第166夜 19 settembre - L'Ego

優しさに包まれた力強さ

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DATA

Name:19 settembre - L'Ego(ディチャノーヴェ セッテンブレ)
Brand: Dr. Vranjes
Lauched in 2016
Perfumer:Paolo Vranjes

My Episode

インターネットでウード系の香水を検索してみると、実に様々なウード系香水が出てくる。それこそもう、きりがないほど。
ウードの香りはまだまだ日本では知名度が低く、入手困難なものが多いだけに、ネットの情報は大変にありがたい。
名前も聞いたことがない香水を購入する前には、できるだけFRAGRANTICAの情報を頼りにしている。
主にぼくが注目するのは香料だ。そこにAgarwood(Oud)と記載されていれば、ウード系の香水ということで、ウードを巡る旅の旅先に指定することができる。
たまに香水の名前に「Oud」という文字が入っていても、FRAGRANTICAのNotesには記載されていないこともあり、そうなると正確なウードを巡る旅にならないので、よっぽどのことがない限り注文しないようにしている。
ところが、たまにFRAGRANTICAには載っていない香水が出ていたりして、そうなるともう大変。
香水名をググって、日本語のサイトや時には本国のサイトなどに飛び、目を皿のようにして「Oud」の文字を探す。
今日ご紹介する「Dr.Vranjes」というブランドの香水もそんな風にしてみつけた香水だ。
元々メルカリに出品されていて、「ウード」の検索で引っかかったので、購入したいと思ったのだ。
ところが情報がほとんどない。
このブランド自体は日本でも取り扱いがあるようなのだが、どうやら現在はルームフレグランスのみの扱いで、香水の取り扱いは行っていないらしい。
さらになぜかFRAGRANTICAにも、他の香水は記載があるのに、この「7 SETTEMBRE」を含む「THE DATES」シリーズの記載がまったくないんである。
かろうじて、日本語のサイトで残っている情報のページ(日本の公式ページだが、トップからはいけないようになっている)と、本国の情報をたよりにこの香水のことを調べ、ウードが含まれていることを確認し、購入にいたった。

この香りは、調香師であるPaolo Vranjes博士の自分の人生の中で大切な日と、それにまつわる香りの記憶を表現した5本のシリーズの中の一本なのだとか。

作られたのは2016年なので、そんなに昔というわけではなく、それがなぜまったく情報がないのか、実に不思議ではあるのだが、とにかくそういう香りのようだ。

届いた香りを試してみると、これが意外にも素晴らしい香りだった。ベースはウード系の力強さなのだが、それを上手にサンダルウッドやアンバーでコーティングしているような感じ。
柔らかいウードというところだろうか。
ほんのり甘さもあるが、ベタベタした感じではなくて、もっとパウダリー。
そして、このパウダリーというのは、どうしてもフェミニンになりすぎると石鹸っぽくなり、ぼくの鼻は拒否反応を示すのだが、この香りにはそういう雰囲気はあまり感じられない。
フェミニンでありながらも、石鹸くささはないのだ。
そこがとても魅力で。
雰囲気としては、ラルチザンの名香「ジャタマンシィ」のウード版といったところだろうか。
非常に良い香りで、これは季節を問わず使いたいと思っている。

Note

Agarwood(Oud), Citrus, French Labdanum, Cedarwood, Saffron, Patchouli, Amber, Sandalwood

公式サイトの情報を基にリストアップしてみた。これだけを見ると、かなり個性的で強い香りを想像してしまうかもしれないが、非常に柔らかくて優しい。本当に美しいウード系の香水だと思う。

My Evalution

★★★★

ものすごく良い香りだ。ちょっと香りが軽めなので、ぼくの場合は50プッシュぐらいしないと物足りなくなりそうだが、軽いのに落ち着いた雰囲気は他のウード系香水には見られない特徴で、願わくば、また日本でも再販を求めたいところである。

そして、この「THE DATES」のシリーズの中でもう一本「7 SETTEMBRE セッテ セッテンブレ」という香りにもウードが入っているので、そちらも機会があれば試してみたい。