:Oud & Musc
Brand: Cartier
Lauched in 2014
Perfumer:Mathilde Laurent

My Episode

日本において、DCブランドの香水を、実店舗で購入するのは非常にハードルが高い。
これは決して良い意味ではなく、悪い意味で、である。
とにかくDCブランドの店員のほとんどは香水の知識は皆無だと思っておいた方が良い。
もちろん、例えばルイ・ヴィトンのように、香水に関するレクチャーをきちんと受けて、香水の知識を持ったエキスパートがいるようなブランドは特に問題はない。だが、それはほんのいくつかのDCブランドだけである。
ほとんどのブランドは香水なんて、ただの香り付きの水だとしか認識していないんじゃないかというくらい無知である。
だから、ぼくはいつまでたってもエルメスの「アガールエベンヌ」を購入できないでいる。
だってお店に行ってスタッフをつかまえて香水の話を聞こうとするたびに、その知識のなさの打ちのめされてしまうのだもの。
Cartierも同じだった。
ある方からカルティエの銀座店には日本ではそこでしか扱っていないウード系の香水があると聞いて、何度かお店に足を運んだのだが、いつもスタッフの対応に愕然としてしまう。
とある若い女性の店員が案内してくれたのだが「Oud」と「Wood」の区別がついていないのだ。
「ウード系の香水」とこちらが何度言っても、「ウッド系の香水はですね…」と説明をする。
確かにウード系の香水はいわゆるアガーウッドと呼ばれる木から採取されるわけだから、ウッド系ではあるのだが、それをわかっていっているようには思えないのだ。
実際に気になった香りをムエットに吹き付けてもらった際に、そこに香水名の書いてもらったのだが、彼女は「Oud」をすべて「ウッド」と書いたのである。
ぼくは、いてもたってもいられず「あの…ウードとウッドは別物ですからね。このラベルを良く見てください…Oudとありますよね?これはウッドではなく、ウードという香料の名前なんですよ」と説明してしまった。
すると彼女は悪びれもせず「あ、そうなんですね!ありがとうございます。勉強になります!」と元気よく答えたんである。
もう、本当にとほほほを通り越して頭を抱えたくなってしまう。
当然買う気も一瞬で失せた。
そんな商品知識のない人から40000円以上もする香水を買うつもりはさらさらない。
だから、ぼくはいつまでたっても、カルティエのウード系の香水を手に入れることはできないと思っていた。
ところが、ネットで色々と調べているうちに、日本未発売のウードが手に入ることを知った。それが「Oud & Musc」である。
海外のサイトで個人がこの香水を放出していたのだ。
インターナショナルシッピングにも対応していて、日本もその対象となっていたので、すぐに頼んだ。
価格もそんなにべらぼうに高かったわけではないので購入を決断した。
さて、届いた「Oud & Musc」だが、びっくりするほどアニマリックだ。
非常に濃厚な獣臭を感じる。
ウードの重厚感と相まって、一種独特の雰囲気だ。
しかも、たいていアニマル臭というのは、レザー系の香りを感じさせるものが多いのだが、この香りはまったくそういった革の香りは感じられない。ただただひたすらにアニマルなのだ。
そのアニマルな香りは、トップからミドル、ラストまで一貫して感じられ、さらにそこに余分な香りは一切ない。
まさにウードとムスクの香りなのだ。
ある意味潔いというか。
天晴という感想。

Note

Musc, Agarwood(Oud)


FRAGRANTICAのFragrance Notesにはなんと、このふたつしか記載がない。もちろ、他にも色々な香料が使われているとは思うが、明かされているのはこの二つだけということなのだろう。
とにかく、もうただひたすらに獣。

My Evalution

★★

決して獣臭は嫌いではない。だが、限度というものがある。ここまできついと、ちょっとノーサンキューとなってしまうというのが正直な感想だ。